カワサキ バルカン900クラシック
カワサキ バルカン900クラシック

カワサキ バルカン900クラシック – 美学とこだわりが作り出すクルーザー

掲載日:2010年06月03日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

美学とこだわりが作り出す
重厚感に満ちたクルーザー

日本国内のバイクシーンにおいて、クルーザーは不動の人気を誇るカテゴリだ。各メーカーからそれぞれ特色あるマシンがリリースされているが、カワサキがラインナップする「バルカン900クラシック」はその中でもひと際強い存在感を放っている。カワサキのバルカンシリーズは、基本的に他の国産メーカー同様水冷Vツインエンジンを積んだクルーザーだが、個性的なデザインが特徴的なシリーズだ。タンクのラインとスイングアームを一直線で結ぶ “バルカンライン”を共通のアイコンとして脈々と受け継ぎ、ハイクオリティなクロームパーツが生み出す重厚な質感へのこだわりを貫いている。ある意味カワサキらしいこのこだわりが、ひと味違うバイクを求めるライダー層を惹き付けているということは想像に難くない。

もちろん、今回試乗するバルカン900クラシックにもその遺伝子は受け継がれており、カタログ写真を眺めるだけでも同シリーズらしい個性が伝わってくる。ただ、やはりバイクは実際に乗ってみなければ分からない。数多くの国産クルーザーが世に送り込まれているにも関わらず、独自の地位を築き上げているかのように感じるバルカン900クラシックの魅力とは何か。試乗インプレッションで実際に体感することによって、その真実に迫りたい。

カワサキ バルカン900クラシックの試乗インプレッション

カワサキ バルカン900クラシックの画像

乗り手のプライドをくすぐる
豪胆なライディングフィール

バルカン900クラシックに跨ったライダーが最初に感じるのは、おそらくこのバイクが一筋縄ではいかない乗り物だ、ということではないだろうか。国産の大型クルーザーと言えば見た目こそ迫力があるものの、実際に乗ってみると拍子抜けするほど乗り易いモデルが多い。見た目より手の届き易いハンドル、誰でも足が楽に届く気軽なポジション…それは決して悪いことではないのだが、乗り手によっては何か物足りなさを感じることもある。しかし、バルカンクラシックは違う。ワイドハンドルは本当に幅が広く、ステップボードは思い切り足を投げ出す位置に設定されている。跨る前後で車体の大きさに関する印象が全く変わらないクルーザーは、今となっては少数派ではなかろうか。まるでライダーに「乗りこなしてみな」と語りかけているかのようで、気持ち良いほどに小細工が無い。しかし、それが不快かと言うとそんなことはなく、低いシートに腰を下ろして体の全てを用いて走り出せば、乗せられるのではなく自らの力で大型クルーザーを走らせていると言う、誇りにも似た満足感が湧き出してくるのだ。この「自分が大きなマシンを操っている」という根源的快感は、他のクルーザーよりもずっと濃厚だ。コーナーリングもバイクが賢く曲がってくれるのではなく、ワイドハンドルで車体を押さえつつ豪快に曲がっていくのが面白い。綺麗にまとめるのではなく、大型クルーザーらしい豪胆な乗り味を押し出しているのは、バルカン900クラシックならではの面白さだろう。

カワサキ バルカン900クラシックの画像

また、最大トルクをわずか3,000回転で発生させる902cc水冷Vツインエンジンの存在も忘れてはならない。ドカンと一気にはじけるような加速みせるタイプではないが、低回転から太いトルクが伸びやかに立ち上がり、市街地から高速道路まで心地よい鼓動感を伝えてくれる。排気音の良さも特徴的で、近年の強化された音量基準で押さえ込まれてはいるものの、歯切れの良い音は乗り手を心地良くくすぐる。近年のクルーザーはドロドロとした低音が多い気がするが、バルカン900クラシックのような乾いたサウンドもなかなか良いものだ。こういった部分の差別化も、カワサキのこだわりと言えるだろう。

そんな個性を見せつつも、実用性は意外にも優秀だ。実燃費は市街地メインの走行で21kmと良好で、20リットルタンクとともに300km以上の航続距離を実現。今回のインプレッションでは混雑した地域が多かったため、週末のツーリングなどではさらに燃費は伸びる可能性は高い。また、駆動系にベルトドライブを採用しており、メンテナンスに手間がかからないのも忘れてはならない美点の一つだろう。テイスティなエンジンと個性的なライディングフィールだけでなく、実用性も備えるバルカン900クラシック。“大きくても乗り易い”と言った言葉だけで終わらない豪胆な魅力が、このモデルが支持される理由と言えるだろう。

カワサキ バルカン900クラシックの特徴は次ページにて

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