カワサキ バルカン900クラシック – 美学とこだわりが作り出すクルーザー

カワサキ バルカン900クラシックの特徴

艶かしいバルカンラインを彩る
上質なクロームパーツの競演

デザイン面においてバルカンシリーズならではの大きな魅力と言えば、やはりタンク上部の直線がそのままスイングアームへとつながる“バルカンライン”。この要素はシリーズの象徴として確立されており、もちろんバルカン900クラシックも例外ではない。グラマラスな形状のタンクから足元まで流れるラインは艶かしく、これだけでも強い個性を醸し出している。こういった明確な特徴を打ち出している国産クルーザーは少なく、カワサキのバルカンシリーズに対する熱い思いがうかがえるポイントだ。また、バルカンラインから派生するように伸びるフェンダーレールなども曲面を強調されており、セクシーなサイドビューを演出。一般的なクルーザー像に追従するのでなく、こういった独自性を織り込んでいることは高く評価すべきだろう。また、その周囲を彩るクロームパーツのクオリティもバルカン900クラシックの魅力の一つ。エンジンやメーター周り、ホイールやスポーク、マフラーまですべてクロームメッキで仕上げられており、非常に質感が高い。バルカンラインとそれを取り巻く豊かな曲線、そしてぜいたくにおごられたクロームパーツが作り出す華やかな魅力は、ライダーの所有欲を大いに満たしてくれる。

派手で目立つ部分だけでなく、一見地味な実用面が作り込まれていることも、バルカン900クラシックの美味しいところ。特にクラシックスタイルに似合う鞍型シートは、見た目だけでなく乗り心地も良好だ。肉厚なクッションと腰を包み込むようなホールド感はまさにクルーザーモデルにふさわしく、長時間の走行でも疲れにくい。パッセンジャー側も安定感を増すために少しくぼんだ形状となっており、タンデムも快適にこなせる。ただ、座面自体はそこまで広くないので、頻繁に二人乗りを楽しむようであればシーシーバーやタンデムグリップなどを追加したほうが、より楽しいタンデムランを楽しめるだろう。フットボードはペダル操作時には少し位置が遠いように感じたか、どっかりと足を乗せてクルージングする際にはちょうど良いポジション。トルクが太いため頻繁にギアチェンジする必要はないので、走行中に気になることは少なかった。むしろ、快適なシートとの組み合わせで、高速道路でのクルージングは非常に快適だった印象の方が強い。収納に関しては、シート下に工具入れがあるだけだが、この手のモデルにそういったユーティリティを求めることは少ないので、特に問題はないだろう。

近年では珍しく車載工具が充実していたことは、個人的に好印象だった。個性溢れる美しいデザインと、必要十分な装備、そして乗り手をくすぐる走行性能。バルカン900クラシック、ひいてはバルカンシリーズに熱烈なファンがついている理由は、そんな部分にあるのだろう。