掲載日:2012年04月27日 バイク用品インプレッション
撮影・文/山下 剛
ようやくシーズンインとなったのに、スターターを押してもセルが回らない……という経験を持つライダーも多いことだろう。たいていはバッテリーが弱っているせいで、充電してやれば解決するものだが、なかには「サルフェーション」と呼ばれる現象に見舞われ、充電不可能な状態になっている場合がある。
サルフェーションといわれても、何のことやらわからないという人は、まずこれを読んでもらいたい。
「バッテリーの電解液中に溶解している硫酸鉛の微粒子が飽和状態になり、電解液の温度が低下した時に結晶化し、不環性の硫酸鉛となる現象です。不環性の硫酸鉛は電気を通しにくい性質を持っていて、極板に付着すると電気の流れを悪くする抵抗になります。また、極板の反応面積が小さくなり放充電能力(容量)が低下し、進行すると化学反応そのものが起らなくなり、通常の充電をしても回復しない使用不能のバッテリーとなってしまいます」
(サインハウスのホームページより転載)。
つまり簡単にいうと、バッテリーを放置しすぎてしまうと通電を邪魔する物質が発生し、充電できなくなってしまうのだ。しかしこの状態を解消してくれるのが、サインハウスが販売している「パルス充電器」なのだ。
具体的なところでは、充電器で満充電となったバッテリーなのに、使用しているとすぐに上がってしまうことがある。これがサルフェーションを起こしている証拠で、こうしたバッテリーに効果があるのだ。このところの定番となりつつあるトリクル機能こそないものの、ついバイクを放置してしまいがちなオーナーにとってはこちらの充電器のほうが使い勝手はいいだろう。
自動停止機能やフェイルセーフ機能を搭載しているので、過充電になることがないのは当然として、他の充電器では充電不可能となったバッテリーを再生できる機能のありがたみは大きい(すべての不能バッテリーを再生できるわけではない)。これまで捨ててしまったバッテリーも実はまだ使えたかもしれないのだ。そういう無駄を省き、バッテリーをトコトン使い倒すことができる充電器は、この時代に必須といえるだろう。とくに複数台のバイクを所有するライダーにオススメしたい。
アルミのメタルボディに、堅牢な取っ手を装備する。使い勝手を考えた設計といえ、ガレージでの使用はもちろんのこと、レースや走行会などサーキットのピットでも活躍する。
本体外寸は145/176/80mm、重量は1.5kgと昨今の充電器と比較すると大きめだが、取っ手のおかげで持ち運びは苦にならないし、もちろんガレージでの保管も邪魔にならない。
設計は充電器の製作で高い信頼性を誇るアルプス計器が手がけており、シンプルかつ堅牢な作りとなっている。この日本製ならではの安心感は、質感の高い金属製のボディが象徴。
ボディ全面のパネルに電源スイッチ、モニターLED、接続コード取り出し口が集中する。モニターLEDは左から電源(赤)、充電中(緑)、異常(黄)を示す。色分けされていてわかりやすい。
底面には4本のゴム足が取り付けられており、凹凸のある場所や滑りやすいところに置いても高い安定性を保つ。もちろん本体の放熱性を高める働きもあり、確実な充電を可能としている。
バッテリーと接続するためのワニ口クリップは、先端まで樹脂製のカバーで覆われており、感電事故を防ぐ。クリップ部はバイク用バッテリーに適した大きさで、端子をしっかりとくわえ込む。