【2023年最新版】「バイクにまつわる税金と保険」〜これを読めばまるわかり〜

掲載日:2023年04月25日 購入基礎知識バイク購入基礎知識    

取材・文/桑本 大助

「バイクにまつわる税金と保険」〜これを読めばまるわかり〜

バイクは交通手段としてだけでなく、趣味として楽しまれる乗り物です。自由で楽しいバイクですが、維持費として避けて通れないのが「税金」と「保険」。普段から意識してバイクに乗る必要はないとは思いますが、ここではバイクにまつわる「お金」としてこの2つをあらためて整理して考えてみましょう。

【この記事の目次】
・バイクにかかる税金は軽自動車税(種別割)と自動車重量税の2つ
・軽自動車税(種別割)
・自動車重量税
・電動バイクの税金は?
・バイクの保険は限度額のある対人補償の自賠責とそれを補う任意保険
・自賠責=自動車損害賠償責任保険
・自賠責保険料
・250cc以下の自賠責はコンビニやネットで登録可能
・自賠責未加入だとどうなる?
・任意保険は自賠責の不足部分を補う保険
・思いのほか低い任意保険の加入率
・なるべく保険料を抑えたいなら

バイクにかかる税金は軽自動車税(種別割)と自動車重量税の2つ

【2023年最新版】「バイクにまつわる税金と保険」〜これを読めばまるわかり〜

バイクにかかる税金としては、軽自動車税(種別割)と自動車重量税の2種類があげられます。ちなみに令和元年10月1日から従来の軽自動車税は「軽自動車税(種別割)」と名称変更されています。それぞれ税金は、納付時期のタイミングや分類が異なっているのでここでいちど整理してみましょう。

■軽自動車税(種別割)

まず、軽自動車税(種別割)は、毎年4月1日現在の所有者に課税されるもので、支払いの義務が発生します。また、年税なので、4月2日以降に廃車や名義変更等の手続きをしても、その年度の税額は納める必要があり還付はありません。譲渡や廃車の手続きは3月31日までに済ませておくのが賢い方法ですね。

支払い通知は、5月上旬ごろに市町村から送られてくるので、金融機関やコンビニで支払いをすれば納税完了。基本的に支払い期限は5月31日ですが、当日が土日祝の場合は6月上旬に延長可。青森県、秋田県は6月30日に設定されています。

期日までに支払わないと督促状が届いてコンビニでの支払いができなくなります。うっかり忘れて、気がついたら延滞金を余計に払うことになったらもったいないですし、必要な出費ですから、支払い通知が届いたら期日を確認して、余裕を持って支払いたいですね。また、車検のある場合は納税証明書が車検の際には必要になります。紛失すると役所で再発行の手間がかかります。無くさないように必ず車検証と一緒に保管しておくことが大切です。

また、軽自動車税は所有しているだけで乗らないバイクにも課税されます。余分な税金を払わないために、しばらく乗らない場合は廃車(一時抹消の手続き)をしておき、公道を走らせたくなったら再登録(250cc超のバイクだと車検が必要)するといったことも有効です。ちなみに、しばらく乗らないでのちに再登録することが前提の一時抹消と、二度と乗らないで解体処分することが前提の永久抹消と、廃車手続きには2種類あります。

軽自動車税(種別割)(※1)
【2023年最新版】「バイクにまつわる税金と保険」〜これを読めばまるわかり〜

■自動車重量税

もうひとつの税金として挙げられるのが自動車重量税です。軽自動車税(種別割)がすべての二輪車に課せられるのに対して、排気量によって異なり、自動車重量税は125cc以下の二輪車には課税されません。

課税対象は125cc超の二輪車で、支払い時期は新車登録時(125cc超の二輪車のみ)と車検時(250cc超の二輪車のみ)となります。通常は購入時の費用に含まれたり、車検時に車検代としてまとめて支払うのがほとんどですので、自動車重量税に関してはとくに支払い時期や期限を意識する必要はありません。

また、税金の還付制度がない(二輪車は自動車リサイクル法の対象外)ので、廃車などしても自動車重量税の還付を受けることはできません。

・自動車重量税(※2)
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■電動バイクの税金は?

最近ではハーレーダビッドソンのLiveWireやBMWのCE04など高出力の本格電動バイクの話題もあり、バイクの電動化の波も続々と押し寄せてきています。電動バイク自体の区分は道路運送車両法に規定されていますが、定格出力(最高出力ではありません)で3つに区分されています。

原付一種が0.6kW以下、原付二種が0.6kW超〜1.0kW、軽二輪が1.0kW以上という区分になるので、定格出力が高くても、例えばLiveWireは定格出力は未発表ですが最高出力102ps、11.63kg-mと大型クラスなみですが、軽自動車税も自動車重量税も軽二輪の扱い。また、軽二輪ということで車検は現状の法律では不要となります。

一方、免許制度に注目してみると、2019年12月までは大型自動二輪免許のくくりがなく普通自動二輪車免許ですべての電動バイクの運転が可能でしたが、道路交通法が改正されたことにより、定格出力20KWを超える電動バイクは大型自動二輪免許が必要になります。

特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード)の今年7月の公道走行解禁の話題もありますし、電動バイクに関しては今後も車検や税金を含めた法整備や運用の整備が必要となりそうでこれからも注目していきたいですね。

バイクの保険は限度額のある対人補償の自賠責とそれを補う任意保険

【2023年最新版】「バイクにまつわる税金と保険」〜これを読めばまるわかり〜

バイクにかかる保険は、略して自賠責と呼ばれることも多い自動車損害賠償責任保険と、多くの保険会社から提供される任意保険の2種類があります。自賠責は、強制保険と呼ばれることもあるとおり、すべての車や原動機付自転車を含む二輪車に法律によって加入が義務付けられている保険で、自賠責なしでの運転は法律違反になります。

■自賠責=自動車損害賠償責任保険

自賠責は交通事故が起きた際、損害賠償責任を負った場合に補償してくれる自動車保険ですが、補償する対象が交通事故の被害者の対人賠償事故の場合のみに限定されているので、他人に怪我をさせたり死亡させた場合のみという点には注意が必要です。車や建物、ガードレールを破損しても対物補償はありません。

自賠責の具体的な補償範囲と支払限度額には3つあります。(※3)

1.傷害による損害の場合(被害者1名に付き)
ケガなどの治療にかかった費用、仕事を休業した場合の慰謝料などで、120万円

2.後遺障害による損害の場合(被害者1名に付き)
後遺症の程度により3000万円まで。精神または臓器の機能障害が残り常に介護を要する場合は4000万円、随時介護を要する場合は3000万円

3.死亡による損害の場合(被害者1名に付き)
逸失利益、葬儀代、慰謝料などで3000万円

以上の限度額が損害額を上回ってしまうとすべて差額は自己負担になってしまうので、やはり任意保険は大切です。

■自賠責保険料

今年の4月1日に自賠責保険料の改訂が行われ、全車種平均で約11.4%の引き下げとなりました。新型コロナの影響で外出自粛や交通安全対策により交通事故が減少して保険金の支払いが下回ったことが値下げにつながったわけですが、2017年、2020年に続いての3回連続の値下げは支払う側としては嬉しいですよね。

・自賠責保険料(2023年4月1日以降の本土の場合。沖縄や離島は地域によって異なります。(※4)

【2023年最新版】「バイクにまつわる税金と保険」〜これを読めばまるわかり〜

(車検がある場合は、車検期間と自賠責保険期間の時間にズレが生じて自賠責だけ期限切れにならないように1ヶ月余分に契約するのが一般的)

なお、自賠責保険料に含まれる新たな賦課金は250cc超は125円、250cc以下は100円となっています。ちなみに従来の賦課金は250cc超だと4円(令和4年度は16円でした)、250cc以下だと2円(令和4年度は6円でした)含まれています。

従来の賦課金は、主に自賠責保険・共済に加入していない無保険(共済)車による事故や、ひき逃げの被害者の死亡・ケガの補償に充てられていましたが、新たな賦課金は被害者の介護やリハビリの支援などの被害者支援の充実、先進的で安全な自動車の導入支援などの事故防止対策の推進に活用されます。

■250cc以下の自賠責はコンビニやネットで登録可能

250cc超の車検のあるバイクは、車検の際に自賠責を登録するのが一般的ですが、車検のない250cc以下のバイクは、保険代理店やバイク屋だけでなく、ネットやコンビニ、一部の郵便局などで自賠責に加入ができて、コンビニでは即日でステッカーの受け取りも可能です。

各保険会社のバイク自賠責保険ページなどで申し込む場合は、24時間いつでも手続きが可能で、クレジット決済されて後日、自賠責保険証明書とステッカーが送られてきます。ただし届くまでは一週間ほどかかりますので保険切れで乗ってしまうことのないように余裕を持って申し込むことが大切です。

コンビニの場合は、店頭の端末でナンバープレートの番号や車台番号を入力すると、またネット予約をしておくことでさらにスムーズに手続きが済んで自賠責保険証明書とステッカーがその場で受け取れるので一番手間がかからなくて便利そうです。

■自賠責未加入だとどうなる?

上述したように、被害者救済のためにある自賠責保険は、すべての車やバイクに加入義務があって、加入しないと公道が走行できないと法律で決まっています。

未加入=無保険のまま公道を走行すると、自動車賠償補償法違反となって1年以上の懲役または50万円以下の罰金&交通違反点数6点となり免許停止処分となります。

自賠責に加入しているが無車検の場合は、道路運送車両法違反となり6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金&交通違反点数6点となり免許停止処分。

無保険&無車検の場合は、1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金。自賠責証明書の不携帯だけでも30万円以下の罰金となります。

400cc超で車検がある場合は車検を通すために自賠責加入は必須ですから忘れることはないでしょうが、原付や250cc以下だと車検がないのでうっかり自賠責の期限が切れたまま走ってるなんてことにもならないように、季節ごとなどに確認してみることも大切ですよね。

■任意保険は自賠責の不足部分を補う保険

法律で加入が義務付けられている自賠責に対して、任意保険は加入が義務付けられていない保険で、自賠責では補償されない不足部分を補う保険と言えます。

先に説明した通り、自賠責では限度額のある対人のみの補償となる一方で、任意保険では自賠責の限度額を超えた対人補償や車や建物、ガードレールなどを損害した場合の対物補償といった相手側に対しての補償だけでなく、自分や同乗者へのケガや死亡した場合の人身傷害補償や、自分のバイクに損害が発生した場合の車両補償、事故の相手が任意保険に加入していないくて補償を十分に受けられない場合の無保険車傷害補償などをカバー。また付帯サービスとして示談交渉サービスやロードサービスがセットされている保険もあります。

もちろん、付帯サービスの種類や補償内容は各保険会社や保険商品によって異なるので、自分に合った任意保険を選ぶことが大切です。

■思いのほか低い任意保険の加入率

自賠責の不足分を補って補償してくれる任意保険ですが、車の場合は全国では近年は90%近い加入率(それでも10台に1台は任意保険未加入)に対して、バイクの場合は2021年3月末で、原動機付自転車を除いた加入率の数値ですが、対人賠償責任保険が約44.8%、対物賠償責任保険が約45.7%、搭乗者傷害保険26.4%、人身傷害15.5%、車両1.6%(※5)と思いのほか低いことが実感できます。

任意保険は掛け捨てで、何もなければお金は戻ってきません。通勤や通学には使わず、週末だけ楽しむくらいだと、気をつけて安全運転していれば加入しなくても大丈夫だろうと思いがちなのは否定できませんよね。運転技術を過信して加害者になることはないと思い込んでしまったり、任意保険料が高いと感じているところも加入率の低さの要因になると思います。

今まで大きな事故にあわず無事で過ごしてきたことは幸いですが、これからの無事も約束されているわけではありません。最近はネットで気軽に見積もりが取れて各社の保険料を比較できたり、安いプランでもロードサービスの特約がついてるなど補償以外の魅力的なサービスがついているものも多いですし、後悔先に立たずと思ってしまう前に、未加入のみなさんはこの機会に任意保険をご一考してみてはいかがでしょう?

■なるべく保険料を抑えたいなら

車のように1日だけ乗りたいときにつかえる1日保険があるといいのですが、バイクにはありません。

バイクを自分で所有していなくて借りて乗ることが多いなら、所有せず借りて運転する人向けのドライバー保険という選択肢があります。

家族が所有する125cc以下のバイクがすべて対象となる自動車保険に付随するファミリーバイク特約は、補償する運転者の範囲が広い、特約は使ったとしても自動車保険の等級は下がらない、ロードサービスは付随しない、車両保険がないといった、任意保険との違いはありますが、賢く利用すれば大きく保険料を節約できます。

レンタルバイクやバイクのサブスクサービスを利用する場合でもレンタル価格や月額料金だけにこだわらず、基本の保険やオプションの補償内容を確認することも大切ですね。

バイクにまつわる税金と保険の話をまとめてみましたが、いずれもバイクに乗るには避けては通れないテーマです。この機会にあらためてバイクライフを振り返ってみたり考えてみて、これからのバイクライフの充実に、ぜひ役立ててくださいね!

※1/バイクの軽自動車税はこちらを参照
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/kobai/keiji/keiji.html
※2/バイクの自動車重量税はこちらを参照
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000076.html
※3/自賠責の支払い限度額はこちらを参照
https://www.giroj.or.jp/publication
※4/バイクの自賠責保険料はこちらを参照
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/cali/pdf/202301_table.pdf#view=fitV
https://www.sonpo.or.jp/insurance/jibai/calc.html
※5/バイクの任意保険加入率はこちらを参照
「任意自動車保険用途・車種別普及率(2021年3月末)118ページ/119ページ目」損害保険料算出機構
https://www.giroj.or.jp/publication/outline_j/j_2021.pdf#view=fitV

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