ピアジオ MP3 250FL
ピアジオ MP3 250FL

ピアジオ MP3 250FL – フロント2輪の絶大なメリット

掲載日:2009年08月27日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

乗らなきゃ分からない!!
フロント2輪の絶大なメリット

このMP3の実物を初めて見たのは、確か2007年の東京モーターサイクルショーの会場だったと記憶している。そのときは、フロント2輪構成のメリットをぼんやりとはイメージできたものの、その乗り味まではまったく想像できなかったことをよく覚えている。ところが…試乗を終えた今、このMP3が欲しくてたまらないのだ。やはり、バイク(MP3がこのカテゴリに属するか微妙だが)は乗ってみなくては分からないものだとつくづく思う。実際に試乗するまでは、フロント2輪のスクーター風コミューターということで、実用性や安全性だけがウリの乗り物と想像していたが、それはまったく違っていた。フロント2輪構成の車体がもたらす絶対的な安定性と、それに裏打ちされたスポーティなコーナーリング。そして下手なスポーツバイクを相手にしない強力なブレーキング。排気量は250ccということで、パワーに期待をするのは無理と言うものだが、通常のビッグスクーターと同等の利便性を兼ね備えながら、実質的にかなり速い乗り物であることは事実だ。試乗しない限りなかなか理解しづらい乗り物だが、今回はMP3に関して出来る限りのことをお伝えしようと思う。

ピアジオ MP3 250FLの試乗インプレッション

ピアジオ MP3 250FLの画像

フロント2輪がもたらす
実質的な速さの正体

前段で「かなり速い乗り物」と表現したが、これは加速とか最高速度の話しではない。めまぐるしく状況が変化する公道走行を前提とした実質的な速さだ。3日間の日程でこのMP3 250FL(以下、MP3)の試乗を開始した日、不運にも高速道路の出口付近ででゲリラ豪雨に遭遇してしまった。大きくカーブするランプの途中で、路面は完全なドライから雨水が川となって流れるようなウエットへと激変。予想もしなかった状況の変化に思わず体が固まるシーンだが、MP3は完璧なバランスを保ったまま何事もなかったようにランプを抜けてしまった。正確に言うと、フロントがスライドする兆候はあった。しかし、通常の2輪車で感じられる危うい感覚はない。フロントの片輪がグリップを失いかけても、もう一方のタイヤがバックアップ的にグリップしているなんとも頼もしい安心感に満ち溢れていたのだ。これはタダのコミューターではない…。瞬間的にそう感じた出来事だった。

ピアジオ MP3 250FLの画像

翌日、その走りに気を良くした私はMP3をちょっとしたワインディングに持ち込んだのだが、ドライ路面でその優位性はさらに際立つ結果となった。ハンドル操作は通常の2輪車のようにできるだけフリーにするという方法でも良いが、グリップを握ってハンドルバーで車体を倒し込むような入力を加えてもまったく問題がない。むしろ、そうした方がより鋭くコーナーリングしたり、Uターンしたりすることができる。こうしたシーンで感じられるフロントの絶対的なグリップ感と安心感はMP3独特のもので、これまで経験してきたどの2輪車よりも優れていると感じたほど。また、3つのディスクブレーキがもたらす安定した制動もMP3のアドバンテージだ。ストレートでのブレーキングは惚れ惚れするほどで、ほとんどノーズダイブしないばかりか、下手なスポーツバイクを寄せ付けない鋭い減速が可能だ。さらに、コーナーリング中にフロントブレーキを握ると車体が起き上がろうとする特性は通常の2輪車と同様だが、そこからバンク角を維持したまま握りこんでいっても、不安定になることなく思い通りに減速できてしまう。

215kgの車重に対して、排気量244ccのエンジンは最大出力16.5Kw(22.5馬力)/8,250rpm・最大トルク21Nm/6,750rpmと決してパワフルではない。しかし、フロント2輪のメリットを活かせば、MP3は通常の2輪車よりもずっと速度を維持し易い。これが公道上での予想外の速さに繋がっているのだと感じた。

ピアジオ MP3 250FLの特徴は次ページにて

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