取材協力/アジアクロスカントリーラリー日本事務局 取材・文/宮崎 大吾
■大会名称
第19回 アジアクロスカントリーラリー2014
■開催期間
2014年8月9日(タイ パタヤ)~15日(カンボジア プノンペン)
■公認
国際モーターサイクリズム連盟(FIM)、国際自動車連盟(FIA)、タイ王室自動車連盟(RAAT)
■主催
オルティブタイランド、R1ジャパン
■協力
タイ国政府観光庁、パタヤ市、サケオ市、カンボジア政府
■お問い合わせ(電話)
アジアクロスカントリーラリー日本事務局(03-5911-3844)
多くの魅力に溢れた『アジアクロスカントリーラリー』は、実際に走ってこそ得られる感動体験が圧倒的に大きい。今回は、当ラリーにライダーとして初挑戦した筆者の体験を元に、参戦するための費用や必要なこと、装備などをお伝えしましょう。
ラリーと言えば「大排気量マシン+ビッグタンク装着」というイメージが強いが、アジアクロスカントリーラリーに関して言えば、普段林道ツーリングやエンデューロで使用しているフルサイズマシンならば十分だ。2014年は天候に恵まれたが、雨天や軟質路面も多い東南アジアで走行することを考えると、軽量で小回りの効くマシンにもメリットがあるからだ。
ただし、大排気量ならではの恩恵もある。筆者が参加した際に選んだ車両はハスクバーナの4ストロークモデル『FE501』。250ccと同格の車体で軽快性もあり、なおかつ510.4ccのパワーはカンボジアの高速SSや、毎日のリエゾン(移動区間)でも大変重宝した。
車両改造(タイヤ含む)に関してはFIM規定に準拠し、ヘッドライト、テールランプ、ブレーキランプ、ホーンなど公道走行に必要な基本装備のほか、破損を最小限に食い止めるための各種ガード類の装着をおすすめしたい。
ちなみに大会スポンサーのステッカーを決められた箇所に貼る義務がある。フロント、左右ゼッケン以外にも、シュラウドやハンドガード、フロントフォークガードなど。かなりのボリュームになるので、他のステッカーでドレスアップする場合は、前記ステッカーを貼った後がオススメだ。
マシン装備として必須なのは、なんと言ってもビッグタンク。昨年は1日に423km、そのうちピットサービスなしで走りきらなければならないSSは、実に206kmもあった。ビッグタンクを装着しても足りず、途中でガソリンを購入する必要もあったほど。とにかくこれがないと始まらない。
タイヤは好みもあるので一概には言えないが、筆者はエンデューロで愛用しているIRCのFIM規定タイヤ『BR-99』を後輪に履いた。軟質路面からハードパックまで適応するので、これ1本で全ロケーションを余裕を持って走ることができた。またパンク防止のため、前後ともムースを装備。大会中リアタイヤを2回、フロントタイヤは1回交換した。
その他携帯工具やスペアパーツ、補修用部品などを持参することをオススメしたい。慣れないうちは「あれもこれも」と荷物が多くなりがちだが、体験を重ねてベストな装備を身につけていこう。
ウエアの洗濯に関しては、連泊する場合はホテルでクリーニングに出す方法もあるが、整備の時間なども考えると、2~3着用意して、部屋で洗って乾かす方が現実的だろう。
またテント、発電機、夜間整備用電灯などを日本事務局が用意(2014年度実績)するので、夜間でも整備できる環境がある。
参戦車両、パーツは事務局が輸出入代行してくれる。英文書類作成やカルネ取得を一括で代行してくれるのでたいへん便利。横浜の指定倉庫での引き渡しとなる。輸出入書類は、BOX = 2、タイヤ = 6、ガソリン缶 = 1、など、シンプルな情報記載のみ。ただし輸出入の数は正確に書かなくてはならない。たとえば古タイヤを現地で廃棄してしまうと、輸出時と数が合わなくなるのでNG。基本的に行き帰りの荷物の数は同じでなくてはならない。
参考まで2014年のスケジュールでは、書類作成のための情報提供期限が7月4日、搬入は7月10~11日、大会終了後の受け渡しが9月11~13日だった。
大会中に使用するガソリンは、基本的に自分で用意する必要がある。ただし、ジャパンサポートカー(日本人ライダー専用サポート)にガソリンの購入を代行してもらい、中継PITなどに持参してもらうことが可能だ。サポートスタッフは2013年、2014年共に、ハスクバーナ東名横浜の代表をつとめる大崎氏が担当。性格もポジティブで明るく、バイクのプロである大崎氏のサポートはとても心強い。
ラリーと言えば、費用は100万円オーバーというのも珍しくないカテゴリーだが、アジアクロスカントリーラリーの魅力のひとつは、費用が他の大会にくらべて“安い”こと。大会規模にもよるが、トータル60万円内でおさまるのだ。しかもタイやカンボジアの物価が日本の約1/3と考えれば、現地での出費も抑えられるうえに美味しい食べ物や本場のタイマッサージを安価で楽しめる。このコストパーフォーマンスも人気の要因だ。
■エントリー費 = USD 1,700(1台1名)
■船代金(往復船代金・作業・通関・書類関係一式) = 12万円
■MOTOクラスサービス費用 = 3万5,000円
※エントリー費には、競技参加費用、ルートブック一式、参加記念品、すべての催しの参加料(ウエルカムパーティー、表彰パーティー)、宿泊、朝食、夕食などが含まれる。
■往復渡航費
■バンコク空港からホテルまでの交通費
■大会前後の宿泊・滞在費
■ラリー保険取得費用(海外ラリーをカバーする特約付き傷害保険加入が義務)
■FIMライセンス取得費用(医師によるメディカルフォームが必要)
■カンボジアビザ取得費用
■国際運転免許証取得費用
■昼食、土産など個人使用分
■現地携帯用SIMカード
※MFJにFIMライセンス(国際ラリー用)を申請して、早めに入手しておきたい。また申請には、医師の健康診断チェックが必要。こちらも協力してもらえる医師を早めに確保しておくことが大事だ。