RZ250 RZ350 の走りとスタイリングを楽しむ為の K2 tec チャンバー

掲載日/2022年3月31日
取材協力、写真提供/株式会社ケイツーテック、箱崎大輔
文/箱崎大輔
構成/バイクブロス・マガジンズ
2ストロークエンジンの魅力は2サイクルで爆発する独特のパワー特性だ。エンジンの回転が上昇し、エンジンパワーが盛り上がるパワーバンドと言われる回転域に達した瞬間から一気にピークパワー回転に到達する。また、エンジン構造もシンプルで軽量。パワーウェイトレシオ(車重に対してのパワー率)とも相まっての強力な加速力は多くのライダーを魅了。そして数々のじゃじゃ馬的2ストロークバイクが名車として生まれてきた。「K2tec(ケイツーテック)」はその名車達のリプレスエキゾースト、一般的にはチャンバーと呼ばれるマフラーを熟練の技術で生み出しリリースしているメーカーだ。多くの名車は発売からかなりの年数が経過。現在は純正マフラーの入手が不可能に近い。その純正マフラーとの代替品、いわゆるリプロパーツの役目も担っている。今回はその中から名車RZ350/250のチャンバーを紹介する。

衝撃的なデビューで現れたRZ350/250
まさに2ストロークの救世主的名車

2ストロークエンジンは構造上、ガソリンとオイルを燃焼するので排気と共にオイルの燃えた白煙が吐き出される。1980年代前半、当時は白煙を吐き出す2ストロークバイクは世間的には嫌がられ、公道モビリティエンジンとしての存続を危ぶまれていた。しかし1983年ドイツケルンショーでヤマハが世に送り出したのがRD350LC(RZ350)。市販レーサーTZの血統を引き継いだ車体にハイパワーの水冷2ストロークエンジンを搭載し、高い動力性能を発揮。まさにロードゴーイングレーサーとしてセンセーショナルなデビューを果たした。日本国内での発売はその翌年、250ccに排気量を下げたRZ250が発売。その後、追ってRZ350も発売となった。当時の峠ブームとも相まって両車ともにビッグセールスとなり数々の伝説を生み出した。その後、世界的にも2ストロークが見直されるきっかけとなった名車なのだ。

RZ350/250用チャンバー開発のきっかけは熱心なRZ350ユーザーから要望だ。開発車両が350、250共に準備でき同時開発となった。開発はケイツーテック代表:久保和寛氏が自ら。久保氏は世界GP参戦経験もあるライダーだが、コンセプトはサーキットなどで使用するようなパワー優先の高回転型ではなく、ワインディングロードのスポーツライドからストリートユースに対応できる中速からの扱いやすさを重視したパワー特性。またTYPE-2チャンバーは350、250の排気量に合わせた専用設計となっている。

両車ともに中速のトルクとレスポンスが向上する、ユーザーがストリートを気持ち良く走れるような味付けに仕上がっている。そしてキャブセッティングは一般的な通常の街乗り程度であれば、大きな変更も必要なく、あつかいやすい(現状の個体差によりセッティングが必要な場合もあり)。そのラインナップは細かな構成パーツ(ピース)を細かなビートが美しい溶接で組み上げたTYPE-2とシンプルな構成のコストパフォーマンスを追求したTYPE-1の2種類。幅広いユーザーのニーズに対応している。

これがTYPE-2
細かな構成パーツ(ピース)をビートが美しい溶接で組み上げた

TYPE-2の大きな特長は、ケイツーテックが理想とするパワーフィーリングを実現するために、数多くの細かなパイプピースで構成されている。膨張室をエンジン下にコンパクトに配置するために、エキパイをクロスさせてコンパクトで美しいシルエットに仕上がっている。すべてTIG溶接。多数の構成パーツを組み合わせ、丹念に組み上げられている。その細かな溶接ビートは美しい。クロス仕上げのエキパイとボディー、テールパイプ。サイレンサーはガンメタリック・アルマイト仕上げとなっておりテールピースはカールエンド仕上げとされているのが特長だ。そして、350/250排気量別設計。

RZ350 鏡面クロスチャンバー・TYPE-2
14万3000円
素材にはポリッシュ仕上げされた高品質ステンレスSUS304採用。まさに鏡面に輝く美しい仕上がりだ。

RZ350 スタンダード・ステンレスクロスチャンバー・TYPE-2
13万2000円
高品質ステンレスSUS304の素地を活かしたマットな仕上がり。

RZ350 スチール・クロスチャンバー・TYPE-2
11万円
チャンバーはやはりスチールというこだわり派の定番。


RZ250 スタンダード・ステンレスクロスチャンバー・TYPE-2
13万2000円
基本的なデザインは350とほぼ同じだが、チャンバー本体の膨張室容量などを250専用で設計されている。排気量が小さい250はノーマルでもパワー特性がピーキー。なので、さらにピーキーになら無いように注意して開発。乗りやすい特性となっている。

性能に妥協せずシンプルな構成で
コストパフォーマンスを追求。TYPE-1

TYPE-1は素材にスチールを採用。全体を構成する部品を簡素化したシンプルなモデル。しかし、シリンダー排気口に繋がるフランジはスプリングジョイントとするなどのケイツーテックのこだわりがある。また、性能においても妥協のないパフォーマンスを実現しており、まさにコストパフォーマンスを追求したモデルといえる。TYPE-1は左右出しのストレートタイプとクロスタイプ。さらに右2本出しのクロスタイプをラインナップとして用意。初めてチャンバーを装着するユーザーには最適の1本といえる。基本設計が250ccとなっているので、350に装着する際はメインジェットなどを調整すればフィーリングが向上する。

RZ250 ストレートチャンバー TYPE-1
5万2800円
ケイツーテックの定番。最もベーシックでシンプルな左右出しチャンバー。

RZ250 クロスチャンバー TYPE-1
5万2800円
エキパイをクロスした左右出しの人気のモデルだ。

RZ250 右2本クロスチャンバー TYPE-1
5万5000円
レーシーなマニア心をくすぐる右2本出し。

RZ250/RZ350 インテークチャンバー
8800円
ノーマルで装着されている左右のキャブレター・インテークマニホールドを連結するアルミパイプと換装。トルクアップが期待されるする吸気系チューニングパーツ。

RZ350・RZ250 ラジエターコアガード
1万6500円
高品位ステンレスプレートからエッチング技術により生み出されるメッシュ・コアガード。冷却効率を下げずにしっかりと来示エーターコアを守る様にメッシュが配置されている。古いバイクなので装着していれば安心だ。

INFORMATION

住所/大阪府羽曳野市野110
電話/072-952-2958
営業時間/9:00~17:00

かつて、ヤマハのテストライダーとして2ストレーサーTZ125の開発に携わり、世界グランプリにもワイルドカード出場を果たした久保和寛選手。久保選手がレース活動に区切りをつけた後に、チャンバー・マフラーのコンストラクターとして独立したときのブランド、それがK2-tec(ケーツーテック)です。自身がテストライダーだったという経歴は、マフラーの開発にも大いに活かされ、「ライダー兼コンストラクター」であることが多くのファンに支持されてもいます。ただし、市販マフラー・チャンバーは、レース用のそれとは異なるもの。かつてバイクブロスでは「市販品はユーザーの求める性能レベルと、彼らが手に取れるほどの価格をバランスさせて、製品にその価格以上の価値があることを認めてもらうことが大切」という話を取材させていただいたことがあります。なお、ヤマハ出身ながら、近年はNSR250R(MC28・21)用チャンバーでも話題を集めるなど、製品ラインアップはホンダなど他メーカー、汎用品にも及んでいます。