USAツーリング5.6.7日目

掲載日:2007年10月28日 ツーリング情報局海外エリア    

ラスベガスを抜け
灼熱のデスバレーへ

イメージこんにちは、編集部のターミーです。

今回は、いよいよアメリカツーリングの最終章。5日目、6日目、7日目をご紹介したいと思います。

5日目は、スプリングテールという街ラスベガスを抜けてデスバレーという場所へ向かいます。スプリングテールからラスベガスまではフリーウェイに乗ればすぐに着く距離。それではつまらないので「バレーオブファイヤー州立公園」に寄り道していくことにします。ここはラスベガスから近い場所にあるため、そこそこの人気の観光コース。グランドキャニオンやモニュメントバレーほど壮大な景色が広がっているわけではありませんが、赤茶けた地面がむき出しになったアメリカらしい荒野を楽しむことができます。"いかにもアメリカ!"といった赤茶けた地面は、鉄分を多く含んだ土壌が原因。地表で空気に触れ、鉄分が酸化して赤茶けてくるのだとか。初めてこの赤い地面を見たときには、アメリカに来たんだなぁと妙に感慨深かったのを覚えています。アメリカは日本にない迫力のある景色に溢れているのですが、長距離を走りますし、同じような景色が続くので慣れてしまうんですが。

イメージ「バレーオブファイヤー州立公園」内にはネイティブアメリカンの壁画が楽しめる場所もあるようですが、私たちはちょっと寄り道しただけ。先に進むことにしましょう。バレーオブファイヤーを出てからは、レイクミードという巨大な人造湖沿いを走ります。荒野に突然広がる青い水は非常に綺麗なものに写りました。このレイクミードを抜けるとすぐにラスベガス。山を越えていきなり現れる巨大なビル群は、蜃気楼かと思うほどの驚きがあります。ラスベガスの紹介はTVや雑誌でも語りつくされていますから、そちらに譲りましょう。私たちは昼食を取り、すぐにデスバレーへと向かいます。これから向かうデスバレーは真夏になると気温が50℃以上にもなる灼熱地獄。先日(2007年10月)カリフォルニア州各地に広がった大規模な山火事は、デスバレーから吹く乾燥した熱風が原因の1つと言われているほどですから。

イメージ実際、デスバレーに近づくにつれ、気温はぐんぐんと上昇していきます。バイクに乗っていても、湿気のないムワッっとした熱風に打たれ頭がボーっとしてくるほど。カリフォルニア州のバイクや車のレンタル店では、契約時に「夏はデスバレーに行ってはいけない」と言われるところもあるみたいですねこれほど暑いと車もバイクも、いつオーバーヒートしてもおかしくありません。デスバレーは高い山に囲まれた場所なのですが、そのうち1つの山の山頂からデスバレーを見下ろせる“ダンテズビュー”という展望台があり、そこからの夕焼けはすごい絶景らしいんです。私たちは夕焼けには間に合いませんでしたが、日が落ちて次第に青から黒へと変わっていく空を眺めることはできました。

デスバレーは早朝のうちに脱出
ドライレイクで最高速チャレンジ

イメージこれまでの5日間、早朝は少し肌寒いほどでしたが、デスバレーは日の出間もなくから暑い…。バイクで出発した私たちに容赦ない暑さが襲い掛かってきます。尋常ではない暑さに加えて湿気がほとんどないため、まさに焼けるよう。Tシャツが汗でベタベタになるようなこともなく、かいた汗が空気に吸い取られていくような感じです。おまけに辺りには、ひたすら死の砂漠が広がっているだけな状態。日本と同じ地球上の大地とは思えない景色です。しばらくバイクを走らせると視界の先に真っ白な大地、塩湖が見えてきます。冬の間は浅い湖になるところが、夏が近づくにつれ熱気で干上がってしまうのだとか。干上がった湖底の凸凹の形状から“デビルズゴルフコース”と呼ばれる場所がありました。

イメージここに向かうには未舗装の短いダートを走らなければ行けないのですが、今回のツアーではところどころでダートに出くわしていましたから、もうダートには慣れてきました。恐れずにスロットルを開けてしまえば、意外に怖くないものです。アメリカを走るといろんな道に出くわすでしょうから、帰る頃には運転がうまくなっている気がします。デビルズゴルフコース以外にも、ミドコロをいくつか回りました。どのスポットもなかなか面白い名前をつけられています。わずかに水が湧き出るポイントは“バッドウォーター”など、デスバレーで訪れた観光スポットのすべてにネガティブな響きの名前がついていて、普通の人が来ない、特別な場所を訪れているような気分になってきます。

イメージ陽が高くなってくると、気温がグングン上昇してきました。オーバーヒートも気になりますし、そろそろデスバレーを離れることに。デスバレーから離れて、山を越えるうちに次第に気温が下がり、少しだけですが植物の姿が増えてきます。気温が下がったとはいえ充分に暑いのですが、デスバレーを経験すると少々の暑さは気にならなくなるんですね(笑)。もう旅も終盤で、まっすぐ南下すればロサンゼルスに着いてしまうところまで戻ってきました。ロスに戻るまでに通るまでに、立ち寄る目ぼしいスポットはあと1つ“エルミラージュ・ドライレイク”という干上がった湖だけとなりました。

イメージここは映画「世界最速のインディアン」に出てきたボンネビルと同じく、車やバイクで最高速チャレンジが行われている場所です。私が訪れたのは平日で、ほぼ貸切状態で走り回れましたが、週末は車やバイクが大挙して訪れ賑わうのだとか。ドライレイクは小さな街の外れにあり、そこに入るにはダートを抜けて行かなければいけないのですが、地面が柔らかいため慣れていない人はちょっと怖いかもしれません。ドライレイクの中に入ってしまえば、干上がった地面はアスファルトのように固く(ところどころに柔らかい土肌もありますが…)スピードを上げるのに怖さは感じないでしょう。ただ、ここはアスファルトではないのでブレーキには注意です。急ブレーキをかければスリップするでしょうから、緩いブレーキと惰性で停まる必要があります。周りには障害物は何もありませんから、急ブレーキにさえ気をつければどれだけスピードを出しても大丈夫。生まれて初めて100kmの壁を経験したときの感動を、好きなだけ飛ばして体験できる場所です。このツーリングで生涯記憶に残る場所をいくつも体験しましたが、ここも間違いなくその1つですね。

ついにロスへ帰還!
3,200kmの旅の終わり

イメージエルミラージュを楽しんだ後は近くの街で1泊。翌日はロサンゼルスへ戻ってレンタルバイクの返却手続きなどがある日です。そのため最終日は走行距離が200kmと短いツーリングになりました。日本だと200kmのツーリングはそこそこの距離ですが、こちらでは本当にすぐの距離なんです。7日間アメリカを走ることで、だんだんと距離感覚がおかしくなってきますね。こんな経験ができるのもアメリカツーリングの醍醐味でしょう。さて、宿泊先の街を出てフリーウェイでまっすぐにロスまで向かいます。途中で寄り道をせず、郊外のサンタモニカという街で少しだけ観光をするために道を急ぐのです。サンタモニカはたぶん有名な観光地。世界各地の観光客が溢れるビーチがあり、レンタルセグウェイでビーチを散策する観光客もいました。おいしい海の幸を出してくれるレストランがあちこちにあるらしく、ここまで来たらシーフードを食べちゃいましょう。以前、この街に来たときに私は牡蠣を食べたのですが、それまで牡蠣が大嫌いだった私が牡蠣好きになってしまったほど、おいしいシーフードを味わうことができました。日中のサンタモニカは交通量が多く、バイクで走るには都会過ぎますが、ずっと人も車も少ない田舎を走ってくると新鮮なものです。ただ、ノロノロと日中走るのは暑くてかなわないので、できれば夜のサンタモニカビーチを流してみたいですね。気持ちよさそう…。

7日間のツーリングはサンタモニカを最終スポットとして終わりました。全行程3,200kmを7日で走りぬく強行軍でしたが、走り終えた感想としては「まだ走れる。ちょっと物足りない」でした。年配の人だと疲労感でいっぱいかもしれませんが「もう少し走りたかった…」くらいがちょうどいいのかもしれません。走りたいところすべてを走ることができたわけじゃありませんから、また来る理由ができたと思うことにしましょう。昔から「いつか走ってみたかった」アメリカをとうとうツーリングすることができました。時間もお金もかかるアメリカツーリング、知人に誘われなかったら現実的に考えなかったかもしれません。働いている人は休みも取らなければいけませんしね。でも、どんな立場の人も本気で一歩踏み出せば、走れてしまうツアーです。1週間だけ日本を留守にできればいいんですから。このツーリングに参加したメンバーは普通に勤めている人が半数以上です。日本とは違ういろいろな景色、空気、文化を味わえるのが海外ツーリングです。感性が敏感な若いうちに体験することをオススメします。「本気で走りたい」そう思ったなら適わない夢ではありませんよ。

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バージンハーレー編集部 ターミー
プロフィール
バージンハーレー編集部 ターミー

数々のバイクを乗り継ぎ現在はハーレー「スポーツスター」、BMW「R80」、YAMAHA「SR」を所有するただのバイク馬鹿。これまでシングルかツインにしか乗ったことがなく、やや偏食気味なのが気にかかるところ。

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