AXCR2014 レポート Vol.03 AXCRに出場するために必要な装備と費用

掲載日:2015年03月16日 エクストリームラリー    

取材協力/アジアクロスカントリーラリー日本事務局  取材・文/宮崎 大吾

Asia Cross Country Rally 2014 Special Report

■大会名称
第19回 アジアクロスカントリーラリー2014
■開催期間
2014年8月9日(タイ パタヤ)~15日(カンボジア プノンペン)
■公認
国際モーターサイクリズム連盟(FIM)、国際自動車連盟(FIA)、タイ王室自動車連盟(RAAT)
■主催
オルティブタイランド、R1ジャパン
■協力
タイ国政府観光庁、パタヤ市、サケオ市、カンボジア政府
■お問い合わせ(電話)
アジアクロスカントリーラリー日本事務局(03-5911-3844)

多くの魅力に溢れた『アジアクロスカントリーラリー』は、実際に走ってこそ得られる感動体験が圧倒的に大きい。今回は、当ラリーにライダーとして初挑戦した筆者の体験を元に、参戦するための費用や必要なこと、装備などをお伝えしましょう。

まずはマシン選びから
ラリーに適しているのはどんな車両?

ラリーと言えば「大排気量マシン+ビッグタンク装着」というイメージが強いが、アジアクロスカントリーラリーに関して言えば、普段林道ツーリングやエンデューロで使用しているフルサイズマシンならば十分だ。2014年は天候に恵まれたが、雨天や軟質路面も多い東南アジアで走行することを考えると、軽量で小回りの効くマシンにもメリットがあるからだ。

ただし、大排気量ならではの恩恵もある。筆者が参加した際に選んだ車両はハスクバーナの4ストロークモデル『FE501』。250ccと同格の車体で軽快性もあり、なおかつ510.4ccのパワーはカンボジアの高速SSや、毎日のリエゾン(移動区間)でも大変重宝した。

参加者の間で人気が高いのは、フルサイズマシンのエンデューロレーサー。4ストローク250ccが多いが、なかにはフサベルの2ストローク250ccで参戦する選手など人それぞれ。筆者はハスクバーナFE501で参戦(写真手前)。取り回しの扱いやすさと程よいパワーが見事にフィットした。

車両改造(タイヤ含む)に関してはFIM規定に準拠し、ヘッドライト、テールランプ、ブレーキランプ、ホーンなど公道走行に必要な基本装備のほか、破損を最小限に食い止めるための各種ガード類の装着をおすすめしたい。

ちなみに大会スポンサーのステッカーを決められた箇所に貼る義務がある。フロント、左右ゼッケン以外にも、シュラウドやハンドガード、フロントフォークガードなど。かなりのボリュームになるので、他のステッカーでドレスアップする場合は、前記ステッカーを貼った後がオススメだ。

ラリーに必要な装備とは?

マシン装備として必須なのは、なんと言ってもビッグタンク。昨年は1日に423km、そのうちピットサービスなしで走りきらなければならないSSは、実に206kmもあった。ビッグタンクを装着しても足りず、途中でガソリンを購入する必要もあったほど。とにかくこれがないと始まらない。

タイヤは好みもあるので一概には言えないが、筆者はエンデューロで愛用しているIRCのFIM規定タイヤ『BR-99』を後輪に履いた。軟質路面からハードパックまで適応するので、これ1本で全ロケーションを余裕を持って走ることができた。またパンク防止のため、前後ともムースを装備。大会中リアタイヤを2回、フロントタイヤは1回交換した。

その他携帯工具やスペアパーツ、補修用部品などを持参することをオススメしたい。慣れないうちは「あれもこれも」と荷物が多くなりがちだが、体験を重ねてベストな装備を身につけていこう。

ウエアの洗濯に関しては、連泊する場合はホテルでクリーニングに出す方法もあるが、整備の時間なども考えると、2~3着用意して、部屋で洗って乾かす方が現実的だろう。

またテント、発電機、夜間整備用電灯などを日本事務局が用意(2014年度実績)するので、夜間でも整備できる環境がある。

ビッグタンクと同様、必携の電動マップホルダーと、トリップメーター。次回レポートで使い方などを詳しく解説しよう

写真左は軟質路面と超ハードパックという相反する路面を走破したIRCのBR-99。オールラウンドぶりを発揮してくれた。写真右は国際ラリーストの小栗伸幸氏に教わった、タイラップの装備例。ベテランライダーほど無駄な物がなく、必要最低限の装備知識を持っている。

関島優選手は、携帯が義務のGPS装置と共に携帯ツールもリアのフェンダーバッグに収納。現地で渡されるGPS機器をどこに収納するかもシミュレーションしておくといいだろう。

梶野雄稔選手が装備しているのは、防水タフネス仕様のGiant Loop(ハスクバーナ東名横浜で取扱中)のサドルバッグ。荒れた路面にも対応するオフロード専用品は、やはり便利だ。

荷物の持ち方は人それぞれだが、小振りなデイパックやウエストバッグが便利。写真はカンボジア国内のリエゾン。タイの左側通行から右側通行に切り替わる。市街地では生活の空気や匂いを感じながら走る醍醐味がある

筆者が装備しておいて良かったと思うのがステアリングダンパーだ。カンボジアの高速ダート上に点在する穴をパスする際に、ハンドルの振られを軽減してくれた。ダイアルで効き目を加減できるので便利。

大会の進行はすべて電波時計で行なわれるので、腕時計もできれば電波時計にしておきたい。あと何分休めるかなど、体力温存や精神的リラックスのためにもオススメ。

車両・パーツの配送はどうする?

参戦車両、パーツは事務局が輸出入代行してくれる。英文書類作成やカルネ取得を一括で代行してくれるのでたいへん便利。横浜の指定倉庫での引き渡しとなる。輸出入書類は、BOX = 2、タイヤ = 6、ガソリン缶 = 1、など、シンプルな情報記載のみ。ただし輸出入の数は正確に書かなくてはならない。たとえば古タイヤを現地で廃棄してしまうと、輸出時と数が合わなくなるのでNG。基本的に行き帰りの荷物の数は同じでなくてはならない。

参考まで2014年のスケジュールでは、書類作成のための情報提供期限が7月4日、搬入は7月10~11日、大会終了後の受け渡しが9月11~13日だった。

写真は江連忠男選手のコンテナボックス。中には工具やスペアパーツなどを収納。さすがベテランだけあって、頑丈で大きな物を持参。大会中に紛失せず、壊れないことが重要だ。

2014年はサポートに4tトラックがスポンサーのPROPAKにより無料提供。AUTO(4輪)参加者と共用。パーツ類のコンテナだけでなく、旅行用バッグなど全般を入れる。これとは別に2輪選手専用のサポートカー(ハイエース)が、飲み物やガソリンなどを中間ピット等に運搬してくれた。

輸出通関申請書類作成のサンプルが事前に配布される。作成後は事務局が代行してくれるので、参加者は横浜の提携倉庫への搬出入だけ行えばいい。

ガソリン補給はどうすれば?

大会中に使用するガソリンは、基本的に自分で用意する必要がある。ただし、ジャパンサポートカー(日本人ライダー専用サポート)にガソリンの購入を代行してもらい、中継PITなどに持参してもらうことが可能だ。サポートスタッフは2013年、2014年共に、ハスクバーナ東名横浜の代表をつとめる大崎氏が担当。性格もポジティブで明るく、バイクのプロである大崎氏のサポートはとても心強い。

先回りするジャパンサポートカーは、中間地点やSS終了地点でライダーを待機。ここでガソリンを補給したり、飲食物をとって休憩することができる。長距離を1人で走破してくるライダーにはまさにオアシス!

カンボジアのガソリンスタンド。日本でのハイオクに当たるのが『Gold』。価格は日本よりも若干安く、1リットルあたり110~120円位だった。

タイ、カンボジアの集落でよく見かけるのが、燃料入りの瓶。ガソリンスタンドより若干安く、量り売りもしてくれる。2014年は全選手が使用したが、品質の問題は見受けられなかった。

実際にかかる費用は?

ラリーと言えば、費用は100万円オーバーというのも珍しくないカテゴリーだが、アジアクロスカントリーラリーの魅力のひとつは、費用が他の大会にくらべて“安い”こと。大会規模にもよるが、トータル60万円内でおさまるのだ。しかもタイやカンボジアの物価が日本の約1/3と考えれば、現地での出費も抑えられるうえに美味しい食べ物や本場のタイマッサージを安価で楽しめる。このコストパーフォーマンスも人気の要因だ。

【参戦にかかる費用】(2014年度内訳例)

■エントリー費 = USD 1,700(1台1名)
■船代金(往復船代金・作業・通関・書類関係一式) = 12万円
■MOTOクラスサービス費用 = 3万5,000円
※エントリー費には、競技参加費用、ルートブック一式、参加記念品、すべての催しの参加料(ウエルカムパーティー、表彰パーティー)、宿泊、朝食、夕食などが含まれる。

上記の他にかかった費用

■往復渡航費
■バンコク空港からホテルまでの交通費
■大会前後の宿泊・滞在費
■ラリー保険取得費用(海外ラリーをカバーする特約付き傷害保険加入が義務)
■FIMライセンス取得費用(医師によるメディカルフォームが必要)
■カンボジアビザ取得費用
■国際運転免許証取得費用
■昼食、土産など個人使用分
■現地携帯用SIMカード
※MFJにFIMライセンス(国際ラリー用)を申請して、早めに入手しておきたい。また申請には、医師の健康診断チェックが必要。こちらも協力してもらえる医師を早めに確保しておくことが大事だ。

第20回 アジアクロスカントリーラリー2015
開催期間 2015年8月8日~14日  最新情報はコチラをチェック!>>

他のAXCRレポートを見る

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索