
掲載日:2013年05月24日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
ライアン・ビロポート(カワサキ)が3連覇を達成したAMAスーパークロスシリーズが終了して2週間、カリフォルニア州のサクラメントでAMAプロモトクロスシリーズが開幕した。スーパークロスでもそうだったように、とにかく2013シーズンの450クラスはビッグタレントがひしめき合い、ハイレベルなレースが展開されている。昨年のAMAモトクロスシリーズはビロポートの欠場も手伝い、ライアン・ダンジー(KTM)が圧倒的な強さでタイトルを獲得した。しかし、今シーズンはビロポートも万全の状態でこのシリーズの開幕を迎えた事もあり、ディフェンディングチャンピオンであるダンジーも簡単には勝てない事が予想される。
モト1(30分+2周)、ホールショットは昨年のこのレースのウィナー、ジェイムズ・スチュワート(スズキ)。その後にビロポート、ジョシュ・グラント(ヤマハ)、ダンジーが続く。しかし、すぐにビロポートがスチュワートからトップを奪い、2位に落ちたスチュワート以下との差を瞬く間に広げ始める。3ラップ目、今度はダンジーもスチュワートをパスし、トップのビロポートを追撃開始するが、すでにビロポートとの差は大きく開いていた。一方、スチュワートの実弟であり、このプロモトクロスシーズンから450クラスにエントリーするマルコム・スチュワート(ホンダ。スーパークロス時は250ccKTM)は、スタートこそ10以下に沈んだが、そこから徐々にポジションを上げ、一時は6位まで上がった。しかし、中盤マシントラブルでDNF(リタイア)となってしまう。彼と同じく徐々にポジションをアップして来ていた、2011シーズンの250クラスチャンピオン、ディーン・ウィルソン(カワサキ)も中盤でクラッシュし、大きくポジションを落とす事になった。結局1ラップ目からトップに立ったビロポートが2位との差を大きく広げたままフィニッシュ、2シーズン振りのレースで見事な復活勝利を挙げた。2位にはダンジー、3位にはスチュワートがそれぞれ入った。
モト2、ホールショットはまたしてもスチュワートが奪う。その後にダンジー、ブロック・ティックル(スズキ)、トレイ・カナード(ホンダ)が続くが、すぐにビロポートとカナードがそれぞれ3位、4位までポジションを上げる。ここから、スチュワート、ダンジー、ビロポートの3人による接近戦が展開されるが、5ラップ目にビロポートが一気に2人をパスし、トップに立つ。また、ダンジーもスチュワートをパスし、トップのビロポートを追うが、この日のビロポートは強く、どんどん後続との距離を開き始め、レース後半には10秒以上のリードを築いていた。一方、スタートでミスし後方からのレースとなったジャスティン・バーシア(ホンダ)も徐々にポジションをアップし、レース後半には5位までポジションをアップさせていた。結局、最後までリードを広げ続けたビロポートが優勝、2位にはダンジー、3位にはスチュワートが入り、モト1と同じ順位のポディウムとなった。
今回のラウンド1、ハングタウンでは2年振りにアウトドアにエントリーしたビロポートがスーパークロス後半戦同様、圧倒的な強さで勝利したが、まだまだシーズンは始まったばかり。今回はトップに絡む事の出来なかったホンダ勢やプロサーキット(ウィルソン)もトップに絡んでくる可能性は十分。来週もまた楽しみだ。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 1-1 | 2 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | |
2 | 2-2 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | |
3 | 3-3 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | |
4 | 4-4 | 41 | T・カナード | Honda Muscle Milk | Honda | |
5 | 5-5 | 51 | J・バーシア | Honda Muscle Milk | Honda | |
6 | 8-7 | 35 | R・サイプス | Rockstar Energy Racing | Suzuki | |
7 | 6-10 | 29 | A・ショート | BTOSports.com/KTM | KTM | |
8 | 12-6 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | |
9 | 28 | 28 | T・ラトレイ | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
10 | 13-8 | 46 | W・ペイック | - | Suzuki |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 2 | R・ビロポート | 50 | Kawasaki | |
2 | 1 | R・ダンジー | 44 | KTM | |
3 | 7 | J・スチュワート | 40 | Suzuki | |
4 | 41 | T・カナード | 36 | Honda | |
5 | 51 | J・バーシア | 32 | Honda | |
6 | 35 | R・サイプス | 27 | Suzuki | |
7 | 29 | A・ショート | 26 | KTM | |
8 | 800 | M・アレッシ | 24 | Suzuki | |
9 | 28 | T・ラトレイ | 24 | Kawasaki | |
10 | 46 | W・ペイック | 21 | Suzuki |
スーパークロスではウエスト、イーストの2クラスでシリーズ戦が行われていた250クラスだが、アウトドアは1クラスで開催されるため、毎年スーパークロスより濃いメンバーでのシーズンとなる。そしてこのクラスのディフェンディングチャンピオン、ブレイク・バゲット(カワサキ)がスーパークロスでのケガから復活するというのも大きなニュースとなっていた。ただ、超注目のゴールデンルーキー、アダム・シアンサルーロは風邪のため、今回は欠場となってしまった事だけは残念だ。
モト1、ホールショットはディフェンディングチャンピオンのバゲット。その背後にはマービン・ムスキャン(KTM)、そして3位にはなんとルーキーのクーパー・ウェブ(ヤマハ)が着けるエキサイティングな展開となる。そのウェブは、3番手のポジションを懸けてブレイク・ウォートン(スズキ)とバトルを繰り広げるが、2ラップ目にはイーライ・トマック(ホンダ)が彼らをあっさりとパスし、3位へポジションをアップさせる。一方、トップ争いも2ラップ目にムスキャンがバゲットをパスし、リードを広げ始めるが、バゲットの後方からは勢いに乗るトマック、ケン・ロクスン(KTM)の2人が上がってきていて、バゲットは彼らにもパスされてしまう。トマックよりもさらにハイペースでレースを展開するロクスンはトマック、ムスキャンも立て続けにパスし、序盤で早くもトップへと立ち、その後もペースを落とす事なく走り続けた彼は、レース後半には2位のトマックに対し、5秒以上のアドバンテージを築いていた。
一方、ルーキーのウェブは後半に入ってもペースが落ちる事はなく、ダーリン・デュラム(カワサキ)との5位争いにも勝利した。ラスト2ラップ、トップのロクスンは完全に単独トップをキープしていたが、2位争いがトマックとバゲットとの間で繰り広げられる。結局バゲットのミスにより、トマックの2位が確定するが、ロクスンを脅かすまでには至らず、ロクスンがスーパークロスの好調を維持しオープニングレースを制した。
モト2、ホールショットはザック・ベル(ホンダ)。しかし、バゲット、ロクスンがすぐに前へ出てレースをリードする。絶好調のロクスンは1ラップ目にあっさりバゲットをパスし、早くも独走態勢を築き始める。後方からはムスキャンがウォートン、ベルに迫り、3ラップ目には彼らを抜去る。しかし、3ラップ目の最終コーナーで接触し、両者共に転倒、ポジションを大きく落とす事になる。一方、後方からはモト1で2位を獲得しているトマックが驚異的なペースで前を走るライダーをパスし続け、5ラップ目にはロクスン、バゲットに続く3位までポジションをアップさせていたが、その後ろからはジェイソン・アンダーソン(スズキ)もトマックに続くようにポジションをアップさせて来た。一度は転倒で大きくポジションを大きく落としていたムスキャンだったが、レース中盤には再び5位までポジションをアップさせ、アウトドアでも好調をアピール。一方、モト1同様、トップを独走するかに思われたロクスンだったが、バゲットが粘りのライディングでロクスンに徐々に迫り、レース中盤から後半にかけて再び彼らは接近戦を繰り広げる事になるが、やはりこの日のロクスンは強く、最終的にはバゲットに5秒以上のアドバンテージを築いたままフィニッシュ。自身初の1-1パーフェクト勝利という素晴らしい結果で、ラウンド1を終えた。また、2位にはバゲット、3位にはトマックが入り、彼ら3人が両モトともポディウムを独占する結果となった。
ロクスンがスーパークロスに引き続く強さを見せたラウンド1、ハングタウン。大方の予想通り、ロクスン、バゲット、トマックがレースを支配したが、モト1のウェブのように彼らに迫るライダーも今後現れるだろう。2013AMAモトクロスシリーズは、まだまだ始まったばかり。今後の展開が楽しみだ!
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 1-1 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | |
2 | 3-2 | 1 | B・バゲット | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
2 | 2-3 | 17 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | |
4 | 4-4 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | |
5 | 9-5 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | |
6 | 8-7 | 38 | K・カニンガム | StarRacing | Yamaha | |
7 | 12-6 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Suzuki | Suzuki | |
8 | 7-13 | 77 | J・マーティン | Star Racing | Yamaha | |
9 | 10-11 | 176 | J・サバージー | JDR/J-star/KTM | KTM | |
10 | 13-9 | 317 | J・ヒル | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 94 | K・ロクスン | 50 | KTM | |
2 | 1 | B・バゲット | 42 | Kawasaki | |
2 | 17 | E・トマック | 42 | Honda | |
4 | 25 | M・ムスキャン | 36 | KTM | |
5 | 338 | Z・オズボーン | 28 | Honda | |
6 | 38 | K・カニンガム | 27 | Yamaha | |
7 | 21 | J・アンダーソン | 24 | Suzuki | |
8 | 77 | J・マーティン | 22 | Yamaha | |
9 | 176 | J・サバージー | 21 | KTM | |
10 | 317 | J・ヒル | 20 | Kawasaki |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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