『たびたび、旅へ』

第6話 荒涼とした独自の景色・毛無峠

掲載日:2017年08月11日 タメになるショートコラム集たびたび、旅へ    

Text & Photo/NOBUWO

峠に寂しく残る鉄塔は、かつて鉱山で使われていたリフトの支柱の残骸か。そんな遺構が爽やかな景色の中に郷愁を漂わせる。

この夏おすすめの避暑スポットとして、今回ご紹介するのは群馬県の毛無峠です。ここはビーナスラインと双璧をなす、山岳スカイライン「志賀草津道路」のちょうど南西に位置する峠です。

毛無峠は、長野県高山村と群馬県嬬恋村を隔てる標高1,823mの峠で、県道112号線の行き止まりになっている場所です。

なぜそんな場所まで道が敷かれたかというと、この峠の直下にはかつて「小串硫黄鉱山」があったからなんです。

晴れていると峠からは北に志賀草津方面、南に浅間方面の山々が遠望できる。風の抜け道なので、いつも涼しい。

この鉱山は大正初期から昭和43年まで採掘が続けられ、昭和32年の最盛期には660名を超える人々が働いていました。鉱山には学校や病院もあり、鉱夫の家族が移り住みすでにひとつの町となっていたようです。

しかしその一方で、昭和12年には大規模な地滑りが発生し、245名もの犠牲者が出てしまったことでも有名になりました。

そんな栄枯盛衰の背景があるからなのか、常に風の強いこの峠に立つと、晴天の爽やかな日でも、どこか寂しいような独特の雰囲気をヒシヒシと感じます。

その哀愁感と360度の絶景が織りなす様相は、まさに別世界。ここにしかない圧倒的な風景と言えるでしょう。

また、この峠へとアクセスする県道466号にある「万座のかりんとう山展望」の峡谷もかなりすごい絶景が広がっているので、毛無峠のついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

取材撮影中にたまたま見つけた県道466号にある「万座のかりんとう山展望」。この荒々しい土砂崩れの跡が、圧倒的な迫力で迫る。

オフロードバイクであれば、毛無峠の北側に位置する「湯沢林道」もおすすめ。13kmの走りやすいダートと壮大な山岳風景が楽しめます。

険しい山岳林道の湯沢林道。未舗装区間が13kmほど残り、高山村へと抜けられる。オフロードバイクならぜひ楽しみたい道だ。

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