キャブいじり その1

掲載日:2011年01月07日 バイク基本整備のイロハバイクメンテのウンチク    

キャブいじり その1

専用工具の重要性

バイクいじりが3度のメシよりも好きなサンデーメカニックならば、過去に何度かはキャブレターの分解メンテナンスを実践したことがあるはずだ。メンテナンス時には各種工具を利用するが、キャブレターのような「精密機器」をいじる際には、それなりに吟味したハンドツールを利用したいものである。一般的に「締め付けトルク」は決まっており、標準データとしてはM5のボルトで8Nm前後。M6なら10Nm前後。M8なら20Nm前後となるが(もっと細いボルトもありますね)、キャブレターの場合は、細かで精密な各種通路や生産性向上のために混ぜ物(亜鉛など)が入ったアルミダイキャスト製のため、一般的なアルミ製エンジン部品の締め付けとは違い、標準締め付けトルクよりも若干弱めに締め付ける傾向がある。そんな繊細なキャブレターだからこそ、各種パーツの締め付け時には、十分な注意が必要だ。例えば、メインジェットホルダを緩めようとしたところ、あろうことか締め付け座の根元部分から「ボキッと折れてしまった……」といった例もある。また、締め付け部品ではないが、なかなか抜けないフロートピンを抜こうとして平ポンチで叩いたところ「支柱が根元から折れてしまった……」といった例も少なくない。それらトラブルの原因は、おそらく以前に分解されたときに、勢い余ってチカラ強く締め付けられていた=完全なるオーバートルクが原因だと考えられる。メインジェットの締め付けなども同様である。レース用バイクのオーナーやエンジンチューニングファンは、キャブセッティング時にメインジェットを交換する機会が多いと思うが、このメインジェットの締め付け時にゴツイ工具を使っていないだろうか? 写真のツールは、メインジェット交換専用の商品である(ポッシュフェイス取り扱い)。仮に、このジェット交換時に6mmのメガネレンチを使い、グイッと締め付けると、それはもう間違い無くオーバートルクになってしまう。しかし、この専用工具を使い「指先の力」でクイッと締め付ければ、オーバートルクになる心配も少ない。メインジェットを交換しようと思ったときに「ジェットホルダーやニードルジェットごと外れてきた!?」といったときには、間違いなく締め付けトルクが強過ぎると考えられる。そんなことが続くと、後々大きなトラブルになり兼ねないので注意が必要である。ちなみに、マイナスドライバーを利用するタイプのジェット類の場合は、専用のキャブドライバーやグリップ部分が細身のドライバーを利用すれば、オーバートルクの心配を減らすことができる。

あぁ……。こんなことにならないためにも、工具をしっかり準備しつつメンテナンス実践に取り組みたいものだ。ピンが抜けないときには無理をせず、ピン周辺をトーチで温め、さらに防錆スプレーを吹き付けながら、少しずつ叩いて抜き取ってみよう。修理部品を間接的に固定するためクランプマウントがあれば(キャブ本体を板やブロックに締め付け、その板やブロックを万力で固定する)、作業性が圧倒的に良くなる。キャブレター本体を万力に直接固定するのはNG。キャブ本体が歪んでしまう恐れがあるからだ。

 

 

あぁ……。こんなことにならないためにも、工具をしっかり準備しつつメンテナンス実践に取り組みたいものだ。ピンが抜けないときには無理をせず、ピン周辺をトーチで温め、さらに防錆スプレーを吹き付けながら、少しずつ叩いて抜き取ってみよう。修理部品を間接的に固定するためクランプマウントがあれば(キャブ本体を板やブロックに締め付け、その板やブロックを万力で固定する)、作業性が圧倒的に良くなる。キャブレター本体を万力に直接固定するのはNG。キャブ本体が歪んでしまう恐れがあるからだ。

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