【スペックから読み解くバイク基礎知識】これでエンジンの気筒数や配列がひと目でわかる、Vツイン、ボクサーエンジンって何?

掲載日:2023年11月01日 購入基礎知識バイク購入基礎知識    

取材・文/伊井 覚

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バイクのスペックに関する基礎知識を解説してきた本企画も5回目。前回に引き続きエンジンの種類について触れていきます。前編ではエンジンの冷却方式と型式について説明を行いましたので、中編となる今回は気筒数とシリンダーの配列について、見分け方や特性をわかりやすく解説していきたいと思います。

【この記事の目次】
●単気筒
●2気筒
●3気筒
●4気筒

単気筒

「気筒」とは文字通り、混合気の入る筒、つまりシリンダーのことを指し、気筒数はシリンダーの数のことになります。単気筒はシリンダー1つ、2気筒は2つ、4気筒は4つという具合ですね。

以前の記事で解説している通り、シリンダーの容量×気筒数がバイクの総排気量となっており、気筒数が多いバイクは必然的に総排気量も大きくなる傾向にあります。逆に50cc〜125ccのような小排気量車は原則として単気筒で作られているケースがほとんど。一方で量産車に用いられる単気筒エンジンの中には800ccもの排気量を持つものもあり、これらはビッグシングルなどと呼ばれ、独特のフィーリングと個性で人気を集めています。

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水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒250ccエンジン(HONDA/CL250)

2気筒

2気筒以上になると、そのシリンダーの配列の仕方で様々な呼び名があります。並列(正列・直列表記も同義)、V型、水平対向などとスペック表に書かれているのを見たことがあると思います。シリンダーの中ではピストンが上下運動をしており、そのシリンダーをどう並べるか、そしてそれぞれの気筒の爆発するタイミングをどう制御するか、などによってエンジンのフィーリングが異なってくるため、各メーカーが試行錯誤して研究開発しているのです。

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水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒775ccエンジン(SUZUKI/GSX-8S)

並列(パラレル)の場合は文字通り、2つのシリンダーがシンプルに隣り合って並んでいます。V型はシリンダー同士に角度がついてV字を形成しており「Vツイン」などとも呼ばれます。Vの角度も様々で、ドゥカティでは90度に開いたV型エンジンをL型と表記しています。また、エンジンの搭載向きにも違いがあり、ハーレーダビッドソンのような横置きVもあれば、モトグッツィなどに見られる縦置きVツインも存在します。

さらにBMWではシリンダーが車体の左右に大きく張り出したものもあり、これは水平対向エンジンと呼ばれています。パンチを打ち合うようにピストンが動くことから「ボクサーツイン」と呼ばれることもあります。

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水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒1301ccエンジン(KTM/1290 SUPER ADVENTURE R)

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空油冷2気筒4ストローク水平対向1801ccエンジン(BMW motorrad/R18)

3気筒

一般的に単気筒、2気筒、4気筒で構成されることの多い昨今のバイク市場ですが、メーカーによっては3気筒エンジンも存在します。1つがヤマハのMT-09やXSR900に採用されている並列3気筒エンジン。そしてMVアグスタにも3気筒エンジンのラインナップが人気モデルとして存在しています。中でも特に有名なのはアドベンチャーバイクからネイキッドスポーツまで多くの3気筒バイクを持つトライアンフでしょう。メーカーのシンボルともなっているトライデント(三叉の槍)からもわかるように、3気筒エンジンには特別なアイデンティティが与えられているのです。また、最新のトライアンフTIGER900/1200シリーズでは不等間隔爆発のTプレーンクランクが採用されており、オフロード走破性の向上を謳っています。

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水冷4ストロークDOHC4バルブ並列3気筒1160ccエンジン(TRIUMPH/TIGER1200 GT PRO)

ひと言で言ってしまえばトルクのある2気筒エンジンと、高回転まで回る4気筒エンジンの中間的な特性なのですが、それぞれに味付けが異なっており、一概には評価できない面白いエンジン特性を持っています。

4気筒

4気筒はHONDA CB750に代表される高回転型エンジンで、大型バイクに多く用いられています。シリンダーの数が多いということは当然ながらエンジンが重くなってしまい、スピードを出すために大きなパワーを必要とします。

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水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒948ccエンジン(KAWASAKI/Z900RS)

2000年代まではHONDA ホーネット250やKAWASAKI バリオス2など、4気筒の250ccエンジンを搭載したマシンも人気でしたが、年々厳しくなる排気ガス規制に対応できず、次々と姿を消していきました。しかしながら2020年にカワサキが250ccの4気筒エンジンを開発し、ZX-25Rを発売。そのエンジンの最高出力は15,500回転で発生すると言われています。もちろんトップギアでやったら危ないとは思いますが、2~4速といった常用域のギアで高回転をキープしながら走る面白さには、単気筒エンジンなどとはまったく違う独特のものがあります。なお、過度の回しすぎはエンジン故障の原因になりますので気をつけましょう。

ZX-10RやYZF-R1、CBR1000RR-R、M1000RRといった全日本ロードレース選手権の最高峰クラスで戦うスーパースポーツはほとんどのメーカーで4気筒エンジンが採用されていますので、4気筒エンジンの音を聞くとサーキットを連想する人も多いのではないでしょうか。

さらには6気筒エンジンというのも希少ですが存在します。簡単な見分け方としては、「エンジンからエキパイが何本出ているか」を見れば、気筒数が一発でわかります。XR250など一部例外はありますが1本なら単気筒、2本なら2気筒、4本なら4気筒というわけです。

ぜひ今度から知らないバイクを見た時にはエキパイの本数を数えて、何気筒のバイクなのか、排気音はどんな音がするのか、など意識して観察するようにしてみて下さい。

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