掲載日:2022年12月07日 プロが造るカスタム
取材協力/GOTTY 取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターに限らず、日本のカスタム業界の外装モディファイは、長年に渡り塗装が主流を務めている。下地作りから始まり、本番塗装、そしてクリアコーティングをしたうえでの磨きという最終工程。職人技による芸術作品のような仕上がりは、誰もが見惚れするものであることは間違いない。しかし、工程の多さに時間と豊富な資金が必要ということもあり、誰もが簡単に手に入れることができるカスタムではないことも明らかだ。その塗装に代わる手法として注目を集めたのが、特殊なフィルムを使用するラッピングと呼ばれるもの。パソコンなどでグラフィックデザインを製作し、それをフィルムに出力して、そのフィルムを車体に貼る。その手軽さにメリットを見出し、モータースポーツでは古くからこの技術を活用。さらに海外のカスタム文化でも日本とは比較にならないほど主流となっているスタイルなのだ。
この技術をビッグスクーターの世界に早くから取り入れているのが大阪のゴッティだ。同店と言えば、キャンディカラーを多用した美しい外装の車両のイメージが強いかもしれないが、実はこうしたラッピングスタイルも取り混ぜながら、ユーザーに様々なスタイルを提案している。その中でも、ゴッティが得意としていたことは、モータースポーツのグラフィックイメージをビッグスクーターに取り入れる、という手法だった。「ラグジュアリースタイルにモータースポーツが持つスポ―ティなイメージを」という理由で、当時は「ラグース」というニックネームが名付けられ、何台もの有名車両が生まれた歴史をもつ。
今回のマグザムは、同店のマグザム用ボルトオン4輪キットを使ったハードモディファイで、言わばラグースの進化形と言える車両となる。前後4輪化。エッジが効いた先鋭的なエアロデザイン。それに合わせたモータースポーツイメージのグラフィックで、この形を完成させた。こういったスタイルはビッグスクーターの世界ではマイナーな存在だが、それだけに注目されやすいとも言えるだろう。