掲載日:2026年07月25日 フォトTOPICS
取材・写真・文/森下 光紹

Vol.40 梅野 めぐみ(うめの めぐみ)

女性になったことが無いので分からないと言ってしまえばそれまでだが、バイクという乗り物は、基本的には男性目線で作られているものだと思うから、きっと女性にとっては、やはり入り口のハードルはとても高いはずだ。先日紹介したチョッパー乗りの彼女も、キックで始動させるSR400を相棒にするために、体力的な困難を克服した。しかし、バイク好きな彼女たちにとって、女性に優しいだけのバイクが魅力的なのかと聞けば、きっとそうではないだろう。たぶん、彼女たちにとってバイクは、僕ら男性よりもはるかに強い、自立するためのアイテムなのだと思うのだ。
梅野めぐみさんの愛車はカワサキのW650である。シルエットは、どこから見てもオーソドックスで男性的なスタイルの、言わば不変の「オートバイ」そのものである。年式は2004年モデルだから、まだキャブレター吸気時代のスタンダードバイク。現代でも後継モデルであるW800が存在するが、インジェクション化されて扱いやすさは抜群だ。もちろん人気モデルであり続けているから、やはりスタンダードなスタイルは時代を踏襲するものなのだと実感する。

めぐみさんは、元々乗り物好きだったようで、少女期からバイクには大きな興味を抱いていた。しかし世の中の常ではあるが二輪免許の取得はご両親の大反対に遭って断念する。しかし18歳で四輪免許を取得すると、購入したクルマで国内Bライセンスを取得してジムカーナに出場。徹底的にモータースポーツを楽しんだ。
「最初に買ったクルマはホンダのCRXで、その後プレリュードに乗り換えました。レースは大好きで、良くサーキットにも観に行っていましたね。自分でも参戦するほどだったから、やっぱりモータースポーツが好きなんでしょう」

北海道で生まれ育った彼女。半年以上は雪に閉ざされるから、子どもの頃はミニスキーが大好きで、19歳からはスノーボードにものめり込んだ。もちろんクルマも真冬ならスタッドレスタイヤを履いて走りまわり、そして実はバイクに乗ってみたいという情熱も冷めなかったのだ。

「バイクの免許は大人になってから取得しました。もう親も何も言わなくなってからね。そして最初に買ったのは、20代の頃に憧れていたアメリカンスタイルのモデル。ホンダのシャドウ400に乗り出したのですけれど、どうも乗り味がモッサリしていて、気に入らなかったですねー」

自称「おてんば」だった彼女にとって、国産アメリカンバイクはどうも肌に合わなかったらしい。免許は限定解除したから、選べるバイクは無限にある。もっと自由で気ままに乗れそうなバイクをと探しているうちに、トライアンフが気になってきた。しかし輸入モデルは価格も高いし、重量もかなりあって、その点がネックだった。そんな時に見つけたのが現在の愛車であるW650だったのだ。

「ネットで探して、中古車を買いました。値段もお手頃でしたね。乗ってみると、とても乗りやすくて自分の求めているバイク感をすべて満足させてくれるモデルでしたね。元々ブラックの車体カラーだったけど、ガソリンタンクにラメを入れたり、メーターの装飾を施したり、少し女子感のあるカスタムを施して満足しています。今や本当に私の良き相棒ですねぇ」

走行15000キロで購入して、現在は75000キロ。もう17年の付き合いだから、正真正銘の相棒だ。普段から良く乗っているから調子も抜群。購入したのは中古車を幅広く扱う大型店舗だが、簡単なメンテナンスはその店で、そして、微妙なニュアンスを相談に行くお店はメンテナンスが得意な個人店に預けている。

バイクショップ「RE BORN」は、旭川市内にあるショップで、そこの代表である小柳勇人さんとは、もうお馴染みのお客さんでもあるそうだ。先日も微妙なオイル漏れをこのお店で解決した。かゆい所に手が届くバイクショップとの付き合いは、どんなライダーにとっても、最も重要なポイントである。

この数年、彼女の周りには女性ライダーが増えてきて、ついにチームを立ち上げることになった。名前は「コリコリ族」という。現在はメンバーが10名になり、毎月1回はチームでツーリングを楽しんでいる模様だ。その他にも時間が合えば数人でランチツーリングには良く出かけて行くらしいから、そんなわけでバイクの調子も良いのである。
「ツーリングと言っても、あまり長距離や泊りがけとかのプランは組まないですね。みんな家庭があって、大切な生活を守りながらバイクにも楽しく乗るということが重要なので。女子って今でもやっぱり大変なんですよ。好きなことをやろうと思うと、現代だってそれなりにハードルは高いんです。でも乗り越えて、いつも笑顔でいたいじゃないですか。バイクに乗ってリフレッシュするのも、本当に大切なんだって思います」

北海道は半年雪に閉ざされる。それだけに、バイクに乗れる春から秋口までは、ライダーが弾けるように走り出す季節なのだ。遠くからロングツーリングで北海道を目指すライダーとはまた違ったイメージでシーズンを過ごす地元のライダーたち。その中でも躍動的な女性ライダーは、本当に羽を広げて大空を飛ぶように走っているに違いない。今回彼女の後ろ姿をバイクで追いかけながら撮影して、「コリコリ族」も是非取材して見たくなった筆者である。









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