

掲載日:2011年11月25日 試乗インプレ・レビュー
ベスパを製造するピアジオ社は、鉄道部品のメーカーとして1884年に誕生し、その後は航空機製造も手掛け、第二次世界大戦後の1946年にスクーターを開発した。そのためベスパは二輪車でありながら、モノコックボディ、片持ちホイール、ダイレクトトランスミッションという三つの航空機のテクノロジーが応用されている。もしベスパというブランドを知らない人には映画『ローマの休日』でオードリーヘップバーンが、『探偵物語』で松田優作が乗っていたあのスクーターだと言えば分かるだろうか。
ヨーロッパの排ガス規制「ユーロ3」に適合するため、2005年から4ストロークエンジンとオートマチックの組み合わせでLXシリーズが発売された。125ccや150ccモデルもあるLXシリーズの末弟となるLX50 は、しばらく2ストロークエンジンを搭載していたが、2010年にようやく4ストロークエンジンが搭載された。今回ご紹介する『LX50 4T4V』がそれである。50ccながらベスパらしい優雅なフォルムを持ち、伝統のスチールモノコックボディと片持ちホイール、そしてダイレクトトランスミッションも引き継いでいるモデルだ。
ボディラインはモノコックボディでしかなしえない、誰が見ても一目でベスパだと分かる艶やかなデザインだ。大きなフロントフェンダー、シート下でえぐれたライン、左右にふくらんだグラマラスなリア周りなど、しっかりとベスパの伝統を踏襲している。丸形ヘッドライトやアイボリーを基調としたシンプルなメーターパネルなども、ライダーの目を楽しませてくれるだろう。ハンドルグリップやメーターパネル、そしてボディ各所に創業当時のクラシックロゴが入れられ、さらにノスタルジックな雰囲気を盛り上げてくれる。
ただ美しいだけではなく、スクーターとしての実用面も忘れてはいない。各所に便利な収納スペースが装備されている。まずハンドル下にはロック式のグローブボックスがあり、キーシリンダーを押すと開く仕組みだ。ロックを解除するのにメインキーを抜く必要はなく、信号待ちでエンジンをかけたままグローブボックスを開閉することもできる。シート前のコンビニフックは引き出し式。そしてシート下にはメットインスペースがある。樹脂製のメットインスペースは固定されておらず、簡単に持ち上げることができる。するとエンジン部分にアクセスでき、メンテナンスに役立つ構造となっている。
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