見た目の美しさもさながら、ストリートで気持ちよく乗れるケイツーテックのRZ250R用チャンバー

掲載日/2021年1月22日
取材協力、写真提供/株式会社ケイツーテック
文/箱崎大輔
構成/バイクブロス・マガジンズ
市販レーサーTZの血統を引き継ぎ、高性能2ストローク・ロードゴーイングレーサーとして1983年にセンセーショナルなデビューを果たし、ビッグセールスとなった初期型RZ250。その2年後、1985年にフルモデルチェンジされたRZ250Rが発表された。新たな前衛的なデザインと排気タイミングを回転数に応じて開閉するYPVS(ヤマハパワーバルブシステム)を採用など当時のライバルの追従を許さないマシンとなり大ヒットとなった。その人気は35年以上たった現在でも健在だ。

ストリートで気持ちよく走れる
ケイツーテックのチャンバー作りのこだわり

現在でも人気のRZ250R用のチャンバーをラインナップしているケイツー・テック。そのチャンバーは世界GP参戦経験もある国際ライダーの代表:久保和寛氏が開発。氏の経験から、単にサーキットなどで使用するようなパワー優先の高回転型ではなく、中速からの扱いやすさを優先して開発。そのパワーフィーリングは2サイクル独特の2次曲線的な魅力を残しながら、中速のトルクとレスポンスの向上を狙っている。ユーザーがストリートを気持ち良く走れるような味付けを実感できる。また、キャブセッティングは一般的な通常の街乗り程度であれば、大きな変更は必要ない(個体差によりセッティングが必要な場合もあり)。

また、ケイツーテックでは細かな円筒形のパーツから構成されるTYPE-2とコストパフォーマンスを追求したTYPE-1の2種類のチャンバーをラインナップしており、幅広いユーザーのニーズに対応している。性能に関してはいずれもケイツー・テックの開発コンセプトが反映されている。それは他車種のチャンバーにも言えることだ。
また、代表の久保氏は「RZ250Rは発売から35年以上経過していて、現在までの時間経過を考えると純正マフラーの劣化は相当です。その純正マフラーとの代替品。いわゆるリプロパーツ的な役目も担っています」と語ってくれた。

輪切りの溶接跡が美しい、TYPE-2



高品質素材ステンレスSUS304を使い、細かなパーツを組み合わせて美しい溶接で仕上げられる。クロス仕上げのエキパイとカールエンドされたテールピースとガンメタリックにアルマイト仕上げされたサイレンサー。それがタイプ2の特長だ。

TYPE-2の大きな特長は、ケイツーテックが理想とするパワーフィーリングを実現するために、数多くの細かなパイプピースで構成されていること。素材はステンレスのポリッシュ仕上げの鏡面クロスチャンバー・TYPE-2(12万6500円)。と、素地を活かしたスタンダード・ステンレスクロスチャンバー・TYPE-2(11万5500円)。そしてスチール・クロスチャンバー・TYPE-2(9万2400円)をラインナップしている。チャンバー全体のシルエットは膨張室をエンジン下にコンパクトに配置するために、エキパイをクロスさせて左右で美しいシルエットを実現している。すべてTIG溶接で丹念に組み上げられている。

性能も妥協しないコストパフォーマンスに優れたTYPE-1

TYPE-1は素材にスチールを用い、全体を構成する部品を簡素化しシンプルな仕上がり。しかし、細かなところではフランジのスプリングジョイントなど、ケイツーテックのこだわりが見受けられる。そして、性能においても妥協のないパフォーマンスを実現しており、コストパフォーマンスに特化したモデルといえる。TYPE-1は左右出しのストレートタイプとクロスタイプ。さらに右2本出しのクロスタイプをラインナップとして用意。初めてチャンバーを装着するユーザーには最適の1本といえる。

TYPE-1(クロス)
4万6200円
エキパイをクロスした人気のモデルだ。

TYPE-1(ストレート)
4万6200円
最もベーシックでシンプルなチャンバー。

TYPE-1(右2本クロス)
4万9500円
右側に2本配置されたサイレンサーがマニア心をくすぐる。

ハイコストパフォーマンスを目指し、全体的にシンプルなシルエットだ。とは言え、肝となる膨張室は十分な容量を確保。さらにスプリングジョイントを採用するなど細かな部分への配慮も嬉しい。アルミの素地を活かしたサイレンサーもシンプルなTYPE-1にマッチしている。

INFORMATION

住所/大阪府羽曳野市野110
電話/072-952-2958
営業時間/9:00~17:00

かつて、ヤマハのテストライダーとして2ストレーサーTZ125の開発に携わり、世界グランプリにもワイルドカード出場を果たした久保和寛選手。久保選手がレース活動に区切りをつけた後に、チャンバー・マフラーのコンストラクターとして独立したときのブランド、それがK2-tec(ケーツーテック)です。自身がテストライダーだったという経歴は、マフラーの開発にも大いに活かされ、「ライダー兼コンストラクター」であることが多くのファンに支持されてもいます。ただし、市販マフラー・チャンバーは、レース用のそれとは異なるもの。かつてバイクブロスでは「市販品はユーザーの求める性能レベルと、彼らが手に取れるほどの価格をバランスさせて、製品にその価格以上の価値があることを認めてもらうことが大切」という話を取材させていただいたことがあります。なお、ヤマハ出身ながら、近年はNSR250R(MC28・21)用チャンバーでも話題を集めるなど、製品ラインアップはホンダなど他メーカー、汎用品にも及んでいます。