取材協力/株式会社ケイツー・テック  取材・文/淺倉 恵介  写真/木村 圭吾  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2017年2月28日

バイクカスタムの花形パーツであるマフラー。そして、マフラーの顔といえる部分がサイレンサーだ。ケイツー・テックの汎用サイレンサーは、豊富に設定された仕様を自由に組み合わせられるセミオーダースタイル。文字通り、自分だけの1本を作り上げることが可能なのだ。吊るしのパーツとは、一味違うスペシャリティー。ケイツー・テックの汎用サイレンサーに要注目だ。

FEATURE

仕様の組み合わせは自由自在
自由度の高いセミオーダーシステム

バイクをカスタマイズする時、多くのユーザーが最初に思い浮かべるのがマフラー交換だろう。マフラーは性能面でもルックスの面でも、大きな効果をもたらすバイクカスタムの重要パーツだ。そのマフラーの中でも、サイレンサーの担う役割は絶大だ。マフラー交換の大きな魅力のひとつである排気音は、サイレンサーによって変わるものだし、何より見た目の印象はサイレンサーのデザインによって大きく変わる。そのサイレンサーを、自分の理想の形にできたら……。そんなライダーの夢を実現してくれるのが、ケイツー・テックの汎用サイレンサーだ。

ケイツー・テックの汎用サイレンサーは、仕様の異なる莫大なラインナップを誇っている。と、言うよりは、サイレンサーの細かな仕様を、ユーザーが指定できるのだ。例えば、コンベンショナルな円筒タイプのサイレンサーの場合、素材チタンとステンレスの2種類が選択可能で、シェルの外形も太さの異なる2タイプ、全長は各シェル径に対してそれぞれ3タイプ、テールエンド形状は6タイプが用意されるといった具合だ。さらに、サイレンサー内部のパンチングパイプ径や、固定方法などもオーダーが可能となっている。組み合わせ次第で、自分の理想のサイレンサーを作り出せるといっても過言ではない。しかも、一部の特殊加工を除いて、基本価格のまま自由に仕様を選ぶことができるのだ。

この汎用サイレンサーのセミオーダーシステムを作り上げた、ケイツー・テック代表の久保和寛さんはこう語る。

「バイクに転倒はつきもの。そして、転倒すると傷付く可能性が高いのがマフラーです。マフラーは高価なパーツですし、傷付いたからといって簡単に買い替えられるものでもない。エキゾーストパイプが無事なら、サイレンサーだけ交換すればコストを抑えて修復できると考えたのが、汎用サイレンサーを作り始めたきっかけです。

せっかく変えるのなら、それまで使用していたものとは違うキャラクターのサイレンサーにできたら面白いと考えました。そうして、仕様を増やしてきた結果、現在のラインナップにたどり着きました。」

ケイツー・テックの汎用サイレンサーは、基本的に受注生産で製作される。ユーザー個々のオーダーに対応するには、注文時に仕様を確定した後に1本1本ハンドメイドで作るしかないからだ。また、そのために在庫を抱えることがないので、コストが抑えられるという側面もある。セミオーダー&ハンドメイドという贅沢な特徴を持ちながら、リーズナブルな価格で提供されているのは、そうした理由もあるのだろう。なんにせよ、ユーザーにとっては有難い話だ。

上の表にある仕様については、どれを選んでも基本料金で対応。差込角度変更、差込径特注は、それぞれ5,000円~の追加料金で対応してくれる。

また、形状の自由度の高さだけでなく、機能面・性能面にも手抜きはない。

「耐久性を考えて、パンチングパイプはステンレス製です。排気音にもこだわっています、目指しているのはレーシングマシンの排気音。サイレンサーの構造は、レース用マフラーと同じ思想で設計していますから、レーシーな音質を求めるのなら是非試してみて欲しいですね。」

サイレンサーによって音質が異なることも楽しんで欲しいとのこと。

「排気音はサイレンサーの容量とパンチングパイプで決まります。細くて短いサイレンサーは、金属音が混じった高音が強い音質になる傾向があります。低く太い音質が好みなら、径が大きくて長めのサイレンサーがお勧めですね。最近は、タイプの違うサイレンサーを複数同時にオーダーされるユーザーさんも少なくありません。サイレンサーを付け替えて、デザインと排気音の違いを楽しまれているようです。」

スタイルとサウンドというマフラーの二大要素を、服を着替えるように気軽に変えられるケイツー・テックの汎用サイレンサー。これからのバイクカスタムは、気分によってサイレンサーを付け替える時代なのだ。

アクシデントで痛めてしまったマフラーも、ケイツー・テックの汎用サイレンサーに交換すれば、ローコストでスタイリッシュに生まれ変わる。カスタムパーツとしてはもちろん、補修パーツとしても有効なのだ。

PICKUP PRODUCTS

高い品質を支えるのは
他の追従を許さない技術力

汎用サイレンサーだけでなく、幅広い車種に対応するマフラーをラインナップするケイツー・テック。その中には2ストロークエンジン搭載車用のチャンバーが存在する。4ストローク用マフラーのエキゾーストパイプは、パイプを曲げて製作するが、2ストローク用のチャンバーは薄い金属板を溶接して作られる。この溶接は非常に高い技術レベルを要するものだ。ケイツー・テックのステンレス製汎用サイレンサーは、シェルに肉厚0.6mmという超極薄なステンレス素材を使用しているので非常に軽量。だが、この厚さになると、薄すぎてパイプ状に加工することは不可能。そのため金属板を丸め溶接して円筒状に成形しているのだ。0.6mmという薄いステンレスを溶接するのは至難の技。高い加工技術を持つケイツー・テックだから実現したものなのだ。

01オーセンティックなカールタイプのテールエンドは、チタンSTDサイレンサーとステンレスSTDサイレンサーで選択可能。

02モトGPマシンを思わせる、M1タイプのテールエンド。チタンSTDサイレンサーとステンレスSTDサイレンサー、ステンレステーパーサイレンサーで選択可能。

03レーシーな3ピースタイプのテールエンド。チタンSTDサイレンサーとステンレスSTDサイレンサー、ステンレステーパーサイレンサーで選択可能。

04シンプルな造形が魅力のS6タイプのテールエンド。チタンSTDサイレンサーとステンレスSTDサイレンサーで選択可能。組み合わされているのはφ100のチタン製サイレンサーシェル。

05スリムなS5タイプのテールエンド。チタンSTDサイレンサーとステンレスSTDサイレンサーで選択可能。組み合わされているのはφ100mmのステンレス製サイレンサーシェル。

06左はφ100mmのステンレス製サイレンサーシェルにS5タイプのテールエンドを組み合わせたもの。右はφ86mmのチタン製サイレンサーシェルに、同じくS5タイプのテールエンドを組み合わせたもの。同じテールエンドでも、サイレンサーシェル径の違いでイメージは大きく変わる。

07オフロード系のマシンによく似合うモタードタイプのテールエンド。チタンSTDサイレンサーとステンレスSTDサイレンサーで選択可能。

08上はステンレステーパーサイレンサー、下はステンレスメガフォンサイレンサー。モトGPマシンにも多く採用されている、最新のサイレンサーデザインも網羅している。

09手前はモタードタイプのステンレスサイレンサー、奥はアルミサイレンサー。アルミサイレンサーはカールエンドとスラッシュエンドの2タイプがラインナップ(2万3,760円/2万7,000円)。

10φ100mmのサイレンサーシェルは、上から長さ520mm、420mm、320mmが選択可能。径と長さの黄金比を追求して設定されたサイズ。ステンレスも選択可能。

11φ86mmのサイレンサーシェルは、上から長さ480mm、380mm、280mmが選択可能。ステンレスも選択可能だ。

12ステンレスSTDサイレンサーの製作例。同じステンレスでも、サイレンサーシェルのサイズとテールエンド形状の組み合わせ次第で、様々な表情を見せてくれるのだ。

13特別注文でエキゾーストパイプ差込口に角度を付けることも可能。差込口の径はφ60.5mmとφ50.8mmが標準設定だが、特別注文で異なる径も製作可能。

14サイレンサーの機能面で大きな役割を担っている内部構造。パンチングパイプは耐久性に優れるステンレス製を採用。消音材の飛散防止のため、パンチングパイプに接する部分はステンレスウールを巻きつけ、その外周にグラスウールを巻きつける二重構造をとる。

15ステンレス製サイレンサーシェルに使用するステンス製の鋼板。厚さはわずかに0.6mmで、チタンに匹敵する軽い重量を実現している。

16ロールベンダーと呼ばれる工具を使用し、ステンレス鋼板を丸める。この工程も加えられる力は人力、人の手を使い慎重に作業が進められる。

17丸めたステンレス鋼板の両端を溶接し、円筒状に成形していく。素材の状況に合わせて、細やかな調整が行われる。治具はケイツー・テックが独自開発したもの。

18溶接後のステンレス製サイレンサーシェル。最初から円筒状に作られたかのような見事な仕上がり。これぞ、一流の職人の仕事だ。

19ステンレスSTDサイレンサーの装着例。磨き上げられた、ステンレス独特の光沢が美しい。

20チタンSTDサイレンサーの装着例。チタンならではの焼け色は、グラデーションの発色にもこだわったものだ。

21モタードタイプの装着例。オフロード系マシンには、やはりこの形がよく似合う。

BRAND INFORMATION

住所/大阪府羽曳野市野110
Tel/072-952-2958

4ストローク、2ストロークを問わず、スクーターからビッグバイクまで幅広くエキゾーストシステムをラインナップするケイツー・テック。代表の久保 和寛さんは国際ライセンスライダーで、かつては全日本ロードレース選手権で活躍。スポット参戦した世界GPでも好成績を残している。開発ライダーとしての経験も豊富で、マフラー職人としても一流の技術を持つ。

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