
掲載日:2017年06月18日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/小松 男 写真/真弓悟史(走行写真)、バイクブロス・マガジンズ編集部
新型125 デュークではシートが従来型と比べて30mm高い830mmに設定されており、それによってライディングポジションは若干の前傾姿勢となっている。跨っただけではそう大差ないように思えたが、果敢に攻めるようなスポーツライディングをすると、フロントタイヤに荷重を掛けやすくなっていることが分かる。
従来モデルと比べてパワーは同じだが、回転上昇はよりスムーズでシャープになっているように感じる。マネジメントのセッティング変更によりパワーバンドの幅が拡張されていることもあり、より一層扱いやすくなっていると言えるだろう。
シートがライダーとパッセンジャーでセパレートタイプとなっていることと、ハンドル位置が近いこともあり、身長180cmを超えるようなライダーだと若干窮屈に感じるかもしれないが、現在のスポーツモデルでは定石となっている前後17インチタイヤを採用しており、配下に抑えて振り回すような過激な走り方も楽しめる。ストリート、特に通勤ラッシュ時のシグナルレースなどの場面では、この上ない強い相棒となってくれるだろう。
今回テスト走行したのが袖ケ浦フォレストレースウエイという中規模サーキットだったため、125ccの小型バイクではやや力不足に感じると思っていたが、実際に走らせてみると想像以上に良く走ることが分かった。もちろん絶対的なパワーでは兄弟モデルと比べて敵わないのだが、オーバースペックともいえるシャシーや足周りによって、高速コーナーからヘアピンまで好きなラインを走らせることができる。
スタンダードで装着されるメッツラー・スポルテックM5も車体との相性が良く、ロードインフォメーションをしっかりとライダーへと伝えてくるため高い安心感がある。軽量な車体をひらひらと手足のように扱うことができるので、ライトウエイトスポーツバイクの本質的な部分を十分に楽しむことができるのだ。
ストリートを重視した味付けでありながら、サーキットというステージであってもしっかりとした走りを楽しめるのは、さすがはスポーツバイクブランドKTMだと思うところ。その余裕こそがセーフティライドにもつながるものだと考えられる。
日常の移動手段として使うならば性能的には十分、メインバイクとしてもセカンドバイクとしても楽しめる素質がある。純正オプションパーツが多数用意されているので、カスタマイズを楽しむことができるのも嬉しい。
小型のバイクと言えどもスクーターなどではなく、モーターサイクルを走らせる楽しみをしっかりと感じ取りたいと考えるライダーは少なくないと思う。かくいう私自身、小型バイクと聞くとどうしてもチープなイメージを持ってしまっているが、実はこの125 デュークのようにしっかりと造り込まれたモーターサイクルもあることを再認識することができた。ただ単に道具として使うのではなく、世界観を広げてくれる趣味性の高いモーターサイクルとして、一歩を踏み出すにはもってこいのモデルだ。
同クラスのスポーツモデルで乗り比べるとよくわかるが、装備の充実度だけではなく、実際に走らせた際のプレミアム感は他に追従する者はないと言えるほど高いレベルに仕上がっている新型125 デューク。タンデムライドも楽しめるし、ツーリングでも日常の足としても、満足感の高い1台に仕上がっている。
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