バイク車検のお悩みをすべて解決!〜車検制度から期間、罰則、ユーザー車検やその費用まで〜

掲載日:2023年06月12日 購入基礎知識バイク購入基礎知識    

取材・文/桑本 大助

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自動車や250cc超のバイクが2年ごとに受ける日本の車検制度。対象バイクの所有者なら車検を受けることは義務というのは、みなさんご存知ですよね。今回はそんな車検制度について、あらためて調べてみましたのでご一読ください。

【この記事の目次】
1.バイクの車検について
2.車検を受けるには
3.気になるユーザー車検の流れは?
4.車検後の注意点など

1.バイクの車検について

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250ccを超えるバイクは、車検を受けないと乗り続けることはできません。2年に一度しかないため、身近に感じることが難しいかもしれませんが、安全に愛車に乗り続けるためにも、ここで考えてみましょう。

そもそも車検とは?

車検は、道路運送車両法により、車やバイクの所有者が受けることを義務付けられています。ミニカーや小型特殊自動車を除く自動車や排気量250cc超のバイクに対して、保安基準に適合しているかを確認するために一定期間ごとに国土交通省が検査を行い、また所有権を公証するために登録するのが車検制度です。だから、その正式名称は「自動車検査登録制度」なのです。

日本ではあたりまえの車検ですが、例えばアメリカは国の制度としてはなくて特定の州ごとで実施されていたり、欧州では日本と似たような車検制度があったりと、国ごとによって違いがあります。

費用も時間もかかる車検制度ですが、国が強制的に定期的な整備の機会を設けることで、どんなめんどくさがりの人でも安全基準を満たしているバイクに乗ることで、社会全体としての安全性の向上を果たしているという側面は見逃せません。

バイクの車検の期間は? いつから受けられる?

車検の対象となるのは250cc超の二輪小型自動車(小型二輪)クラスのバイク。新車で購入した場合は3年後、それ以降は2年に1回、車検を受けることが義務付けられています。中古車を購入した場合は、車検の有効期限は購入時に関わらず、車検証に記載されている満了日までとなります(昔は10年を過ぎると1年車検でしたが1995年に変更され現在は10年を過ぎても2年車検となります)。

また、車検は車検証に記載されている満了日の1ヶ月前から受けることができます。切れてしまうと公道を走行できなくなるので余裕を持って車検の予定を立てることが大切です。

車検の更新通知は、運輸支局など役所から届くことはなく、購入したデーラーや販売店からサービスの一環として届くことが一般的です。ただし、個人売買や転居してしまうと届かないことも稀にありますから、愛車の車検タイミングは自分で把握しておくのが一番大切です。

車検を受けてないとどうなるの? 罰則は?

無車検運転は道路運送車両法違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。また違反点数は6点となりますので免許停止30日間の行政処分に科せられる場合があります。

車検を通すために自賠責の加入は必須なので車検を受けていれば問題はありませんが、無車検かつ自賠責保険未加入の場合はさらに罰則は重くなり、1年6ヶ月以下の懲役もしくは80万円以下の罰金です。

昔の個人的な体験ですが、友人が引っ越しするので別の友人からトランポを借りてあげて、たまたま行われていた検問で、なんとトランポの車検切れが発覚して一大事。私も貸してあげた友人も大変なことになったのは高い勉強代でした。知り合いからバイクを借りる機会もたまにはあると思いますが、知り合いだからといって安心せずに、自分を守るために車検証の確認はお忘れなく。ほんとに、まさかってことが起こってからでは遅いのです。

それでも車検をうっかり切らしてしまった場合は?

無車検では自走は不可となりますので、車検切れの場合は、ディーラーや販売店で引き取りから納車まで一貫した車検サービスを用意している場合がありますので相談してみましょう。近くだからといって油断すると、もしもの際に大変なことになります。

引き取りサービス対応不可やユーザー車検で検査場まで自走で行きたい、どうしてもトランポを用意してバイクを運ぶことができない場合は、一時的に移動するために仮ナンバーを取得する方法があります。

仮ナンバーは居住している市区町村役所の窓口で発行される「臨時運行ナンバー」で、ひつような書類と750円程度の費用で発行してもらうことができます。ただし申請した経路や用途以外には使うことはできないので、車検切れのバイクに試乗するなどの用途にはNG。また、業者が陸運支局などに申請して整備工場間の輸送に使える「回送運行ナンバー」というものもありますが、こちらはあくまでも業者用となります。

電動バイクの車検はないってホント?

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BMWのCE04など高出力の本格電動バイクが登場しており、その存在が注目されています。電動バイクの区分けは道路運送車両法に記載されていて、原付一種が定格出力0.6kW以下、原付二種が0.6kW超〜1.0kW、軽二輪が1.0kW以上という区分。つまり大型バイク並みの出力でも軽二輪扱いなので、現在の法律では車検は不要です。ちなみに、道路交通法は2019年12月に改正され定格出力20KWを超える電動バイクは大型自動二輪免許が必要になりました。現状では、実情に法律が追いついていないようですが、今後の普及にともなってどのように見直しされるか注目です。

2.車検を受けるには

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ひとくちに車検と言っても、さまざまな車検サービスがあります。しっかり整備して車検を受けるか、出来る限り安く済ませたいなど、ニーズによってどの車検サービスを受けるかを考えてみましょう。

指定工場、認定工場って違いはあるの?(※1)

ディーラーや販売店、量販店など、さまざまなショップで車検を受け付けていますが、指定工場や認証工場を掲げているのを目にすることも多いと思います。そもそも250cc超のバイクの分解整備をするには地方運輸局長の認証を受けなければならなくて、一定規模の作業場、作業機械、従業員を有する工場がこの自動車分解整備事業の認証を受けた「認証工場」と呼ばれます。

厳密にいうと認証を受けていないと250cc超のバイクの分解整備をしてはいけないことになっています。認証工場の場合は、車検ラインを持たないので自社で整備したのち、車検場に持ち込んで車検を受けます。認証工場のうち、さらに検査の設備を有し検査を行う検査員がいる工場を地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をすると民間車検場とも呼ばれる「指定工場」になり、自社の車検ラインで車検を行うことができます。

実際には、認証を受けていないバイクショップは多くありますが、技術力や整備力が高くても従業員の人数や資格、設備などの基準の問題で認証を受けていないことも多く、技術とはまた別の理由で認証を受けられないこともあります。認証があれば安心の目安にはなりますが、あるなしにかかわらずショップに対する信頼性や技術力を見抜く目を持つことは大切です。

さまざまな車検サービスの特徴

車検を受けるにもいくつか方法がりますので、特徴などと合わせて考えてみましょう。まず、大きく分けてショップなどに依頼するいわゆるディーラー車検と呼ばれるものと、自分で車検場に持ち込むユーザー車検の2つに分けられます。

ここでいうディーラー車検はショップに依頼して車検を通してもらうという意味で、ショップとしては正式なディーラーから街のバイク屋さん、量販店などが考えられます。なによりも自分の手が掛からないのが最大のメリットで、プロに依頼して愛車の整備や点検などが受けられ、安心して車検後もバイクに乗ることができるところが魅力。

対してユーザー車検は手間と時間はかかりますが、自分で整備をするだけに価格が最低限に抑えられるのが魅力です。どちらがいいとは一概には言えませんが、自分にあった車検を考えて日頃から愛車に接していくのも大切ですね。また日頃の整備状況によって交換する部品代が別途かかったりすることもお忘れなく。

■ディーラー車検
ホンダは「ホンダドリーム」、ヤマハは「YSP(ヤマハスポーツプラザ)」、スズキは「SBS(スズキバイクショップ)」、カワサキは「カワサキプラザ」と、それぞれ各社がディーラー網を整備しています。なんといってもディーラーのメリットは、扱うバイクメーカーがそれぞれ統一されているので整備やサービスの質が統一され、メーカーの推奨する条件でメンテナンスが受けられるなどが最大のメリット。各社の思惑は同様なのでしょうが、カワサキの広報部ではカワサキプラザの指定工場を目指しているといった記事も見つかります。

ディーラーは指定工場か認証工場の認定を受けていますが(それがディーラーになる条件なので)、ディーラー車検の一番の特徴はなんといっても安心して依頼できる信頼性の高さですね。法定費用+しっかりした整備代がかかりますので、価格が高いってイメージですが、それに見合ったサービスと安心だと考えましょう。車検証の受検形態の表記は「認証整備工場」と記載されます。

■ディーラー以外のショップなど
ディーラー以外の街のショップでも車検は受け付けてくれます。愛車の車種に得意な懇意にしているお店や、昔から付き合っているお店に頼むのもありですね。上で説明したように実際には認証工場・指定工場を持っていないバイクショップのほうが多いようですが、整備力や整備センスなどは認証をとっているのとは別問題。形式的には「ユーザー車検代行」という形になって車検証の受検形態は「その他(使用者以外の者により受検が代行された場合)という表記になります。ショップに頼む場合は、きちんとしっかり整備してもらって車検をお願いしたいのか、車検を通す最低限の整備で依頼するのか、そこで大きく料金が変わってきます。何事も人と人ですから、費用の面も含めてしっかり話し合って依頼するのが大切ですね。

■量販店などの車検サービス
バイク用品量販店のナップスや2りんかんをはじめ、そのほかの量販店などでも車検が受けられます。料金プランが明確で予算が分かりやすく、比較的リーズナブルで気軽に受けられるのがポイントです。また車検専門業者でもバイクの車検プランを用意しているところもありますので比較してみると格安で車検が受けられるところも見つかります。

■ユーザー車検
常日頃から愛車にたっぷり愛情をかけて消耗部品を適宜交換したりメンテナンスをしているなら、ユーザー車検にチャレンジしてみるのもおすすめです。自分で車検場に持ち込んで法的費用だけ支払えばいいので一番リーズナブルな方法とも言えます。手続きや方法などは「自動車検査登録総合ポータルサイト」(※2)が充実しているので、一度覗いてみるといいと思います。

3.気になるユーザー車検の流れは?

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上記のポータルサイトで一連の流れが紹介されいますが、簡単に流れを説明します。

1.車検項目の把握
基本的な流れを把握して、どんな検査項目があるかを確認しましょう。

2.愛車の状態をチェック&整備
1.で確認した検査項目に合格するように愛車をチェックして必要な箇所はメンテナンスしておきましょう。基準などが不明だったり自信がない場合は、ショップに頼んで整備してもらうのが、急がば回れの場合もあります。検査項目を理解した上で日常的にメンテナンスを心掛けてみたいですね。

3.必要な書類を準備する
自動車検査証、自動車重量税納付書、点検整備記録簿、自賠責保険証明書、重量税納税証明書・印紙、自動車検査票、手数料納付書、印紙、証紙などが必要です。

4.継続検査申請書(3号様式)を準備する
車検を受ける運輸支局でも作成できますが、ポータルサイトで申請書を作成できます。事前に作成しておくと当日の申請がスムーズになります。

5.費用を算出して用意する
・自賠責保険料(250cc超)(※3)/12ヶ月7010円、13ヶ月7150円、24ヶ月8760円、25ヶ月8910円、36ヶ月1万490円、37ヶ月1万630円
(自賠責保険期間と車検期間の時間にズレが生じて自賠責だけ期限切れにならないように1ヶ月余分に契約するのが一般的。2023年4月1日以降の本土の場合。沖縄や離島は地域によって異なります)
・検査手数料/バイクの持ち込み検査の場合1800円
・自動車重量税(※4)/登録後12年まで年額1900円、13年から17年は年額2300円、18年以上は年額2500円
・点検整備料、車検代行料/ショップに整備を依頼する場合は別途必要ですが、自分でユーザー車検を受けて合格状態に整備できているのなら不要となります。

6.検査の予約
受検する予定が決まったら、最寄りの検査場で検査の予約をします。予約は「自動車検査インターネット予約システム」(※5)を使いオンラインで予約が可能で2週間前から受け付け可能。また車検は全国どこの車検場でも受けられるので予約ができない場合は他の検査場でも受けられます。

7.検査受付
当日は検査申請書を窓口に提出して予約および書類の内容の確認。また検査が始まる前に検査コースを見学して流れを把握しておくとスムーズに受けられます。

8.検査の実施
指定された検査コースの案内にしたがって受検。

9.検査結果の確認
合格の場合は用意しておいた書類を提出すると新しい自動車検査証および検査標章(ステッカー)が交付されるので、書類の内容を確認して、愛車のナンバーにステッカーを貼り付けます。

不合格の場合は?

整備不良などで不合格の場合は、不合格項目を整備して再度検査を受けます。受検当日であれば初回を含め3回まで再入場が可能で、当日合格しない場合は限定自動車検査証の交付を受けることで、15日以内であれば限定自動車検査証に記載された不合格部分のみの受検が可能となり、その場合の検査手数料は1400円となります。

4.車検後の注意点など

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当たり前ですが、車検は合格した時点で保安基準に適合したことを証明するもので、次の車検までは安全ということではありません。合格したからと安心していないで、次の車検まで注意することを改めて考えてみましょう。

車検証の保管

道路運送車両法では、車検証と車検シールの携帯が義務付けられており、不携帯の場合は50万円以下の罰金が科せられます。また、電子車検証は厚紙にICタグ入りですから、防水パックに入れて水に濡れて破損しないように保管しましょう。個人情報が多く記載されているため、盗難などにも注意が必要です。

車検証の電子化

2023年1月4日以降から、電子車検証の発行が始まっています。今までA4サイズの紙の車検証からA6サイズの小ぶりな厚紙にICタグが貼付されて携帯には便利になりましたね。電子化されたことで一部記載内容が簡略され、所有者の氏名や住所は記載されず、車検証閲覧アプリに登録して確認することができます。

電子車検証ならではのメリットとして、今まではディーラーや販売店からのサービスの一環として車検時期のお知らせ通知が届く以外は自分でしっかり覚えていないといけませんでしたが、アプリを入れておくと確認60日前、30日前、1日後に車検証有効期間のお知らせやリコール情報が通知されるなどのサービスがあります。

また、現在は車検証の交付を受けるために運輸支局へ受け取りに行く必要がありますが、今後は、整備事業者の事業所内などで車検証の有効期限を更新するなどの仕組みも新たに導入される計画です。電子車検証に関しては「電子車検証特設サイト」(※6)に仕組みやアプリのことなどが詳しく紹介されているので一度覗いてみると勉強になります。

駆け足で車検について調べてみましたが、電子車検証の発行によってこれから便利に変わっていくことが期待できそうですね。新しい仕組みになって、いざというとき焦ったりしないように今後の動きにも注目です。250cc超のバイクに乗るなら車検を受けることは義務ですが、めんどくさいと思わず2年に一度その意義を考えるいい機会。車検を通すことは大切ですが、日頃のメンテナンスが大切なのは言うまでもないこと。これからも愛車を大切にしてもっともっとバイクライフを楽しんでください!

(※1)国土交通省自動車整備工場の違い
https://www.mlit.go.jp/jidosha/ninshoutoshiteinochigai.html
(※2)自動車検査登録総合ポータルサイト
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/index.html
(※3)自賠責保険料
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202301_table.pdf#view=fitV
(※4)自動車重量税
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000076.html
(※5)自動車検査インターネット予約システム
https://www.reserve.naltec.go.jp/web/ap-entry?slinky___page=forward:A1001_01
(※6)電子車検証特設サイト
https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/

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