【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジ

掲載日:2021年06月11日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジのメイン画像

HONDA FORZA

高い運動性能と充実した快適装備を両立させたことで人気なのがホンダの250ccスクーター、フォルツァだ。このほど新エンジン「eSP+」の搭載やフレームの一部を新設計とするなどのモデルチェンジを行い、2021年3月に発売された。はたしてどのような進化を遂げたのか、実際に試乗して確かめてみた。

ホンダ フォルツァ 特徴

基本的な路線は継承しつつ
随所をリファイン

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの01画像

フォルツァが登場したのは2000年。当初はかつてのビッグスクーターブームの主流だったロー&ロングなスタイルから始まり、熟成を重ねてきた。その路線をガラリと変更したのが2018年5月のフルモデルチェンジだ。それまでのゆったりと腰掛けるクルーザー的なイメージから、ハイ&ショート、つまりホイールベースを短く、シート位置も高くして、ヨーロピアンテイストのスポーツスクーターへと生まれ変わったのだった。それからわずか3年弱で新型が登場。基本的には前モデルの路線を継承したものとなっているが、ではいったいどこが変わったのだろうか。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの02画像

まず、エンジンは新世代環境対応型スクーター用の「eSP+」となった。これにともない動弁機構は4バルブ化となり、ボア×ストロークがロングストローク化されたほか、クランクまわりの高剛性化やピストンオイルジェットなどを採用した。また、吸排気ポートは完全新設計で効率を高め、マフラーの内部構造を3室から2室にするなどして、スペック上の出力やトルクは前モデルと同じながら、より力強い走りと環境性能を得たとのことだ。さらに低燃費性能向上のため、クランク室内の回転フリクションを低減するスカベンジポンプや、振動・騒音を抑制する油圧式カムチェーンやバランサーシャフトを採用している。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの03画像

フレームの一部も新設計とし、各部のパイプ径や材質、肉厚と接合部を見直すことで、安定感と快適性を強化。ラジエーターを燃料タンクの前に配置することで冷却効率を高めるとともに、荷重分担をフロント側に少し増加させて、車体挙動をより安心感のあるものにしたという。また、従来から装備している無段階調整可能な電動式可動スクリーンの可動域も40mm伸びて180mmとするなど、車体まわりもリファインされている。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの04画像

装備面においては、従来同様ABSやHonda セレクタブル トルク コントロール(いわゆるトラコン)、スマートキーシステムを搭載。フロントインナーボックス内にあったアクセサリーソケットはUSBタイプCに変更された。また、急ブレーキの際にハザードランプを高速点滅させるエマージェンシーストップシグナルを採用したほか、純正アクセサリーにスマートキーで開錠できるトップボックスを設定するなど、より安全で便利な方向へと進化している。

ホンダ フォルツァ 試乗インプレッション

力強さが増したエンジン
なめらかでスポーティな走りは不変

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの05画像

車体デザインもキープコンセプトだが、ヘッドライト下のスポイラー形状の変更や、よりスポーティな形となったミラー部のウインカー、車体各所に設けられたエアインテーク&アウトレットの変更など、各部に手が入っている。もともと前モデルから攻めたデザインだったが、今回のモデルチェンジでさらにアグレッシブで洗練された外観となった。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの06画像

フォルツァのシート高は780mmで、前モデルから変更はない。またがると外観のボリュームから想像していたよりは、足つき性は悪くない。停止からアクセルを全開にすると、グイッと車体は加速し、60km/hに達するまで2秒ちょっとだろうか、あっという間に一般道でのリミットに達する。エンジンがロングストローク化されたためか、前モデルに比べて俊敏さは少し抑えられた感じだが、その分力強さが増した印象だ。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの07画像

エンジンの吹け上りはとにかくスムーズで振動がない。さらにしなやかなフレームとサスペンション、タイヤのエアボリュームなどの相乗効果か、乗り心地がとてもいいのだ。クラスが違うから当然なのだが、125や150ccクラスに比べて路面からの突き上げが少なく、ラグジュアリーな乗り味で疲労も少ない。渋滞路ではボディの大きさとカウルマウントされたミラーのせいで、機動性は下のクラスに譲るが、郊外からの通勤など距離がある場合には、圧倒的にフォルツァに分があり、ライディングも楽なはずだ。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの08画像

高速道路で絶大な威力を発揮するのが、電動式の可動スクリーンだ。走りながら無段階に高さを調節できるこの機構は本当に便利で、今回可動域が40mm増えたことでさらに体格や天候など状況に合わせたきめ細かい調節ができるようになった。一度使うと、もう手動で調節するマシンには戻れないと感じるぐらい重宝する。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの09画像

100km/hでの巡航は余裕で、新東名高速などではもう少しアベレージの高い走行も可能だ。スピードレンジが上がっても不快な振動などはほとんど感じられず、東名高速の足柄付近のような、コーナーの連続する山間部においても、路面のギャップを越えても姿勢が乱れることなく安定して走り続けることができた。走行性能はちょっとしたスポーツバイクにも負けないほど、相当高いレベルでまとめられていると感じた。これならツーリングで長距離を走るのも楽しいし、疲労も少ないだろう。フォルツァはもともと高級感と利便性、そして運動性能を高次元でバランスさせたマシンだ。今回のモデルチェンジでさらに磨きがかかり、魅力を増したのは間違いない。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの10画像

ホンダ フォルツァ 詳細写真

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの11画像

フロントデザインのテイストは前モデルのイメージを踏襲しているが、よりアグレッシブとなった。全灯火類はLEDで、ウインカーポジションも備える。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの12画像

2眼式のアナログメーターの中央に液晶パネルが配置されるのも前モデルと同様だ。メーターは平均燃費や後続可能距離など多くの表示が可能。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの13画像

ハンドル左側にはメーターのインフォメーション表示切り替えや電動スクリーンの操作ボタンなどが所狭しと並ぶ。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの14画像

ハンドル右側にはハザードのほか、キルスイッチとスターターボタンが配される。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの15画像

電動式可変スクリーンは可動域が40mm増え、調節範囲が180mmとなった。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの16画像

ホンダのスクーターではおなじみとなったスマートキーシステム。キーの抜き差しが不要なのは慣れると便利だ。給油口とシートは右のシーソースイッチで開けられる。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの17画像

フロント左側にあるポケットは500mlペットボトルが余裕で入るほか、USBタイプCのアクセサリー電源を備える。スマホを置けるスペースもあって便利だ。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの18画像

給油口はセンタートンネル中央にある。カバーはメインスイッチ脇でロックを解除できる。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの19画像

前後に大きく取られたフットスペースは、さまざまなライディングポジションに対応する。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの20画像

タンデムステップは滑り止めのローレット加工が施されたスポーティなタイプを採用。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの21画像

前後とも十分な広さと厚さを持つシートには、ステッチでアクセントがつけられている。グラブバーは左右分割タイプだ。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの22画像

シート下のラゲッジボックスは48Lの大容量で、フルフェイスが2個入る。荷物の干渉を防ぐなど、さまざまな使い方ができるセパレーターも装備する。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの23画像

シート下ラゲッジのサイド部には車載工具が積まれている。ヒューズ外しなどもあり、なかなかの充実ぶりだ。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの24画像

新たに搭載された「eSP+」エンジンは、ロングストローク化によって力強さを増すとともに、フリクションの軽減によって振動や騒音も抑制されている。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの25画像

フロントのタイヤサイズは120/70-15、銘柄はIRCのSS-560Fを履く。ディスクブレーキ径は256mmだ。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの26画像

リアタイヤのサイズは140/70-14。ブレーキのディスク径は240mmとなっている。前後ともにABSを装備。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの27画像

リアのコンビネーションランプはボディと一体感のあるデザインだ。写真はブレーキとハザードを点灯した状態。

【ホンダ フォルツァ 試乗記】250ccクラススクーターの雄が新エンジンとフレーム改良でモデルチェンジの28画像

テスターは身長170cmで足は短め。フォルツァのシート高は780mmで、両足だとつま先が着く程度。片足なら母指球まで接地するため、それほど不安はない。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索