『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流カスタムパーツ造り(ADVANTAGE F.C.C.) #03

掲載日:2013年10月23日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

フリクションディスク製法の “セグメント方式” とは、F.C.C.が開発した独自製法です。要はフリクションディスク部分のブレーキで言うトコロの “パッドの形状” と言った方が分かりやすいでしょうか。従来の方式ではフリクションの摩擦面の整形がとても難しかったのですが、そこを F.C.C. が開発した独自製法でクラッチ生産の効率化と品質の向上に飛躍的な進化をもたらしました。そのおかげで、『ADVANTAGE F.C.C.』 は作り出されております。

簡単に言うと、フリクションディスクを生産する場合には、テープ状の摩擦材を芯板へ圧着することにより、工程に大幅な効率化を実現します。また、製法の特性がもたらす自由度の高い油溝形状が、製品に求められる様々な要求への柔軟な対応を可能にします。芯材は、従来はスチール製でしたが、当社のキットではアルミ製です。回転部分であるクラッチとしては軽量化が図られ、熱効率も良くなる為、安定した性能が確保できました。

また摩擦性能向上による変速時のショック(乗り心地)改善、クラッチOFF状態での引き摺り低減(フリクション低減)による燃費向上など、製品としてのクラッチに求められる性能は多様です。セグメントディスクは自由度の高い油溝(グルーブ)形状の実現により、我々が求める高い要求に対応することが可能となりました。プレートはとても重要で、クラッチはわずかな隙間の管理で滑ったりするものです。

エンジン内部は高温にさらされており、熱による歪(ひずみ)でプレートが反り、その反りでフリクションプレートとの間に隙間が生じ、クラッチ滑りや、クラッチをリリースする時のタッチ、繋がりが悪くなったりします。

一昔前まではクラッチプレートの素材自体の精度が悪く、残留応力も製品に残ってしまいがちでした。それらを抑え込むためにはプレスなどで再整形をしていましたが、当社のキットはそれらの問題をクリアした鋼板を使用しているので、エンジン内部の厳しい状況下でも狙いどおりのパフォーマンスを発揮できる様になりました。

高熱化でのクラッチプレートは磨耗も問題ですが、歪による反りが最も大きな問題です。わずか数ミリのストロークで作業を完結するなかで、1台で6、7枚のプレートが有ると、その僅かな歪みは大きなものになり、軽く数ミリに達してしまうでしょう。クラッチケース内、特にクラッチシステム内の数ミリというのは、じつはとんでもない数値なのです。

そこで、熱対策としてスチールプレートに GSN (特殊ガス窒化処理)を施し、高耐久性と歪性に対して余力を持たせることに成功しました。このようにトータルで最適化することにより、安定したクラッチ性能を提供することができるのです。

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