

掲載日:2012年01月24日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/野呂瀬悦史
アドレスV125Sの外観的特徴は、そのコンパクトなボディにある。信号待ちで同クラスのスクーターが並ぶと、高校生の列に小学生がまぎれた印象さえ受ける「体格差」があるのだ。実は、この車格に惑わされ、私は間違った認識を持っていた。それは「大きなボディ=安定した走り」という先入観からくる誤解で、ボディが小さいから安定性は望めないのではというものだ。そんな誤解を、アドレスV125Sリミテッドは走りで瞬時に拭い去ったのである。
「このボディサイズで、なぜこれほどドッシリと走れるのだろうか」が、走り出してすぐに得た感想だ。ややスピードが出た状態であえてハンドルを左右に振ったりもしたが、車体がブレる間もなくハンドルはピタッとまっすぐに戻る。小柄だから不安定なんてとんでもない。驚くべき直進安定性をもったマシンなのだ。加えて、前後タイヤの接地感が高いことも印象的。タイヤがしっかりと路面を掴んでいるように感じるこの足回りの素晴らしさは、このマシンを日常の足として利用する多くのライダーにとって無意識の安心感につながっていると思う。発売直後から人気車種として多くのライダーに愛され、進化を続けてきたマシンだからこそ到達できる唯一無二の走行性能を感じることができた。
もちろん、秀逸な足回り性能は直進以外でも発揮される。極低速時のハンドルの切り返し安定度も高い。極低速で発生している絶妙な駆動力とあいまって、障害物の間を右へ左へとあわただしく針路変更するシチュエーションでも、ギクシャクすることなく行きたい方向にスルスルと進むのだ。これだけの安定性を実現しながら、ハンドル幅はライバル車よりも狭いのも見逃せない点。「通勤特急」という異名は、クラストップレベルの加速性能だけでなく、こうしたコントロール性の高さがあってはじめて得た称号なのだと感じた。
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