【CROSS CUB110試乗記事】走りとスタイル、そして機能性を磨き上げた新型クロスカブ

掲載日:2018年02月23日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/田宮 徹

ホンダ クロスカブ110 試乗インプレッション

ストレスを感じない加速性能と
俊敏だが安定感あるハンドリング

快適な乗り心地にこだわった、座面が広くクッション厚のあるシートを採用するため、シート高は784mmに設定されている。これは、スーパーカブ110より49mm、クロスカブ50より44mm高い。そのためクロスカブ110にまたがると、身長167cmの筆者だと両足のかかとが浮く状態だ。ただし、車重は106kgと軽いので、足着き性に対する不安はまるでない。

レッグシールドが廃止されていて、ハンドル周辺のカバーレス化も施されていることから、かなり開放感のある風景。キックペダルを装備しているが、同時にセルスターターも搭載しているため、エンジンはスイッチひとつで簡単に起き上がる。

ホンダ クロスカブ110の試乗インプレッション

搭載されているエンジンは、スーパーカブ110と共通。2017年11月にモデルチェンジされた際に、さらなるタフネス性と低フリクション性の実現や、節度のある変速フィーリングの達成などをテーマとして熟成が施されている。変速は、シーソー式チェンジペダルによる4段リターン式で、停車時のみロータリー式へと切り替わる。

発進用と変速用にそれぞれ独立したクラッチ機構を備えた、2段クラッチシステムを採用。クラッチ操作なしで発進停止と変速ができる。一般的なモーターサイクルは、ニュートラルからペダルを下に踏むと1速に入り、そこから上に操作するとシフトアップとなる。対してクロスカブは、ボトムニュートラル式。シフトアップのときは常にレバー前側を踏み、ダウン時は後ろ側を踏む。2速以降のシフトアップ時に、通常のモーターサイクルと足の動きが逆になるため、最初は注意が必要だ。

ホンダ クロスカブ110の試乗インプレッション

市街地で重宝する機敏さ

ニュートラルからペダルを踏んで1速へ。スロットルを開けると、クロスカブ110はスッと前に出る。それほど馬力があるエンジンではないが、軽量なボディと組み合わされていることもあり、ストレスない発進加速だ。1速で30km/h、2速で50km/hちょっとというのが、メーターに指示されている各ギアの守備範囲。上限あたりまで各ギアでしっかり引っ張ると、市街地でクルマの流れに乗るのは簡単。十分な機敏さも感じられる。

ホンダ クロスカブ110の試乗インプレッション

シフトフィーリングは滑らかで、高回転域まで引っ張った状態からシフトアップするときも、しっかりスロットルを戻せばスムーズに次のギアに切り替わる。スロットルを全開のままシフトペダルを蹴り込んでも、多少のガチャコン感があるとはいえ、カブ系エンジンに抱くイメージからするとかなりショックなく変速できる。ちなみにこの変速機構は、ペダルをごく軽く踏むと半クラッチ状態となる。スポーティに走らせるときにこの技を駆使すると、カブマイスターになれるかもしれない。ただし基本的には、早めのシフトアップでゆったり走らせるほうがマッチするエンジン特性だ。

ホンダ クロスカブ110の試乗インプレッション

カブならではの使い勝手の良さ

ショートホイールベースの車体と細身の前後タイヤ、多めに確保されたハンドル切れ角などのおかげで、クロスカブ110は抜群の小回り性能を発揮する。裏路地を縫って市街地冒険気分を味わったり、旅先で分け入った狭い道の途中でくるりとUターンするのもお手の物。さすが、世界で支持されるスーパーカブの遺伝子を継ぐだけのことはある。しかし、ある程度のスピードが出ている状態では、もちろんこのカテゴリーならではの軽快性もあるのだが、同時にワンクラス上の安定感もある。ニュートラルなハンドリングでしっとり旋回できるフィーリングで、非常に扱いやすい。

このモデルは、シティコミューターとしてだけではなく、気ままに楽しめるツーリングモデルとして使用されることも多い。距離が長めのツーリングでは、気を遣わないハンドリング特性が疲労軽減にもつながるはず。林道とは言わないが、ちょっと路面が荒れた山道に踏み込んだようなときにも、過敏すぎないことでコントロール性が高まる。

ホンダ クロスカブ110の試乗インプレッション

街乗りも旅もファッションも楽しめる万能バイク

スーパーカブ譲りの大きく丈夫なリアキャリアを駆使すれば、ロングツーリングやキャンプツーリングのときに持って行きたい大量の荷物は積みやすい。クラッチ操作はないがシフトチェンジは必要なので、シティコミューターとして使うときにも操る楽しさがある。そしてなにより、他の機種にはあまりない独特なファッション性も備えている。

初代のクロスカブも大きな人気を集めたが、さらに独自性を強めながら質感が高められた二代目は、それを上回りそうな予感。ランニングコストが低めな原付二種クラスなので、セカンドバイクとしてもお薦めである。

ホンダ クロスカブ110の試乗インプレッション

ホンダ クロスカブ110の詳細写真は次ページにて

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