奥只見周遊ルート

掲載日:2007年10月27日 ツーリング情報局関東エリア    

山の稜線・湖畔を
駆け抜ける樹海の道

みなさんこんにちは。関東エリア担当のコーイチです。猛暑の夏も過ぎ去り、秋らしい涼やかな風が吹き渡るこの頃。走ってますか? 私は走ってますよ(笑)。このツーリングレポートを絡めて、あちらこちらへ足を延ばしています。10月のツーリングレポートでは、新潟県と福島県の県境にある奥只見湖・田子倉湖をぐるりと回る“奥只見周遊ルート”を紹介します。関東圏の方でも、頑張れば日帰り可能。関越トンネルを抜けた先にある秘境を訪れてみてください。

イメージ新潟県魚沼市「道の駅ゆのたに」を起点に、国道352→国道401→国道289→国道252と、時計と反対回りに一周して魚沼市へ戻ってくるのが、今回のルートです。「道の駅ゆのたに」を出発し、まずは一路東へ。最初は2車線の道も、湯之谷温泉を過ぎると、1.5車線の林道チックな雰囲気へと変貌。尾瀬の御池まで、この1.5車線がずっと続きます。見通しのきかないブラインドカーブばかりですので、スピードの出し過ぎには気をつけてください。緑豊かな広葉樹の森はこれからが紅葉シーズン。山深く人の手もあまり入っていない森の紅葉は、ライダーの目を楽しませてくれること間違いありません。越後駒ヶ岳登山の基地ともなる“枝折峠(しおりとうげ)”から、走ってきた道を一望することができます。樹海ラインは、その名の通り木々に覆われた山腹の森を切り開いてできているのが分かるでしょう。この日は“晴れ”予報だったのですが、新潟県側は曇りがち。革ジャンを着込んでいたのですが、日が差さず秋の風がかなり寒かったです。紅葉の時期の午前中は冷え込みますので、防寒用に1枚インナーを持って行かれるとよいと思います。枝折峠を越え、日本最大の人造湖“奥只見湖”の湖畔へと足を進めます。いくつもの渓谷を飲み込むように水を貯めている巨大な奥只見ダムへは、バイクで行くことができません。残念ながら奥只見ダムの写真は今回無しです。時間があれば、遊覧船を利用して奥只見ダムへ行ってみるのもよいでしょう。

イメージここからしばらくは、奥只見湖の湖面を左手に眺めながら数十kmの山道です。右手に緑、左手に湖という風景を満喫しつつ、山腹を縫うようにブラインドカーブ続きの道をひたすら走ります。この辺りに来ると“樹海ライン”ならではの、一風変わった看板が出てきます。“沢水注意・段差注意”よく見ると、行く手の道路を横切るように、、、水が流れています。バイクも車も沢水を横断しつつ走ります。奥只見湖半の樹海ラインには、10数カ所このように路上を沢水が流れる場所があります。樹海ラインは、例年7月にならないと通行止めが解除になりません。豪雪地帯であることはもちろん、その雪解け水で増水した沢水に足をすくわれる可能性があるからなのでしょう、きっと。皆でツーリングへ行く前には、洗車してバイクをキレイにしてから…という人もいるかと思います。でも行き先が、ここの時は止めておきましょう。せっかくキレイにしたバイクも、沢水と砂埃であっという間に汚れてしまいますので。

尾瀬の袂・檜枝岐村で
初秋の紅葉と裁ちそばを楽しむ

イメージ奥只見湖を後にして樹海ラインを先に進むと、尾瀬ヶ原を源流とする、水量豊かな只見川に達します。この川にかかる紅の橋「金泉橋」を越えると福島県です。新潟県側に比べて起伏もゆるやかになり、高原ムードいっぱいの森の中を走っていきましょう。標高1500m超の尾瀬の袂では紅葉が始まりつつあって、緑の森のそこかしこに赤や黄色に染まった葉が見え隠れしています。ここには私が思わずバイクのエンジンを切って立ち止まった美しい風景がありました。半ば立ち枯れた白樺の巨木と、そこに巻き付いた宿り木。葉を持たない白樺の代わりに鮮やかな紅色に葉を染めた宿り木の様子が、なんとも言えない情緒的な美しさを醸し出しています。ちなみに、ここを訪れたのは10月の3連休でした。このツーレポが掲載された週の週末、きっとこの辺りは紅葉の見頃のピークだと思います。

イメージ尾瀬・御池を通り過ぎると、道はやがて走りやすい2車線路の区間が増えてきます。タイトな山道のため抑え気味だったアクセルも、少しワイドオープンしてみていいかもしれません。快走路を会津方面へ下っていくと、尾瀬檜枝岐温泉の集落へとたどり着きます。ちょうどお昼時でしたので、ここで昼食にすることにしました。檜枝岐村の名産品として知られているのが“裁ちそば”だそうです。つなぎを一切使わないという蕎麦は、いわゆる十割蕎麦と言ってよいかと思います。朝早くから数十kmのワインディングを走り通しだったのでお腹もぺこぺこです。蕎麦一枚…じゃあ全く足りないよな~。と思い、キノコの炊き込みご飯と天ぷらの盛り合わせも追加(汗)大奮発ですが、今日の予定はまだ道半ば。この先に備えて腹ごしらえです。出汁の効いたつゆは濃厚で新鮮な蕎麦との相性も抜群でした。野菜と山菜の天ぷらも味わい豊か。家庭的な味付けのキノコご飯も絶品。写真を見返していると、また生唾が…お腹まで鳴り出しそうです。

イメージ他にも何店か“裁ちそば”を出すお店があるようです。機会が有れば食べ比べしてみたいものです。腹ごしらえが済んだので、ここから一気に沼田街道(国道352→401→289)を北上していきます。冬の除雪対策のために道幅も路肩も広く設けられた2車線路が田子倉湖まで続きます。収穫期を迎えた稲穂が、陽の光で輝かしく黄金色にきらめく田園地帯を、ペースを上げてぐんぐん走れます。周辺に観光地が少なく、行楽渋滞とも無縁なのがライダーには嬉しいところ。都心からのアクセスも容易でない奥地なのですが(だからこそ観光渋滞が無いとも言う)オススメのツーリングロードです。

走りを楽しめる
爽快フォトジェニック山岳ロード

イメージ国道289と国道252がぶつかる交差点を西へ進みましょう。やがて気持ちのいいストレートが見えてきたと思うと、行く手に巨大なコンクリートの建造物が見えてきます、田子倉ダムです。奥只見湖と並ぶスケールの大きさには、間近で見られる分、圧倒されるモノがあります。こちらは幸いにもバイクでダムのすぐ側まで行けるので、休憩したり観光したりしてみるのもよいでしょう。この田子倉ダムのすぐ脇から“六十里越え”とも呼称される、新潟と会津を結ぶ爽快な山岳ロードが始まります。国道252の福島県側はいくつものスノーシェードがあり、シェードの隙間から格子状に射し込む光と影の中を駆け抜けるような、ドラマティックなシチュエーションに何回も出会えると思います。思わずバイクのスピードを上げて、疾走するスピード感を楽しみたくなる道です。峠を越えると新潟県に。峠から少し下った先のこちら側は、フォトジェニックなビューポイントが点在する道になります。国道と併走するように只見線が走り、末沢川が流れている様子は、豊かな自然と人工物の共生をイメージさせる、のどかで豊かな風景と言えると思います。この魅力的な景観は、自然や鉄道を撮るカメラマンにも人気があるようで、線路脇や橋梁の上でカメラを構える人を何人も見かけることがあるかもしれません。道を更に進み、民家が増え、山並みが低くなだらかになってきた頃、スタート地点だった小出の地名が道路標識に見えてきました。

イメージお疲れ様でした。今回の“奥只見周遊ルート”ツーリングレポートは、いかがでしたでしょうか。走行距離は約200kmぐらいですが、国道352“樹海ライン”はペースが上がらないので思ったよりも時間がかかります。また国道352も国道252も山間部は数十km以上ガソリンスタンドがありません。しっかり満タンにしてから山道へ入るようにしてください。次回の12月ツーレポは、水上~日光~那須という紅葉満喫ルートの予定です。ツーレポが掲載される頃には・・・シーズンが終わってしまっているんでは? というツッコミは無しでお願いします(笑)。それではまた、お目にかかりましょう。

>> 今回のルートマップはこちらから

スポット紹介

奥只見湖

URL/http://www.okutadami.co.jp/index.html

山びこ山荘(裁ちそばの食事場所)

住所/福島県南会津郡檜枝岐村

電話/0241-75-2372

URL/山びこ山荘

コーイチ
プロフィール
コーイチ

東京都在住。HONDA CBR600Fに乗り、関東のあちこちを走り回る根っからのツーリングライダー。CBRの走行距離も7万キロを越え、週末ごとにその走行距離は伸びるばかり。ツーレポを担当することになり、「10万キロ越えが近づいた」と笑う。

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