ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ie
ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ie

ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ie – 3ホイーラーMP3のパワーユニットをハイブリッド化

掲載日:2011年07月14日 試乗インプレ・レビュー    

ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ieの試乗インプレッション

ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ieの画像

電動モーターとエンジンが共存する
新世代のモーターサイクル

MP3は存在全てがユニークだ。フロント2輪が生み出す痛快なコーナリングや、ライダーが足を着かずともマシンが自立可能なことなど、独自のキャラクターは他にない斬新なもの。MP3 シリーズのデビューは2007年だが、その存在感は一向に新鮮さを失わない。独特の乗り味を知る人も増えてきたと思うが、ピアジオはまだまだ我々を飽きさせようとはしない。これは、バイク界全体にとっても、ちょっとしたインパクト。この MP3 ハイブリッド 300ie は、その名にある通りパワーユニットにハイブリッドシステムを搭載しているのだ。

日本国内でも電動バイクのラインナップは増えてきてはいるが、そのほとんどはカテゴリーでいえば原付クラス。スピードを必要としないコミューターの世界だけで展開されているのが現状だ。その点、この MP3 ハイブリッド 300ie は、ビッグスクーターにカテゴライズされる車格と動力性能が持たされている。実験機でない市販車では、世界初といっていい存在だ、その走りが気にならないわけがない。

ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ieの画像

MP3 ハイブリッド 300ie に備えられた4つの走行モードから、まずは電動モーターだけで走行するELECTRICモードを試してみる。スロットルを開くと、当然のことだが無音でスルスルと走り出す。聞こえるのはモーターの駆動音だけ、これは新鮮な感覚だ。だが、加速力は原付スクーターにも劣るレベルで、最高速度もスペック上は30km/h。メーター読みではもう少し出るのだが、加速性能を考えると一般公道で実用するのは難しい。

MP3 の故郷であるヨーロッパには、自然保護区などでレシプロエンジン搭載車の走行が禁じられている場所があるという。ELECTRIC モードは、そういった特殊な地域事情にも対応させるための機能とのことだから、動力性能を語るものではない。また、面白いのがモーター駆動によるバックが可能な REVERSR モードだ。バイクに跨がったままバックさせるのは慣れが必要だが、操作に慣れさえすれば切り返してのバック車庫入れなんて芸当も可能。ウケをとれるネタであること間違いなしだ。

ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ieの画像

そして POWER モードである。エンジンと電動モーターが同時に稼働するいわゆるモハイブリッドモな状態であり、このマシン本来の性能を発揮できるモードといえる。MP3 ハイブリッド 300ie のハイブリッドシステムでは、エンジンとモーターは常に駆動状態にあり、モーターの力はエンジンをアシストする役目を担っている。言うなれば電動アシスト自転車で、動力源である人間をエンジンを置き換えたようなものだ。なので、速さにも期待していたのだが、全開加速時のパワーアシストは、ハッキリと体感できるほど強力なものではなかった。スロットル全開時はエンジンも高回転域にあり、発揮している出力も大きい。そうなると、モーターの力はエンジンパワーの陰に隠れてしまうのだ。むしろ、ハーフスロットルや、発進時にスロットルを開き軽く戻した時などに、モーターの存在を感じることができる。エンジンとは異質なトルク感がそこにある。

ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ieの画像

MP3 ハイブリッド300ieには、兄弟車として MP3 ハイブリッド125ie が存在する。125ie は、300ie と同じ重量級の車体に 125cc エンジンを搭載したものだが、組み合わされる電動モーターは 300ie と同出力。相対的にモーターの出力が大きくなるので、モーターによるパワーアシストの恩恵をより体感しやすい。だが、このバイクのハイブリッドシステムはパワーアップに注目するのではなく、燃費向上やクリーンな排気ガスなど環境性能こそ評価すべきだ。そもそもハイブリッド化自体、追加部品の大きさや重さから、車体の小さなバイクには難しいと考えられてきた。それを、いち早く市販化に成功したピアジオの技術力は賞賛に値する。着眼点も素晴らしい。バイクとしては内部容積が比較的大きく余裕があり、重量増もそれほど問題にされないビッグスクーターは、バイクのハイブリッド化には最適の素材だ。

ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ieの画像

ただし気になる点も無くはない。バッテリーの消耗がかなり早いのだ。電動モーターが全ての駆動力を負担する ELECTRIC モードでは、みるみる内にバッテリーの充電量が落ちていくし、POWER モードでも発電量が電力消費に追いつかないようでジリジリと充電量は下がっていく。電動モーターを使用せず、エンジンのみで走行する CHARGE モードでも、走りに不満はないので問題ないともいえるのだが、せっかくのハイブリッドシステムなのだから常にエンジンとモーターの両方を使って走りたい。ハイブリッド状態で使ってこそ、そのメリットも活きるというものだ。この辺り、今後の進化に大いに期待したい。MP3 ハイブリッド 300ie が、バイクの未来形を指し示す一台であることは間違いないのだから。

ピアジオ MP3 ハイブリッド 300ieの詳細写真は次ページにて

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