広島県の国道2号線沿い、山陽道廿日市インターからほど近い場所にある『ラティーノ・モーターサイクル』は、もともと4輪のディーラーということもあり、店舗は開放的なショールームと広いファクトリー、そして駐車場も完備する。2013年1月にオープンして以来、ハーレーを中心に販売やカスタムを手がけている。ショップを営むのは河井俊昭さん。稼業であったクルマ屋でメカニックとして勤務した後、ハーレーダビッドソン正規販売店で4年半ほどセールススタッフとしてハーレーを学び、ここラティーノをオープンさせた。店名にある“ラティーノ”は、アメリカに住むラテンアメリカ人を示す言葉である。
「彼らラテンアメリカの明るくて陽気な感じが好きなんですよ。僕自身が自他共に認める、情熱的と言うか、能天気な性格なんです(笑)。彼らの陽気さとか、そういう明るく楽しいお店にしたいというコンセプトで“ラティーノ”を店の名前にしました。僕自身の性格をショップ名に反映させた感じですね」
広い店内にはバイクのほか、パーツやウェア、ヘルメットなどが陳列され、ところどころにメキシコを象徴するハット、ソンブレロがラテンアメリカンな雰囲気を醸すのに一役買っている。ビリヤード台も置かれ、ウェイティングスペースも広い。
共にラティーノを切り盛りするのは、ディーラー勤務当時に知り合ったメカニックの上野さん。河井さんが信頼を寄せる敏腕メカニックだ。年齢こそ離れているが、10年以上の付き合いになる相棒だ。同じ巳年生まれということでラティーノのステッカーには蛇のデザインが施されている。
上野さんはディーラーでの豊富な経験から、旧車から最新のツインカムまで手広く整備、カスタムを手がけることが出来る。軽整備からヘヴィなエンジンチューニングまで。それがラティーノの強みでもあるのだ。ショベルのローライダーを愛車とする河井さんは、ライトカスタムはもちろん、チョッパーやバガースタイル等のフルカスタム、そして旧車も得意としている。
お客さんには“楽しく乗れるバイク”を提供したい、という河井さん。店を挙げてのイベントにも積極的で、今年の夏にはBBQを開催。駐車場は70人以上のお客さんで溢れた。ツーリングなどの企画も行っており、また地元のイベントにも積極的に参加している。
河井さんの陽気な性格に惹かれてか、客層は20~50代を中心に、上は70代のお客さんも来店する幅広さ。米軍基地が近いこともあってアメリカ人バイカーも来店する。取材時も修理に訪れており、作業完了後に河井さんとがっちりと笑顔で握手を交わす姿が印象的であった。アクセスの良い立地ということもあり、ツーリング前や帰りに寄るバイカーも多い。
「ここを所ジョージさんの世田谷ベースのようなスタイルのショップにしていきたいですね。お客さんと一緒に楽しくバイクライフを過ごしていきたいと思っています。決して敷居の高いショップではありませんし、気軽に寄って、用がなくても本を読んだりビリヤードしたり。そういうバイク乗りのベース(基地)になりたいですね。これからもいろいろと楽しいことを考えていきますよ!」
これからのラティーノの展開にも大いに期待したい。
ショップオーナー河井さんが全幅の信頼を寄せるメカニックの上野さん。彼が手がけるカスタムはチョッパーからバガースタイルまでじつに幅広く、扱うエンジンも旧車から最新のツインカムまで、どんな車種にも対応する。旧車好きの河井さんと、ディーラー経験が長く新しいエンジンにも深い知識を持つ上野さん。そんなふたりが在籍するショップならではの特徴かもしれない。
今回ピックアップするのは、ラティーノが手がけたロードキング・バガー。思わず眼を奪われるのは、ビビッドなブルーにシルバーのフレイムスが描かれたペイントワーク。ド派手になり過ぎない、しかし見る者に強烈なインパクトを残す絶妙な塗装だ。パーツもトータルのバランスや乗りやすさを最優先に考えてチョイスされている。“やり過ぎない”バガースタイルの好例と言えるだろう。