YZF-R25カスタムを加速させるスリップオンマフラー
取材協力/K2tec、才谷屋ファクトリー  取材・文/淺倉 恵介  写真/木村 圭吾  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2015年9月30日
高いデザイン性と優れた品質、そして高性能で人気のK2テックのマフラーに、250ccスポーツの大本命『YZF-R25』用のスリップオンマフラーが新登場。比類無きクオリティを実現する原動力は、造り手の妥協を許さないポリシーにあった。K2テックのマフラー造りのフィロソフィーに触れ、その走りとサウンドを体感。至高のスリップオンマフラーの真髄に迫る。

INTERVIEW

一切の妥協を許さぬ作り込み
K2テックのこだわり

「自分がカッコイイと思えるものしか作りません」――K2テックの代表を務める久保 和寛さんは開口一番、そうコメントした。

 

K2テック、ヤマハの名車『RZ』用チャンバーで一世を風靡したマフラーメーカー。2ストロークファンの間では、知らぬ者のいないビッグネームである。一方で、4ストロークエンジンの中小排気量マシン用のマフラーでも豊富なラインナップを誇り、ライダーから多くの支持を得ている。その人気の秘密は、久保さんのモノ造りへのこだわりにある。

 

「ベストと思える形になるまで、何度でも作り直しますね。例えばですが、サイレンサーの角度が少し違うだけで、全体の印象は大きく変わるんです」

 

その調整はミリ単位で行われるという。完璧を求める姿勢は、執念めいたものすら感じられる。だからこそK2テックのマフラーは美しい。バイクのカスタマイズにおいて、スタイリングは重要なファクター。誰だってカッコ悪いバイクには乗りたくない。今回紹介するYZF-R25用のマフラーも、K2テックらしい機能美に満ちている。YZF-R25用マフラーを手がけることを決めた理由を久保さんに聞いてみた。

 

「250ccクラスのツインスポーツは、今盛り上がっているカテゴリーですよね。YZF-R25は後発モデルだけあって完成度が高い。これは人気モデルになると思いました。最初はフルエキゾーストも考えていたのですが、スリップオンでカッコ良いマフラーを作ってみたいと思ったんです」

 

スリップオンマフラーは手軽に装着できるのが魅力だが、開発は簡単ではない。交換するパーツが限られるので、デザインの面でも性能の面でも変化が付け難いのだ。ノーマルマフラーの位置や形状という制限もある。YZF-R25の場合は、ノーマルマフラーの形状がネックになった。テールパイプが細すぎて、そのままではどうにもスタイリッシュにならない。そこで、K2テックではテールパイプとの接合部に二重管構造を採用。手間とコストがかかる構造だが、そこに妥協は許されない。溶接の美しさもK2テックならではの仕上がり。ライダーの好みに合わせて選べるようにと、4タイプのサイレンサーまで用意されている。もちろん、ファション性だけのマフラーではない。走ってもみても一級品だ。

 

K2tec代表 久保 和寛さん

1971年生まれ。24歳でロードレースを始め、25歳の時に国際ライセンスに特別昇格を果たす。ノービス時代は14回出場したレースで優勝9回という記録を持つ。全日本選手権ではGP125クラスで活躍。1999年には世界GPにも出場している。ヤマハの純レーサーTZ125の開発ライダーを務めるなど、開発能力に定評がある。K2テックのパーツには、トップライダーとして培ったノウハウが存分に注ぎ込まれている。

まずは、音。低回転域では太い低音が迫力たっぷりで、パルス感の効いたいかにもスポーツツインエンジンといったサウンドを響かせる。回転が上昇するのに従い、だんだんと音のツブが繋がり合い、タコメーターの針が9,000回転を超えるあたりからは完全な連続音へと変化する。スポーツバイクは、こうでなくてはいけない。そう感じさせてくれる快音だ。

 

パワーフィーリングで特筆すべきポイントは、とにかく全域で太さを感じさせるトルク特性だろう。その“太さ”を象徴するエピソードを紹介しよう。試乗中、誤ってギヤを2速に入れたまま発進したことがあったのだが、多少モタついた程度でスルスルと前に進んでしまった。250ccの排気量があれば、2速発進は不可能ではない。けれど、自分自身は“1速のつもり”で、スロットルとクラッチを操作していたのだ。それなのに、エンストもせず発進をこなすのだから大したものだ。また、パワーの繋がりの良さも秀逸。ノーマルのYZF-R25は、中回転域にトルクの谷が存在している。ピックアップが良いので意識する部分ではないが、高いギヤをホールドしたまま走っていると気になる部分でもある。その点、K2テックのマフラーは実にキレイにパワーが繋がっていく。レベルの違うスムーズさにノーマルマフラーにストレスを感じてしまうほどだ。

 

見て良し、乗ってよし。K2テックのYZF-R25用マフラーは、選んで間違いのないマスターピースだ。K2テックでは、マフラー以外にもYZF-R25関連のアイテムをリリース。その一つがラジエターのコアガード。耐久性に優れ、見た目も美しいステンレスを精緻なエッチング加工で仕上げている。K2テックのパーツには、すべてにおいて久保さんの一貫したポリシーが貫かれている。久保さんはこう語る。

 

「性能もデザインも大切にしていますが、やはり一番重視しているのがカッコ良さです。自分のセンスに共感してくれたライダーに、K2テックのパーツを選んでもらえたらうれしいですね」

 

明解なコンセプトと、こだわり抜いて生み出されたプロダクト。だからこそ、K2テックのパーツは魅力に満ちあふれているのだ。

PICKUP PRODUCTS

バリエーションが豊富で
好みに合わせてのチョイスが可能

BLESSのネーミングが与えられたK2テックのYZF-R25用マフラーは、サイレンサーのデザインが異なる4タイプをラインナップ。ラウンドタイプのサイレンサーシェルを持つ『スタンダード』は、テールエンドの形状が異なる3タイプを用意。そこに個性的なシェイプが魅力の『メガホン』タイプが加わっている。どのタイプを選ぶのかはあなた次第。お気に入りの1本を見つけて自分だけのYZF-R25に仕上げよう。

 

K2テックのマフラーは対応車種が豊富。ここで、その一部を紹介しよう。どのマフラーも、ファッション性とパフォーマンスを両立した逸品ばかりだ。

 

BRAND INFORMATION

株式会社ケイツー・テック

住所/大阪府羽曳野市野110
Tel/072-952-2958

4ストローク、2ストロークを問わず、スクーターからビッグバイクまで幅広くエキゾーストシステムをラインナップする。K2テック代表の久保 和寛さんは、かつてはレースシーンで活躍。開発ライダーとしても経験が豊富で、マフラー職人としても一流の技術を持ち、スタイリッシュで高性能なマフラーを続々と生み出している。近年はラジエターコアガードも好評だ。