『たびたび、旅へ』

第7話 天空にぽかりと空いた池

掲載日:2017年08月15日 タメになるショートコラム集たびたび、旅へ    

Text & Photo/NOBUWO

これが山の中腹にぽっかりと空いた「天空の池」。奥の雪をかぶった峰々は南アルプスです。写真は5月初旬に撮影したもの。

いつもゆるーく旅について書いている当コラムですが、夏休み期間ということで、ここ3回は僕が知っているとっておきの避暑地をご紹介しております。

さて今回は、僕の絶景地リストの中でも本当にとっておきの場所です。メモのご用意を。

紹介するのは長野県下伊那大鹿村鹿塩にある「天空の池」です。ここは山深い南アルプスの山中にある池で、黒川牧場という牧場の中にあります。

山の中腹に広がる牧場の中に、牛の水飲み場となっている直径20mほどの池があるんですが、周囲をまったく遮るものがないため、眼下には飯田や駒ヶ根の街が広がり、正面には南アルプスの険しい山々が迫るという、雄大な景色が広がっています。

アクセス路はかなり勾配がきつい未舗装路。オフロードバイクじゃないと大変でしょう。車も4WDしか登れません。

夏は雪が溶けてしまいますが、6月ぐらいだとまだ南アルプスの山頂付近には残雪があり、雲を写す鏡のような池、眼下の町並み、青空に映える残雪の峰々と、まさに日本離れした山岳風景が楽しめるわけです。

本来なら、必死に山を登ってやっとたどりついた山頂からしか拝めないような絶景が、バイクで走った先で眺められるんですから、素晴らしいですよね。

池から南アルプスの方向はちょうど西に向いているので、うまく夕日の時間帯に合わせると、それはもう感動的です。夕日が山並みに沈み、空がオレンジから藍色に変わる壮大な昼と夜の交代劇は、まさに感涙モノと言えます。

池から続く道を進んでみれば、苔が美しい針葉樹の森が! なんかハリーポッターとかに出てきそうな神秘的な森です。

ただ、この池に行くにはちょっと過酷な道を走らなくてはいけません。黒川牧場の途中までは舗装路ですが、池までの約2km区間は完全な未舗装です。しかもかなり傾斜のきつい、つづら折れの道なのでオフロードバイクじゃないと厳しいでしょう。1,000ccクラスのアドベンチャーモデルでも行けますが、ちょっと覚悟がいりますのでご注意を。

それと、天空の池周辺は標高が1,700mほどあり、夕方にはかなり涼しくなるので防寒着の用意も忘れずに。

そうそう、僕が訪れたときの話ですが、なんか黒い物が道の先で横切ったな、と思ったら熊でした。そして池のすぐ横には彼の立派な糞も残っていました。まぁそれぐらい自然が豊かな場所ということですね。

これは当日、池のすぐ脇で見つけた熊の糞。山深い場所だけあり、熊も生息しているんです。

この池の麓を通る国道151号線にはパワースポットとして有名な「0(ゼロ)磁場」もあります。そちらにも立ち寄って、大自然のパワーを感じてみるのも一興です。

夕日がアルプスに沈んでいく様子は、壮大で感動的です。山の変わりやすい天気なので、見られたらラッキーですね。

天空の池

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