
掲載日:2013年08月15日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
前ラウンド、スプリングクリークではジェイムズ・スチュワート(スズキ)が以前のような強さを見せ、今シーズン初優勝をマーク。一方ポイントリーダーのライアン・ビロポート(カワサキ)は大きなケガにはならなかったもののモト1のスタート直後にクラッシュするという波乱も起きた。しかし、彼の優位は変わらず、残り3ラウンドを残してランキング2位のライアン・ダンジー(KTM)とのポイント差は34。ダンジーの逆転タイトルは依然として難しい状況にある。
モト1(30分+2周)、ホールショットはビロポート、その後ろにダンジー、アンドリュー・ショート(KTM)、スチュワートらが続いた。プラクティスから好調のビロポートは1ラップ目からハイペースで後との距離をグングンと広げる。4位のスチュワートも早々とショートをパスし、トップ2への追撃態勢を整える。3ラップ目、今度はトレイ・カナード(ホンダ)がショートをパス、さらにはジャスティン・バーシア(ホンダ)もショートをパス。勢いに乗るバーシアはカナードもパスし、ポジションを4位までアップさせる。逆にパスされたカナードはその直後にマシントラブルでDNF(リタイア)となってしまった。一方、スタートからトップを独走中のビロポートはラスト10分の時点で、2位のダンジーに17秒以上のアドバンテージを築き、勝利をほぼ手中にしていた。結局ビロポートはその後も安定したライディングでトップを守り今シーズン14勝目をマーク。2位にはダンジー、3位にはスチュワートがそれぞれ入った。
モト2、ホールショットはまたしてもビロポート。その後にバーシア、ジェイク・ワイマー(カワサキ)らが着ける。一方、後方ではファーストターンでカナード、マイク・アレッシ(スズキ)、ジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)、マルコム・スチュワート(ホンダ)がクラッシュ。アレッシはここでDNFとなってしまう。トップのビロポートはモト1同様に快調にラップを重ねていったが、バーシアが健闘し、なんとか彼に食らいつく。その後方ではワイマーも順調にラップを重ねていったが、なんとその後からは地元のフィル・ニコレッティ(ヤマハ)が4位を死守。しかし、その後方にはグラント、ダンジーらが迫っていて、二コレッティは彼らを抑えることができず、6位までポジションを落としてしまう。
レース後半、前半はなんとかビロポートに離される事のなかったバーシアだったが、徐々にその差は開き、結局はビロポートが独走で優勝、パーフェクトウィンを飾った。
今回のパーフェクトウィンによってビロポートは、2位のダンジーに対し、44という、残り2ラウンドでは逆転不可能とも言える大きなアドバンテージを築いた。ケガさえなければほぼタイトルを手にしたと言っていい程の大きなリードだ。ただ、ダンジーも強いメンタルの持ち主。モチベーションを保つのが難しい状況の中ではあるが、ここで崩れるようなライダーではない。タイトルは難しいが、残り4レースを全勝する勢いで臨んでくるだろう。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 1-1 | 2 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | |
2 | 4-2 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | |
3 | 2-4 | 1 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | |
4 | 9-3 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | |
5 | 5-5 | 33 | J・グラント | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | |
6 | 6-7 | 29 | A・ショート | BTO Sports KTM | KTM | |
7 | 10-6 | 24 | B・メットカーフ | Metty24Racing | Kawasaki | |
8 | 8-8 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | |
9 | 7-13 | 10 | J・ブレイトン | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | |
10 | 13-9 | 49 | P・ニコレッティ | N-Fab Yamaha | Yamaha |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 2 | R・ビロポート | 463 | Kawasaki | |
2 | 1 | R・ダンジー | 419 | KTM | |
3 | 51 | J・バーシア | 347? | Honda | |
4 | 7 | J・スチュワート | 289 | Suzuki | |
5 | 41 | T・カナード | 263? | Honda | |
6 | 29 | A・ショート | 220 | KTM | |
7 | 12 | J・ワイマー | 216 | Kawasaki | |
8 | 20 | B・ティックル | 209 | Suzuki | |
9 | 33 | J・グラント | 208 | Yamaha | |
10 | 800 | M・アレッシ | 204 | Suzuki |
ラウンド9、スプリングクリークモト1単独クラッシュにより、イーライ・トマック(ホンダ)にポイントリーダーの座を譲ってしまったケン・ロクスン(KTM)。モト2でもトマックが勝利したため、残りのラウンド数を考えると完全にトマックがタイトル争いの主導権を握ったようにも見えた。そして今回はラウンド10、ユナディラ。ここでトマックが勝利すると一気にタイトルを引き寄せる事になるだけに、ロクスンとしてはなんとしてでもパーフェクトウィンで残りラウンドに望みをつなげたいところだ。
モト1、ホールショットはウィル・ハーン(ホンダ)。背後には前ラウンドで大健闘のジェレミー・マーティン(ヤマハ)、そしてロクスンが続いた。注目のトマックはスタートに失敗するが、4ラップ目には4位までポジションをアップし、トップ3への追撃を開始する。レース中盤、まず動いたのはマーティン。ハーンをアグレッシブにパスしトップに立つ。しかし、次のラップではロクスン、トマックもそれぞれハーンをパス、さらにトマックはロクスンもパスし、トップのマーティンを射程距離に追い込む。4連勝で異次元のスピードを見せるトマックはマーティンをあっさりとパスしトップに立つと、その後は完全に独走状態を築く。一方、ハーンの後方からはザック・オズボーン(ホンダ)が着実にポジションをアップさせ、ついにハーンもパス、ポジションを4位までアップさせる。その後、オズボーンは3位のロクスンもパスし、2位のマーティンとの距離も詰めるが、ここでチェッカーが振られ、レース終了。トマックが怒濤の5連勝を飾った。
モト2、ホールショットはマーティン・ダバロス(カワサキ)、その後にロクスン、ジャスティン・ボーグル(ホンダ)、マーティンらが着ける。タイトル獲得のためには絶対に勝ちたいロクスンはすぐにマーティンをパスしトップへ。注目のトマックはスタートで出遅れるものの、4ラップ目にはポジションを4位までアップさせる。その後もトマックの勢いは止まらず、3位のボーグルもパスし、トップのロクスンへの追撃態勢を整える。その数ラップ後、トマックはすぐにロクスンに接近し、2人のバトルが展開されたが、ロクスンは絶好調のトマックを抑える事が出来なかった。一方、その後方ではボーグルとマーティンのバトルが展開されたが、好調のマーティンがボーグルをパスし、3位へ。結局その後ポジションの変動がないままレースは終了し、トマックが怒濤の6連勝をマークした。
今回のラウンド10、ユナディラでは、またしてもトマックがパーフェクトウィンを達成し、ポイントリーダの座を確固たるものにした。今回5-2に終わったロクスンとのポイント差も39にまで広がり、次のラウンドでタイトルを獲得する可能性さえ見えてきた。そして前ラウンドに続き大健闘だったのはジェレミー・マーティン。この大混戦の250クラスでルーキーながら2-3、最近の4レースでも3度のポディウムフィニッシュというリザルトを残し、大きな可能性を感じさせてくれた。長かったAMAプロモトクロスシーズンも残すはわずか2ラウンド。次のラウンドでタイトルは決まるのか。来週も楽しみだ。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 1-1 | 17 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | |
2 | 2-3 | 77 | J・マーティン | StarRacing | Yamaha | |
3 | 5-2 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | |
4 | 3-6 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | |
5 | 4-5 | 1 | B・バゲット | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
6 | 10-4 | 34 | J・ボーグル | GEICO Honda | Honda | |
7 | 6-8 | 19 | W・ハーン | GEICO Honda | Honda | |
8 | 8-9 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | |
9 | 9-10 | 43 | C・シーリー | TLD Lucas Oil Honda | Honda | |
10 | 13-7 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 17 | E・トマック | 455 | Honda | |
2 | 94 | K・ロクスン | 416 | KTM | |
2 | 25 | M・ムスキャン | 359 | KTM | |
4 | 1 | B・バゲット | 329 | Kawasaki | |
5 | 338 | Z・オズボーン | 296 | Honda | |
6 | 77 | J・マーティン | 249 | Yamaha | |
7 | 21 | J・アンダーソン | 248 | Suzuki | |
8 | 34 | J・ボーグル | 238 | Honda | |
9 | 38 | K・カニンガム | 204 | Yamaha | |
10 | 43 | C・シーリー | 192 | Honda |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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