2013 AMA モトクロス ラウンド10 ユナディラ NY レースレポート

2013 AMA モトクロス ラウンド10 ユナディラ NY レースレポート

掲載日:2013年08月15日 エクストリームモトクロス    

文・まとめ/宮本 将平

450cc クラス

450cc クラス moto1

 

450cc クラス moto2

 

R・ビロポートがタイトルを決定づけるパーフェクトウィン

前ラウンド、スプリングクリークではジェイムズ・スチュワート(スズキ)が以前のような強さを見せ、今シーズン初優勝をマーク。一方ポイントリーダーのライアン・ビロポート(カワサキ)は大きなケガにはならなかったもののモト1のスタート直後にクラッシュするという波乱も起きた。しかし、彼の優位は変わらず、残り3ラウンドを残してランキング2位のライアン・ダンジー(KTM)とのポイント差は34。ダンジーの逆転タイトルは依然として難しい状況にある。

 

モト1(30分+2周)、ホールショットはビロポート、その後ろにダンジー、アンドリュー・ショート(KTM)、スチュワートらが続いた。プラクティスから好調のビロポートは1ラップ目からハイペースで後との距離をグングンと広げる。4位のスチュワートも早々とショートをパスし、トップ2への追撃態勢を整える。3ラップ目、今度はトレイ・カナード(ホンダ)がショートをパス、さらにはジャスティン・バーシア(ホンダ)もショートをパス。勢いに乗るバーシアはカナードもパスし、ポジションを4位までアップさせる。逆にパスされたカナードはその直後にマシントラブルでDNF(リタイア)となってしまった。一方、スタートからトップを独走中のビロポートはラスト10分の時点で、2位のダンジーに17秒以上のアドバンテージを築き、勝利をほぼ手中にしていた。結局ビロポートはその後も安定したライディングでトップを守り今シーズン14勝目をマーク。2位にはダンジー、3位にはスチュワートがそれぞれ入った。

 

モト2、ホールショットはまたしてもビロポート。その後にバーシア、ジェイク・ワイマー(カワサキ)らが着ける。一方、後方ではファーストターンでカナード、マイク・アレッシ(スズキ)、ジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)、マルコム・スチュワート(ホンダ)がクラッシュ。アレッシはここでDNFとなってしまう。トップのビロポートはモト1同様に快調にラップを重ねていったが、バーシアが健闘し、なんとか彼に食らいつく。その後方ではワイマーも順調にラップを重ねていったが、なんとその後からは地元のフィル・ニコレッティ(ヤマハ)が4位を死守。しかし、その後方にはグラント、ダンジーらが迫っていて、二コレッティは彼らを抑えることができず、6位までポジションを落としてしまう。

 

レース後半、前半はなんとかビロポートに離される事のなかったバーシアだったが、徐々にその差は開き、結局はビロポートが独走で優勝、パーフェクトウィンを飾った。

 

今回のパーフェクトウィンによってビロポートは、2位のダンジーに対し、44という、残り2ラウンドでは逆転不可能とも言える大きなアドバンテージを築いた。ケガさえなければほぼタイトルを手にしたと言っていい程の大きなリードだ。ただ、ダンジーも強いメンタルの持ち主。モチベーションを保つのが難しい状況の中ではあるが、ここで崩れるようなライダーではない。タイトルは難しいが、残り4レースを全勝する勢いで臨んでくるだろう。

 

450cc クラス レース結果
順位 総合 ゼッケン ライダー名 チーム名 メーカー
1 1-1 2 R・ビロポート Monster Energy Kawasaki   Kawasaki
2 4-2 51 J・バーシア Team Honda Muscle Milk   Honda
3 2-4 1 R・ダンジー Red Bull KTM   KTM
4 9-3 12 J・ワイマー Monster Energy Kawasaki   Kawasaki
5 5-5 33 J・グラント JGRMX Toyota Yamaha   Yamaha
6 6-7 29 A・ショート BTO Sports KTM   KTM
7 10-6 24 B・メットカーフ Metty24Racing   Kawasaki
8 8-8 20 B・ティックル RCH Suzuki   Suzuki
9 7-13 10 J・ブレイトン JGRMX Toyota Yamaha   Yamaha
10 13-9 49 P・ニコレッティ N-Fab Yamaha   Yamaha
450cc クラス ポイントランキング
順位 ゼッケン ライダー名 ポイント メーカー
1 2 R・ビロポート 463   Kawasaki
2 1 R・ダンジー 419   KTM
3 51 J・バーシア 347?   Honda
4 7 J・スチュワート 289   Suzuki
5 41 T・カナード 263?   Honda
6 29 A・ショート 220   KTM
7 12 J・ワイマー 216   Kawasaki
8 20 B・ティックル 209   Suzuki
9 33 J・グラント 208   Yamaha
10 800 M・アレッシ 204   Suzuki

 

 

 

250cc クラス

250cc クラス moto1

 

250cc クラス moto2

 

E・トマックが6連勝で一気にタイトルを引き寄せる!

ラウンド9、スプリングクリークモト1単独クラッシュにより、イーライ・トマック(ホンダ)にポイントリーダーの座を譲ってしまったケン・ロクスン(KTM)。モト2でもトマックが勝利したため、残りのラウンド数を考えると完全にトマックがタイトル争いの主導権を握ったようにも見えた。そして今回はラウンド10、ユナディラ。ここでトマックが勝利すると一気にタイトルを引き寄せる事になるだけに、ロクスンとしてはなんとしてでもパーフェクトウィンで残りラウンドに望みをつなげたいところだ。

 

モト1、ホールショットはウィル・ハーン(ホンダ)。背後には前ラウンドで大健闘のジェレミー・マーティン(ヤマハ)、そしてロクスンが続いた。注目のトマックはスタートに失敗するが、4ラップ目には4位までポジションをアップし、トップ3への追撃を開始する。レース中盤、まず動いたのはマーティン。ハーンをアグレッシブにパスしトップに立つ。しかし、次のラップではロクスン、トマックもそれぞれハーンをパス、さらにトマックはロクスンもパスし、トップのマーティンを射程距離に追い込む。4連勝で異次元のスピードを見せるトマックはマーティンをあっさりとパスしトップに立つと、その後は完全に独走状態を築く。一方、ハーンの後方からはザック・オズボーン(ホンダ)が着実にポジションをアップさせ、ついにハーンもパス、ポジションを4位までアップさせる。その後、オズボーンは3位のロクスンもパスし、2位のマーティンとの距離も詰めるが、ここでチェッカーが振られ、レース終了。トマックが怒濤の5連勝を飾った。

 

モト2、ホールショットはマーティン・ダバロス(カワサキ)、その後にロクスン、ジャスティン・ボーグル(ホンダ)、マーティンらが着ける。タイトル獲得のためには絶対に勝ちたいロクスンはすぐにマーティンをパスしトップへ。注目のトマックはスタートで出遅れるものの、4ラップ目にはポジションを4位までアップさせる。その後もトマックの勢いは止まらず、3位のボーグルもパスし、トップのロクスンへの追撃態勢を整える。その数ラップ後、トマックはすぐにロクスンに接近し、2人のバトルが展開されたが、ロクスンは絶好調のトマックを抑える事が出来なかった。一方、その後方ではボーグルとマーティンのバトルが展開されたが、好調のマーティンがボーグルをパスし、3位へ。結局その後ポジションの変動がないままレースは終了し、トマックが怒濤の6連勝をマークした。

 

今回のラウンド10、ユナディラでは、またしてもトマックがパーフェクトウィンを達成し、ポイントリーダの座を確固たるものにした。今回5-2に終わったロクスンとのポイント差も39にまで広がり、次のラウンドでタイトルを獲得する可能性さえ見えてきた。そして前ラウンドに続き大健闘だったのはジェレミー・マーティン。この大混戦の250クラスでルーキーながら2-3、最近の4レースでも3度のポディウムフィニッシュというリザルトを残し、大きな可能性を感じさせてくれた。長かったAMAプロモトクロスシーズンも残すはわずか2ラウンド。次のラウンドでタイトルは決まるのか。来週も楽しみだ。

 

250cc クラス レース結果
順位 総合 ゼッケン ライダー名 チーム名 メーカー
1 1-1 17 E・トマック GEICO Honda   Honda
2 2-3 77 J・マーティン StarRacing   Yamaha
3 5-2 94 K・ロクスン Red Bull KTM   KTM
4 3-6 338 Z・オズボーン GEICO Honda   Honda
5 4-5 1 B・バゲット Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki   Kawasaki
6 10-4 34 J・ボーグル GEICO Honda   Honda
7 6-8 19 W・ハーン GEICO Honda   Honda
8 8-9 25 M・ムスキャン Red Bull KTM   KTM
9 9-10 43 C・シーリー TLD Lucas Oil Honda   Honda
10 13-7 40 M・ダバロス Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki   Kawasaki
250cc クラス ポイントランキング
順位 ゼッケン ライダー名 ポイント メーカー
1 17 E・トマック 455   Honda
2 94 K・ロクスン 416   KTM
2 25 M・ムスキャン 359   KTM
4 1 B・バゲット 329   Kawasaki
5 338 Z・オズボーン 296   Honda
6 77 J・マーティン 249   Yamaha
7 21 J・アンダーソン 248   Suzuki
8 34 J・ボーグル 238   Honda
9 38 K・カニンガム 204   Yamaha
10 43 C・シーリー 192   Honda

 

 

 

 

 

宮本 将平
プロフィール
宮本 将平

WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。

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