掲載日:2023年02月13日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/小松 男
PHOENIX ENGINEERING GUNNER125
筒状のフレームをメインとしたボディワークは、誰しもが目を奪われる圧倒的な存在感であり、世の中のライダーを驚かせたフェニックス ガンナー。これまでバイクブロスマガジンズでのインプレッションにおいても、ガンナー50、ガンナー100と紹介してきた。そのガンナー50/100の兄貴分となるガンナー125が登場。基本的な車体構成を共通としていたガンナー50と100と違い、フレーム、エンジン、足まわりとすべてにおいて新設計とされた完全なるブランニューモデルだ。
個性的なスタイリングには興味があるものの、50ccや100㏄エンジンではパワー不足感があるかもと、二の足を踏んでいた諸兄も注目の一台。発売間もないガンナー125の実車に早速触れてテストライドを行うことにした。
2021年初頭に国内での販売を開始したガンナー50は、バズーカバイクと揶揄されるその独特なスタイリングで一世を風靡する存在となった。そしてヒットモデルとなったガンナー50を追い、2021年後半には排気量が引き上げられたガンナー100が登場することとなる。そして先日、さらなる大排気量バージョンでありフラッグシップモデルという位置づけのガンナー125が追加されたのだ。
ガンナー50/100がいわゆる横置きエンジンだったのに対し、今回のガンナー125では縦型エンジンを採用。心臓部の大幅なパフォーマンスアップに合わせて、フレームも太くされている。さらに前後サスペンションもグレードが引き上げることで足まわりも強化している。これは乗る前から期待してしまう。
そもそもガンナーを製造するフェニックスエンジニアリングはタイのベンチャーブランドであるが、元をたどれば日本メーカーのバイク製造を手掛けてきたチームにより立ち上げられたということや、日本のチューナーとも密に連携し開発がなされていることもあり、見た目通りのホビーバイクとして楽しめるだけでなく、製品的にもなかなかのものに仕上がっていることもポイント。果たしてシリーズの最高峰モデルとなるガンナー125の出来栄えはいかがなものとなっているのだろうか。
ガンナー125を目の前にした際、すぐに「一回り大きくなったな」と感じた。テスト車両をお貸しいただいた千葉のモトショップ・クロニクルでは、以前触れたことがあるガンナー50/100も販売されており、それらも出してもらい比較してみたところ、並べておくと案の定別物と思えるほどガンナー125の方が大きくなっていた。セルボタンを押しエンジンを目覚めさせて走り出す。シングルエンジンの歯切れの良いサウンドが心地よく響き渡る。
縦型エンジンかつ125㏄という排気量に引き上げたことに伴い、26φまでキャブレターの口径を拡大。強制開閉式で、スロットルレスポンスも良い。低回転域でのトルクはガンナー50/100と比べて太くなり、特に発進時のストレスは皆無になったうえ、レッドゾーンまできっちりと吹け上がる良いセッティングが施されている。
二人乗りができる仕様となり、シートの前後長も延長された。これによりシッティングポジションの自由度が上がったことはライディングのしやすさにも大きくつながっている。ハンドル位置も高く、とにかく楽な姿勢で乗車することができるのだ。日本のレギュレーションに合わせてコンビブレーキを採用したことや、足まわりの強化などで、操作性や安全面も向上している。様々なペースで走らせたうえで、ガンナー50/100よりもしっかりとしていることが伝わってきた。
5速リターン式ミッションが採用されたことや、燃料タンク容量がガンナー50/100と比べて1リットル増大した5.5リットルになったことなどから、走りを楽しめるステージは広がったと言えよう。これなら日常の足として活躍してくれるはずだ。
一方でハンドルの左右切れ角が少ないことや、車格が大柄になったことによるシート高の引き上げ、体重70キロの私が乗車するとリアサスペンションが沈み込むためにフロントハッピーに感じる傾向がある(プリロードを締めれば改善の余地あり)など気になる面もあったことを残しておく。
125㏄クラスのホビーバイクは目下ブーム真っ最中にある。その中でも国産メーカーのモデルと全体的な完成度の高さを比較すると、ガンナー125にはやや劣ると言わざるを得ない点もあるにはある。ただそのことを差し引いたとしても、比類なきデザイン、スタイリングであるし、ラフに楽しむためのホビーバイクとして割り切り、カスタムやチョイノリ道具として楽しむことは有益だと思う。そしてもしガンナー125の購入を検討するのであれば、できることならばガンナー50/100とも是非乗り比べてみてから決めほしい。
ガンナー50/100が横置きエンジンだったのに対し、ガンナー125では縦型エンジンを採用している。ボアストロークを56.5×49.5mmとした排気量125ccシングルエンジンは、新型のキャブレターとの相性も良く低回転からトルクフルだ。
フロントタイヤは100/90-12で、これはガンナー50/100などと同サイズとなっているが、車格の大型化に合わせて、フロントフォーク径を広げている。
リアタイヤのサイズは120/70-12。前後のバランスは良く、小径タイヤならではの軽快なハンドリングを楽しめる。純正マフラーは形状もサウンドもなかなかのものだ。
ガンナーシリーズのアイデンティティである、フレーム先端のヘッドライトは、リングライトとプロジェクターライトを組み合わせた新形状のものがインストールされている。
2人乗りもできる仕様とされており、それに伴いシートの前後長も延長されている。シッティングポジションの自由度が高くなった。ただしシートの高さも上がっている。
ミッションはガンナー50/100が4速リターン式だったのに対し、ガンナー125では5速リターン式が採用されている。この事により、高速クルーズがさらに快適になっている。
車体右側にセットされているエアクリーナーボックスと同形状の小物ケースが左側にセットされた。シンメトリックなデザインは好感が持てる上、そこそこの容量があるので便利そうだ。
筒形のメインフレームはガンナー50/100と比べて一回り太くなっている。中央の燃料タンクも4.5リットルから5.5リットルへと拡大。燃費も良いので頻繁に給油するストレスも無い。
ガンナー特有のフレームの後端にそのままライトが備わる他に類を見ないテールセクション。ナンバーステーはリアフェンダー上にセットされていることもあり、よりテール周りのデザインが強調されている。
ハンドル位置は高く、アップライトなライディングポジションとなるので、ビギナーライダーでも扱いやすく感じるだろう。角度の調整や、リプレイスハンドルバーに換装するなど個性を持たせてもいい。
リアサスペンションはモノショックで、わりと立たせた格好でセットされている。私が乗ったところ若干テールが下がり、フロントハッピーという印象もあったので、次回はプリロードを閉めてテストをしてみたい。
丸型のメーターケースにデジタルディスプレイをインサート。スピードメーター、タコメーター、残燃料計など、どれも視認性は良く、さらにシフトインジケーターも添わっている。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!