掲載日:2019年10月02日 フォトTOPICS
取材・写真・文/野岸“ねぎ”泰之
2019年9月14日(土)、15日(日)の2日間、東京都港区青山のホンダウエルカムプラザ青山において、『第23回 カフェカブミーティング in 青山』が開催された。
日本全国からスーパーカブ好きが集まるこのイベントには、個性的なカスタムを施されたものを中心に、さまざまなカブが集結。今年も2日間で約700台という多くのマシンがエントリー、さながら“カブの博覧会”状態となっていた。
イベント全体の様子は別の記事で紹介した通りだが、メインの催しとなるのが参加者による人気投票。エントリーした人には1票が与えられ、好きなマシンに投票できるのだ。毎回、個性あふれるマシンが選ばれるこのコンテスト、果たして今年はいったいどんなカブが選ばれたのだろう? ここでは15日(日)の人気投票で上位に入賞したマシンの詳細をお伝えしよう。
第3位に選ばれたのは、埼玉県の鈴木章仁さんの赤いカブ。ベースとなったのはスーパーカブ110、60周年アニバーサリーモデルだ。このモデル自体が、1963年にホンダがアメリカで展開した「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」という広告に描かれたイメージイラストをモチーフにしたもの。鈴木さんのマシンはそのイラストに描かれたマシンを再現したものだという。
車体そのものには手を加えていない、というだけあって、見かけは非常にシンプルでスッキリ。こういうマシンが上位に来るのもカフェカブのいいところ。
目立った改造ポイントはベージュのロングシートとリアキャリアを装着したのみ。これはかつてアメリカで「You Meet the Nicest People on a Honda(素晴らしい人々、Hondaに乗る)」というキャッチコピーで展開された広告イラストのマシンをイメージしたもの。
色も雰囲気もマシンにとてもマッチしているヘルメット。それもそのはず、これはホンダ純正のスーパーカブ60周年記念限定ヘルメットなのだ。
車体のカスタムは行っていないものの、ステッカーチューンは進行中。これからカブとの思い出とともに、どんどんステッカーが増えていくことだろう。
オーナーの鈴木さんは「ほとんどカスタムしていないマシンが3位に選ばれてびっくりしています。でも嬉しいものですね」と話してくれた。
第2位は2人が選ばれた。まずは都内江東区から参加の中島清隆さんのマシンを見てみよう。群馬のカスタムショップ「AToRiKA」が手掛けたもので、中島さんからのオーダーは「たまたま見かけたタイヤに惚れて、“これを付けてください”ってお願いしました。あとはとにかく真っ黒なマシンにして」というものだったとか。
全身が黒くて武骨なイメージで作り上げられたマシン。トラッカー風のカスタムはシンプルだが素直にカッコイイ。
タックロール付きのロングシートはタンデムも余裕。マフラーやリアサスもブラックフィニッシュすると表情がガラリと変わる。
オーナーの中島さんが惚れたのがこのタイヤ。本場アメリカのダートトラックレースをイメージしたダンロップのK180。4.60-18インチという、太く大きいものを装着。
小ぶりなヘッドライトにはバイザーが装着されアクセントになっている。イエローのレンズが個性を主張。
「このマシンでキャンプに行ったりして、ごく普通のバイクとして楽しんでいます」とオーナーの中島さん。ファットなタイヤとアップハンドルの組み合わせは、BMXのようにも見える。
続いて同じく2位だったのは、静岡県から参加の永森諭さんのマシン。ロー&ロングなシルバーの車体は、見るからにチョッパー風のカスタムで目を引く。「最近は太くて径の大きいタイヤが流行りなので、あえて逆に細くて小さめのタイヤで勝負しよう」という発想が出発点だという。パーツのほとんどは、アルミとステンレのワンオフとのこと。
突き出たフロントフォークにブーメランのような極小ハンドル。一目見たら忘れないフォルムは、会場でもひときわ注目を集めていた。
細身のタイヤにチョッパースタイル、が逆に新鮮かも。フレームは15cmほど切り詰めいているが、全長はノーマルのカブと変わらぬよう仕上げているという。
美しくエッチング加工され、模様が入れられたシート。加工はすべて楽しみながら自らの手で行っているとか。
サイドには詩的な英文が刻まれていた。「意味は想像にお任せします」とのこと。そしてなんと、チェンジペダルはハンドシフトに変更済み!
オーナーの永森さんは5回目の出場で、毎回入賞を果たしている。「毎回全く違ったコンセプトのマシンを作るのが楽しみなんです」とコメントしてくれた。
人気投票第1位に輝いたのは、埼玉県から参加した木村基さんのマシン。2017年の東京モーターショーに出品された、ゴールドの1億台記念車を再現したという。「発表されたマシンを会場で穴が開くほど見て、さらに自分なりに完成度を高めたものです」とのこと。全工程を仕事が終わった夜間作業のみ、11日間で仕上げたというから驚きだ。
2017年の東京モーターショーに出たプロトタイプを単に真似しただけではなく、色味や細部について「自分ならこう仕上げる」と独自のアレンジを加え、オリジナリティを出しているのが素晴らしい
こだわりの一つがフロントフォーク。「プロトタイプのフォーク本体はシルバーでした。でも、全体に金のほうが絶対いい」と塗装。ゴールドの色味やラメ具合にもこだわりがあるという。
スーパーカブのロゴはC125のものを使用。中央の1億台・60周年記念ロゴは自分で型をおこして発注し、作ったものだという。ちなみにレッグシールドもラメ入り塗装だ。
懐かしいホンダロゴがペイントされたハーフキャップのヘルメット。昭和50年頃のホンダ純正で、今回の車体イメージに合うようオリジナルペイントを施したものだという。
カフェカブミーティング初参加にして1位を勝ち取った、オーナーの木村さん。「実はエンジンも塗装してあるんです。見えないところでもこだわる、それがまた楽しいんですよね」と話してくれた。
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