【ゴッチア GEV600 試乗記】イタリアンデザインが魅力の気軽に乗れる電動スクーター

掲載日:2021年01月12日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

【ゴッチア GEV600 試乗記】イタリアンデザインが魅力の気軽に乗れる電動スクーターのメイン画像

GOCCIA GEV600

GOCCIA(ゴッチア)はイタリアのバイクメーカーであるBenelli(ベネリ)の電動アシスト自転車の製造を担当している企業。そのゴッチアがリリースした電動スクーターが、今回紹介するGEV600だ。その走りや装備はどんなものなのか、実際に試乗して確かめてみた。

ゴッチア GEV600 特徴

ポップでおしゃれなデザインだが
バイクとしてのポイントを押さえた造り

【ゴッチア GEV600 試乗記】イタリアンデザインが魅力の気軽に乗れる電動スクーターの01画像

ゴッチアは中国の電動モビリティカンパニーだが、ヨーロッパ市場においても軽電気自動車(LEV)や電動スクーター、電動アシスト自転車などを手がけてきた。GEV600はイタリアのベネリがデザインを担当、また日本に導入するにあたっては、日本のバイク&パーツメーカーであるプロトが改良に携わり、大幅にブラッシュアップを図って日本市場にふさわしい品質を確保したという。

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外観はシンプルながらも随所に可愛らしさを感じさせるもの。電動なのでエンジンやマフラーが存在しないのは当然として、フレームを際立たせるかのようにカラフルな色使いで塗り分けられたボディに、丸いLEDヘッドライトやウインカーが絶妙にマッチ。近未来的なイメージの中に親しみやすさが同居するという、さすがはイタリアンデザインと思わせてくれる秀逸なデザインとなっている。

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パッと見たところでは華奢に見えるが、フロントディスクブレーキやアルミ合金製のキャストホイールを装備していたり、リアにはガッチリとしたキャリアを備えるなど、バイクとしての基本をきっちりと押さえた設計なのが見て取れる。スマートキーを採用しているのもイマドキのマシンだ。

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パワーソースとなるモーターはリアハブに内蔵されており、見た目もスッキリ。定格出力は600Wで、50ccクラスと同じ原付1種扱いだ。バッテリーはリチウムイオンで鍵のかかるシート下に格納されており、6~8時間で満充電される。走行距離はエコモードで最大約70km、パワーモードでもその半分程度の距離は走れるという。充電はバッテリーを車載した状態のほか、取り外して単体でも可能となっている。ちなみにセンターフレームの上部、メインスイッチの下にはUSBアクセサリーソケットを装備しており、スマートフォンなどの充電も行うことが出来る。

ゴッチア GEV600 試乗インプレッション

乗れば未来を実感できる!?
近距離モビリティとして十分な実力

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GEV600の車両重量は56kgと非常に軽く、取り回しには全く不安がない。シートも低く、カウル類などもないため“気軽に乗れます”という雰囲気にあふれている。始動は簡単で、スマートキーの解除ボタンを1回押すと「ピュイッ」という電子音でマシンが目覚めるので、フレームにある電源ボタンを押せばいいだけ。最初は必ずP(パーキング)モードになるので、間違ってアクセルをひねっても不意に走り出してしまうことがないので安心だ。

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ここから右ハンドルのモードスイッチを1回押すとエコモードとなり、発進が可能になる。アクセルを開けると、音もなくスルリと車体が動き出す。この時の加速はとてもゆっくりしたもので、普通の原付バイクに乗り慣れた人にとってはもどかしいかもしれない。エコモードでは法定速度内の29km/hまでしかメーター上では確認できなかったが、早朝の住宅街を走る際などには有効なモードだろう。

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エコモードからもう一度モードボタンを押すと、パワーモードに切り替わる(切り替えは走行中でも可能)。こちらは加速がエコモードとは明らかに違い、グッと押し出されるように力強く前に出て、スムーズにスピードが乗っていく。無音でなめらかに加速していくのはとても気持ちがいい。それでも一般的な原付スクーターよりはスピードの乗りはゆっくりなので、道路上ではバックミラーで頻繁に後方の車両を確認するなど、他の交通に気を配りながら運転することを心がけたい。

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パワーモードでは50km/h程度までスピードが出るので、実際にはほとんどこのモードで走ることになるはず。ブレーキ性能はこの速度域なら全く問題のない効き具合で、サスペンションもギャップでの突き上げはあるものの、実用上は合格点と言える仕上がりだ。

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航続距離はパワーモードだと満充電から最大35km程度ということだが、坂の多い道や寒冷地などではもうちょっと少なめに見ておいたほうが良さそうだ。実際にGEV600を活用する場面としては、家から最寄り駅までの往復や、近所のスーパーに買い物に行ったり、スポーツジムや習い事への足として使うなど、日常の行動範囲の中でのモビリティとしての位置づけだろう。電動アシスト自転車よりもパワフルでスピードも出せるし、何より人力で漕ぐ必要がないので、少し離れた場所への移動は圧倒的に電動スクーターのほうが有利だと言える。何よりも、バイクなのに無音で移動するという体験は新鮮で驚きに満ちている。未来を先取りしたいライダーにもぜひおすすめしたい1台だ。

ゴッチア GEV600 詳細写真

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ヘッドライトとウインカーはLEDを採用。メインの前照灯の周囲にはリング状とX字に光る部分が配され、アクセントになっている。

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メーターはモノクロ液晶だが表示が大きく見やすい。速度とトリップ/オド、現在のモードのほか、電池の残量が表示される。

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スマートキーではメイン電源のオン/オフやセキュリティアラーム音のオン/オフなどの操作が可能。物理キーはシートを開けてバッテリーを取り出す際に使用する。

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左側ハンドルスイッチはウインカー、ホーン、ヘッドライトの上下切り替えとなっている。

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右側のハンドルスイッチはハザードと走行モードを切り替えるボタンを備えている。

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センターフレーム上部にはメインスイッチとなる電源ボタンとUSBアクセサリーソケットが配置されている。

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シートは前方に向かってシェイプされ、後ろがわずかに高くなっている。クッションは硬めだが、ステッチが施されるなど高級感がある。

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シート下にはリチウムイオンバッテリーが収納されている。電圧/容量は48V/20Ahで、重量は7.4kgだ。充電状態を示すインジケーターも装備している。

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シート前端の下には、バッテリーを車載したまま充電できる端子が備えられている。その上のリングは荷掛け用のフックだ。

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充電器は少し大きめのペンケースぐらいのイメージ。コードを含めても意外とコンパクトなので持ち運んでも邪魔にならないだろう。

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右側フロントフォークの上部にはハンドルロックを備えている。

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車体後部にはリアキャリアを装備。しっかりした造りで、パッドが標準で装着されている。

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タイヤサイズは前後ともに2.25-14となっている。フロントブレーキはディスク式を採用、小径の片押しシングルピストンながら制動力は十分だ。

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リアハブにはモーターが内蔵されているが、見かけはスッキリだ。ブレーキはドラム式。リアサスはごくシンプルなツインショックだ。

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テールランプも含め、灯火類はすべてLEDを採用し、電気の消費量を抑えている。

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ライダーは身長170cmで足は短め。シート高は公表されていないがかなり低いので、片足、両足ともにかかとまでしっかり接地する。

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