ヤマハYA5デラックス(1962)のレストア その2

掲載日:2017年01月19日 特集記事&最新情報    

取材協力/パウダーコーティング・カトー  文/田口勝己  写真/田口勝己、栗田 晃

遂に発見!!「ゴールドグルテン」の当時色
浜松第一塗装で調色オーダー完了!!

購入ボロ車のガソリンタンク内部はザクザクで、サビ取りすると底抜け脱線ゲームになりそうなので、程度の良い中古タンクを高額で購入(トホホ……)。頑張った理由は「ゴールドグルテン」らしき下地が見えたからだ。

カスタムマシン作りなら、お気に入りのカラーリングで仕上げてしまって正解だと思うし、フルレストアよりもカスタムの方がお気楽作業なのは間違いない。今の気分でカスタムするなら、クロームメッキのタンクと半艶ブラック(三分艶ぐらい?)で塗り分けたい気分でもある。しかし、今回のフルレストアにあたり、最初に入手した当時のカタログ色「ゴールドグルテン」にピピッと来てしまったので、迷うことなくゴールドグルテンにしようと思う。

ゴールドグルテンと言えば、ヤマハ製スーパースポーツモデル、250S/YDS1に採用されていたことで知られるカラーリングだ。僕自身、過去に何度かYDS1に乗せて頂いたことがあるが、周囲の注目度はハンパじゃない!!実に冴えて萌え~っとしたハイセンスなカラーリングなのだ。当時の宿敵!!ライバルモデルのホンダCB72と比較しても、そのハイセンスさは疑いようのない事実だろう。

そんなYDS1のゴールドグルテンとYA5のゴールドグルテンが同一色なのか否かは不明だが、カタログを見る限り、実に近い塗色であることに間違いはない。YDS1の生産終了時期が1961年の9月頃で、ほぼ同時期に初期シリーズのYA5が発売されている。そんな事実からして、工場の化成部門で余っていた塗料を使ってスポーティなイメージをYA5で演出しようとしたのか?それとも偶然塗ってみたのか?125ccクラスのスーパースポーツモデルと言えば、ホンダのベンスパことCB92がその頂点に君臨していた時期なので、YDS1を連想させる派手なカラーリングとマスコット風防(ゴールドグルテン車だけアンバー色のマスコット風防を採用)の装備で、走り屋のハートを射抜こうと考えたのか?妄想は尽きませんね。結果としては、YA5は大成功を収めたモデルとは言えないが(個人的にそう思ってます……)、その理由はズバリ、エンジン構造にあると思う。発売当時インプレッションを読むと、ロータリーディスクバルブは低速域から高回転域までトルクがあって走りやすく「ひとクラス上の走り」であるとリポートされていた。ピストンバルブが全盛だった当時、レーシングマシンと同じロータリーディスクバルブ吸気にすれば相当な高性能化は間違いないだろう。しかし、日本初のロータリーディスク車は整備性が最悪なのだ。その証拠に、2年後に登場したYA6では、まったく違ったロータリーディスクバルブレイアウトとなっていた。そんな厄介な部分は、エンジン組み立ての際に詳細をリポートしようと思います。

さて、お話は戻ってゴールドグルテンだが、見本色が欲しくて四苦八苦していた。そんなとき、ほぼ偶然的に購入したガソリンタンクの工場出荷時の色がヤマハ純正色のゴールドグルテンだったのだ。ゴールドグルテンの上にペンキが塗り重ねられていたので、それが幸いして、当時の発色が残っていたのである!!

そんなガソリンタンクをサンプルに、浜松第一塗装に調色をオーダーした。すると数日後に「見本色に使われているシルバーが、今のシルバーとは違ってグレー気味のシルバーなんです。現在はこのシルバーが入手できません。できる限り近い材料で調色させていただきます」といった返答があった。半世紀前のモデルだから致し方ありませんね。そんなこんなで、数週間後には、色見本シートと1台分のネタが納品されました。

今現在、ペイント予定の部品はエポキシプライマー処理後の鈑金微補修途中で、時間を見つけてはボチボチ作業進行している状況だ。調色された色見本シートとYA5純正タンクのオリジナル「ゴールドグルテン」を比べて見ると、大きな違いはなく個人的には大満足の仕上がりである。いつどこのタイミングでペイントするのかはまだ決めていないが、この色でフレームや足周りをペイントしたら、そりゃもう目立つこと間違いありません!!

エンジン関連は、正直、組み立てには程遠い。現在はサンドブラスト&ウエットブラスト仕上げとカバー類のペイント仕上げの段取り中だ。組み立て前に各種ガスケットを準備しなくてはいけないが、YA6用はあってもYA5用は皆無。共通で使えそうなものは使って、あとはガスケットシート材から切り出そうと思っている。前後ホイールに関しては他機種の流用で鉄リムとスポークを購入済み。その気になれば組み立ては朝飯前だろう。それと先日、再クロームメッキ部品の段取りをしているとき「ハンドル問題」に直面……。こりゃ大変だと直感したので、帰宅後の夜な夜な作業でコンチハン1本と新規で一文字ハンドルを新作した。進行詳細は写真解説の通りですが、このハンドル作りを終えてから再クロームメッキ部品をガソリンで洗浄し、深い傷がある部品は不織布バフで磨いて段差を無くしてから、再クロームメッキに依頼した。ユニクロメッキもクロームメッキも、知り合いのバイクショップやバイク仲間を通じてお願いした。レストア車の仕上がりが気に入ったので、僕の分も一緒にお願いしているのが実情である。メッキ屋さん問題は相変わらず深刻ですね~。そんなこんなでレストア作業は一歩一歩、確実に進んでおります~♪今後の展開にもご期待くださいませ~

(田口勝己)

タンクキャップ以外の装着品も程度が良く、タンク内のサビも通常レベル。ニーグリップラバーやタンクマークも年式にしてはかなりの程度!!結果的にはやすい買い物だったかも知れないガソリンタンク。

そもそも販売時はゴールドグルテンで、その後、黒く塗りつぶされ、さらにエンジ系の赤で塗られていたガソリンタンク。しかし、シートが被さる部分は完全にゴールドグルテンだったので、車体載せ状態で塗られたのだろう。

車体をバラしたときに気が付いた、面倒な作りのハンドル。実用車的スライドスロットルを採用しているため、ハンドルの右側グリップ部には様々な加工が施されている。移植方法と新作で2本のハンドルを自作した。

車体に取り付けられていたヤマハ純正ハンドルの右グリップ部分を切り落として溶接移植することにした。ハンドル1本も簡単に交換できないのが旧車。ノーマルにこだわると面倒だね~。

クロームメッキ前のハンドルパイプ(以前にワンオフハンドルをオーダーしたときのあまり)の右グリップ部分をエンドミルで加工し溝を掘った。純正ハンドルを見本に追加工し、付帯部品の取り付けを確認して、バッチグー!! どっちかを使って余った方はYD3で使おう。

金ノコでカットした切り口を旋盤で加工して段差を付け、新たに使うハンドルの右グリップ側をカットしてパイプ内側にリューターで加工を施し、グリップ部分を差し込みながら万力で固定。そして外周を溶接し、ベルトサンダーで溶接痕を仕上げた。

しばらくはこの写真をご覧頂くことになると思う完成形!? 単品になったフレームのペイントを剥がしていったら、一番下は純正のアイボリーだった。こんなになって可哀想なYA5。

Z550GP企画では「Z400FX/E4B仕様」に外装パーツをオールペンしていただいた浜松第一塗装。国産絶版車をメインに数多くのユーザーを持つペイントのプロショップである。

同社のホームページを見れば一目瞭然。サンメカやプロペインター向けに色合わせ済みのネタ販売を積極的に行っている。入門者向けの解説書は親切でわかりやすく好評だ。

ヤマハのスーパースポーツモデルYDS-1と同じ色なのか否かは不明だが、同じ塗色名称の「ゴールドグルテン」を採用していた初代YA5。1台分+α塗れる量のペイントを購入した。硬化剤やシンナーの配合は説明書にわかりやすく記載されている。





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