キャブいじり その9

掲載日:2011年03月11日 バイク基本整備のイロハバイクメンテのウンチク    

キャブいじり その9

スロットルワイヤーの改造【上級者編】

メンテナンス中にスロットルホルダーを分解したところ、インナーケーブルエンドのタイコの根元がほつれかけていて、まさに危機一髪のところで走っていたといった経験のあるサンデーメカニックもいるはずだ。出先でスロットルワイヤーが切れてしまうと、それはもうガッカリしてしまうものだ。強制開閉式ならば、閉じ側の戻し用ワイヤーを取り外し、開き側に無理やり取り付けて走ることも可能だが(ケーブルエンド金具のタイプによってはできない機種もある)、いつも上手く行くとは限らないし、そんなことにならないように日頃からグリスアップや点検は行っておきたいものである。また、キャブレターを交換したまでは良いが、交換したキャブに対応したスロットルワイヤーを買い忘れてしまい、結局は走ることができなかったなどなど、そんな経験を持つサンデーメカニックもいるのでは? そんな状況時に、手元に各種ワイヤー用補修キットがあると大変便利である。ここではディープなサンデーメカニック向けの補修キットを利用しているが、ケーブルエンドのタイコ部分のみを交換できるキタコのK-CONシリーズなどもあるので、ロングツーリングへ出掛けるときなどは、パーツ量販店でキタコのK-CONコーナーを確認しておくのも良いだろう。

 

さて、インナーケーブルがほつれかけているようなときは、その部分からワイヤーをカットして新しいタイコを差し込み、専用ハンダで固定する。ケーブルを切り詰める際には、アジャスター部分の遊びに余裕があるか、必ず事前に確認しよう。仮に、インナーの遊びが足りないような際には、新しいタイコを固定する前にインナーケーブルをアウターから抜き取り、アウターエンド金具をライターなどで熱してプライヤーで引き抜き、螺旋状になっているアウターケーブルをカットする。これによりインナーとアウターの比率を調整できるのだ。この際は、不足した遊び分だけカットしよう。ディスクグラインダーを利用するとスムーズにカットできる。また、グラインダーでアウター螺旋のバリ取りを行なったら、エンド金具を再び熱してアウターエンドにグイッと差し込み(熱することでビニール被服の上を滑り差し込むことができる)、インナーケーブルを通してタイコを固定すれば完成だ。

 

K-CONのようなイモネジ固定式タイコなら、六角レンチで固定すればインナーは抜けなくなる(緩みによる外れも多いので注意)。一方、ハンダ固定式の場合は、専用機器を利用して溶かしたハンダを流し込み、抜け止めを行なう。ここでは、ハンダポットなる機器を利用したが、冷蔵庫でゼリーを作るときに使う金属型に鈑金ハンダを入れ、コンロで温めてハンダを溶かし、その中にケーブルエンドを沈めてハンダ固定することもできる。作業前にはタイコ+ケーブル5mm程度を専用フラックスに浸し、ハンダを溶け込ませた直後には、硬めのオイルに浸して冷却することで、タイコ部分の強度はより増すようだ。実践する機会がある際には、段取りも忘れずに実践しよう。

ハンダポットと呼ばれる専用機器で鈑金ハンダを溶かし、溶解したところでフラックスに浸したケーブル&タイコをチャポッと浸す。浸す時間はものの数秒で良い。タイコをハンダごてで温めて作業しても、熱量が少なくタイコ内部までハンダが染み渡らない。タイコを固定する場合は、溶けたハンダの中に沈めるのがベストである。

ハンダポットと呼ばれる専用機器で鈑金ハンダを溶かし、溶解したところでフラックスに浸したケーブル&タイコをチャポッと浸す。浸す時間はものの数秒で良い。タイコをハンダごてで温めて作業しても、熱量が少なくタイコ内部までハンダが染み渡らない。タイコを固定する場合は、溶けたハンダの中に沈めるのがベストである。

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