

取材協力/ドッグファイトレーシング
掲載日:2009年04月21日 絶版大好きショップ探訪
この記事はZeppan BIKES創刊号掲載の記事を再編集したものです。
ドッグファイトレーシング。かつてレーサーレプリカに熱中していた人で、この名前を知らない人はいないだろう。2ストレプリカで峠を攻めるライダーに「ドッグファイト」のチャンバーは定番中の定番だった。2ストレプリカの現役時代、数多くのショップがチャンバーを製作し販売していたが、ライダーが求めていたのは見た目や音ではなく「本当に速くなるチャンバー」だった。そうなると選択肢は自然に限られてくる。当然ながら、全日本F3や4耐で活躍している有力ショップが開発したチャンバーこそ、マシンを速くする近道だったのだ。
千葉県松戸市に工場を構えるドッグファイトレーシング。かつてはSSフクシマという屋号でNSRをチュー二ングし全日本F3や4耐、全日本の関東エリア戦で大活躍していたショップだ。現在代表を務めるのは室井さん。現在もドッグファイトレーシングとして全日本選手権に参戦するかたわら、造詣の深いNSR、TZRのメンテナンスを今でも日常的に行っている。これらの車種に力を入れるショップが激減したいま、レーサーレプリカにもう一度乗りたい、そう考えるライダーにとっては心強い存在だ。
「NSRは最後期型でも10年前ですから、調子を崩した車両が多くなってきました。クランク・クランクセンターシール・オイルポンプなどの不良も多いですし、NSRの特徴でもあるRCバルブが全開または全閉で固着してしまっている車両もよく見かけます」
同店ではNSRに対して現在も整備メニューを用意している。当時の性能を取り戻すオーバーホールはもちろん、希望があればチューニングも可能だ。今では手に入らないF3-kitでさえ、NSRを知り尽くし膨大なデータを持つ同店では、同等の加工を施すメニューが用意されている。長年の経験から、NSR全モデルについて現在の部品供給状況から流用部品の使い方、さらには各年式の弱点まで把握している同店には、取材当日も数台の車両が整備で入庫していた。
ドッグファイトレーシング代表
室井 秀明 Hideaki MUROI
88年にSSフクシマへ入社後、96年に現在のドッグファイトレーシングを立ち上げた。TZRについても多くのノウハウを持つ。
ドッグファイト製の美しいチャンバーを装着したエンジン。ベースマシンは89年型・人気の「シードカラー」。上級グレードのSPはマグネシウムホイールや乾式クラッチなどの豪華装備を持ち当時からライダーの憧れだった。
「当時レースで勝ちたかったから、戦闘力の高いNSRやTZRを徹底的に研究してチューニングしました。そのノウハウを今の時代のオーナーさんにも伝えていきたいと思います」
思い入れのあるNSRに乗るなら、当時の性能をキッチリ取り戻して乗りたい、そんなオーナーの声にしっかりと応えてくれるドッグファイトレーシングの存在。レーサーレプリカファンにこれほど心強い味方はいない。
両センター支持により1/1,000mmレベルでクランクのバランス取りを行う。始動性の悪い車両はクランクシャフトがダメになっている場合が多い、とは室井さん談。オーナーの人は注意。
天井からぶら下がる「ドッグファイトチャンバー」。NSR・TZR用は現在でも入手可能だ。価格は年式やタイプによって異なる。Webショップでも購入は可能だから、欲しい人は要チェック。
整理整頓され、工作機械や工具が整然と並ぶ工場では、同店が参戦する全日本選手権用の車両が整備される隣で、一般ユーザー向けの整備も行われている。
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