
掲載日:2013年05月30日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
1月から始まったスーパークロスシーズンも終わり、ついに開幕したAMAプロモトクロスシリーズ。注目のラウンド1、ハングタウンでは両モト共に、2年振りのアウトドア参戦となったライアン・ビロポート(カワサキ)が圧倒的な強さで勝利し、スーパークロス3年連続チャンピオンの貫禄をみせた。しかし、ディフェンディングチャンピオンのライアン・ダンジー(KTM)もきっちりと2位に入ったため、今のところポイントスタンディングでは僅差の戦いとなっている。そして、スーパークロスでは度重なる不運や転倒で、なかなか思うような結果を残す事のできなかったジェイムズ・スチュワート(スズキ)も両MOTO共に3位に入り、健在をアピールした。そして今週のラウンド2、サンダーバレーのプラクティスでは450クラスルーキーのジャスティン・バーシア(ホンダ)が、プラクティスから好タイムを連発し、トップでメインレースを迎える事となった。
モト1(30分+2周)、ホールショットはバーシア。その後ろにダンジー、ビロポートがピタリと着ける。好調のビロポートは1ラップ目に早々とダンジーをパスするが、自らのミスで再びダンジーに先行を許す。さらにビロポートの背後にはトレイ・カナード(ホンダ)が着けるが、ハイペースのビロポートに付いていくことが出来ないでいた。先週3位のスチュワートは2ラップ目に不運なクラッシュを喫し、ほぼ最後尾からのレースとなってしまう。一方、トップのバーシアは快調にトップを快走するが、徐々にダンジーがその差を詰め始め、レース中盤にはビロポートを含めた3人のバトルが激化する。そんな中、ダンジーがなんとかバーシアをパスし、トップに立つ。ビロポートもすぐにバーシアへプレッシャーをかけ、前へ出る隙を伺うが、自らのミスで再びリードを広げられてしまう。しかし、後半に強いビロポートはここからは再びバーシアをパスすると、そのままの勢いでダンジーもパスし、独走態勢へ。結局そのままダンジーとの距離を広げ続けたビロポートが勝利し、開幕からの連勝を3に伸ばした。
モト2、ホールショットはモト1同様、バーシアが奪う。その後ろにはマイク・アレッシ(スズキ)、カナード、ビロポート、ダンジーが続くが、2ラップ目に入る頃には後続のライダーたちの激しいプッシュにより、アレッシは5位までポジションを落とす事になる。モト1を勝利し、好調のビロポートはさらに前を走るカナードも登りの連続ジャンプでパス、トップを走るバーシアへと照準を合わせる。そして、そのわずか2ラップ後、ビロポートはカナードをパスしたのと同じセクションでバーシアもパスしトップに立つが、すぐ後ろを走るダンジーも早々とカナードを捕らえ、ダンジーはビロポートへの追撃体制を整えた。一方、スタートでは前に出る事のできなかったスチュワートは順調にポジションをアップさせ、レースが中盤を迎える頃にはバーシアの背後まで迫り、そのままの勢いでバーシアをパス、3位にポジションをアップさせた。しかし、その後は大きな順位の変動はなく、ビロポートは開幕から4連勝、ダンジーも4レース連続で2位という結果に終わった。
今回のラウンド2、サンダーバレーでもビロポートが完璧なライディングで1-1で総合優勝を達成した。ラウンド1からの連勝記録も4となり、後続とのポイント差も開きつつあるが、ダンジーも4レース連続で2位。これから待ち受ける10ラウンドでどのようにタイトル争いが展開されるかは未だ予想するのは難しいが、スーパークロス同様、ビロポート、ダンジーの二人のバトルは当分続いていきそうだ。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 1-1 | 2 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | |
2 | 2-2 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | |
3 | 3-4 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | |
4 | 4-5 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | |
5 | 6-6 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | |
6 | 5-7 | 925 | C・デサール | Rockstar Suzuki | Suzuki | |
7 | 15-3 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | |
8 | 7-10 | 28 | T・ラトレイ | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
9 | 10-8 | 922 | K・ストライボス | Rockstar Suzuki | Suzuki | |
10 | 11-9 | 15 | D・ウィルソン | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 2 | R・ビロポート | 100 | Kawasaki | |
2 | 1 | R・ダンジー | 88 | KTM | |
3 | 51 | J・バーシア | 70? | Honda | |
4 | 41 | T・カナード | 70? | Honda | |
5 | 7 | J・スチュワート | 66 | Suzuki | |
6 | 800 | M・アレッシ | 54 | Suzuki | |
7 | 28 | T・ラトレイ | 49 | Kawasaki | |
8 | 35 | R・サイプス | 37 | Suzuki | |
9 | 46 | W・ペイック | 36? | Suzuki | |
10 | 29 | A・ショート | 34 | KTM |
先週のハングタウンでは、スーパークロスシーズンから絶好調のケン・ロクスンがAMAプロモトクロスシリーズでは自身初となる1-1という完璧な形でオーバーオールウィンを飾った。しかし、そのロクスンとタイトルを争うであろうディフェンディングチャンピオン、ブレイク・バゲット(カワサキ)と、昨年のランキング3位、イーライ・トマック(ホンダ)も両モト共にポディウムフィニッシュで終えたため、ポイントスタンディングでは、未だ大きな差は出来ていない。そして今回のラウンド2、サンダーバレーはトマックの地元ラウンドという事で、たくさんのファンが詰めかけ、彼を後押しした。トマックはファンの期待に応えるようにプラクティスではトップタイムをマークし、今シーズン初優勝に弾みをつけた。
モト1、ホールショットはザック・オズボーン(ホンダ)。その後ろにはロクスン、トマック、ジェイソン・アンダーソン(スズキ)らが続くが、1ラップ目途中にはロクスンがオズボーンをパスしトップを奪う。トマックも2ラップ目に入る頃にはオズボーンをパスし、2位へポジションを上げるが、すでにロクスンは4秒程度のアドバンテージを築いていた。一方、ディフェンディングチャンピオンのバゲットはスタートに失敗し20番手以降からのレースとなってしまうが、レース中盤には9位までポジションをアップさせていた。レース後半になってもトップのロクスンと2位のトマックとの差は依然、数秒以内ではあったが、トマックはミスのないライディングを続けているロクスンを捕らえるまでには至っていなかった。一方、後半に入り、3位のマービン・ムスキャン(KTM)と4位のルーキー、クーパー・ウェブ(ヤマハ)のバトルが激化していた。2度の世界タイトルを獲得しているムスキャンと、プロキャリアわずか3レースのルーキー、ウェブとの戦いはなんと、ウェブがムスキャンを破り3位をキープ。結局トップは1ラップ目から誰も寄せ付ける事なく走りきったロクスン、2位にはトマック、そして3位にはルーキーのウェブが入った。
モト2、ホールショットはジェレミー・マーティン(ヤマハ)。その後ろにはコロラドローカル、トマックが着けるが、すぐにマーティンはトマックにトップを譲ってしまう事になる。一方、モト1のウィナー、ロクスンは5番手前後からのスタートとなったが、彼も3ラップ目には2位のオズボーンをパスし、2位へとポジションをアップさせる。しかしこの時点でトップのトマックは2位に約15秒という圧倒的なアドバンテージを築いていて、3連勝と絶好調のロクスンでさえも彼を捕らえる事は難しいように見えた。結局トマックはレース後半には約25秒のリードを築きクルージングモード。一方のロクスンは、後半に大きなミスを犯し、逆に3位のオズボーンに迫られてしまう。なかなかペースの上がらないロクスンは、とうとうファイナルラップにオズボーンに捕まってしまい、結局トマック、オズボーン、ロクスンという順位でモト2がフィニッシュした。
今回のラウンド2、サンダーバレーでは地元のトマックが2-1という素晴らしい形でオーバーオールウィンを果たした。もちろん、ポイントリーダーのロクスンも3-1でオーバーオール2位。しっかりとポイントを獲得しているが、ディフェンディングチャンピオンのバゲットは9-5という結果。ポイントランキングでもトップのロクスンから25ポイント差の4位にとどまっているのが若干心配ではある。この差がシーズン後半にかけてどう響いてくるのだろう? そして今回はルーキーのウェブが、世界チャンピオンのムスキャンを破っての3位獲得、この濃いメンツの中でのこの活躍はお見事。次のラウンド3、マウントモーリスでもトップ争いはもちろん、ルーキーたちのレースにも注目したい。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 2-1 | 17 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | |
2 | 1-3 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | |
2 | 6-2 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | |
4 | 4-4 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | |
5 | 9-5 | 1 | B・バゲット | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
6 | 8-6 | 77 | J・マーティン | StarRacing | Yamaha | |
7 | 7-10 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
8 | 5-12 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Energy Racing | Suzuki | |
9 | 3-17 | 175 | C・ウェブ | MyPlash Yamaha | Yamaha | |
10 | 13-7 | 34 | J・ボーグル | GEICO Honda | Honda |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 94 | K・ロクスン | 95 | KTM | |
2 | 17 | E・トマック | 89 | Honda | |
2 | 25 | M・ムスキャン | 72 | KTM | |
4 | 1 | B・バゲット | 70 | Kawasaki | |
5 | 338 | Z・オズボーン | 65 | Honda | |
6 | 77 | J・マーティン | 50 | Yamaha | |
7 | 21 | J・アンダーソン | 49 | Suzuki | |
8 | 175 | C・ウェブ | 43 | Yamaha | |
9 | 38 | K・カニンガム | 39 | Yamaha | |
10 | 317 | J・ヒル | 39 | Kawasaki |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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