
掲載日:2015年03月31日 タメになるショートコラム集 › バイク乗りの勘所
Text/Nobuya YOSHIMURA
執筆者の一員として、長期にわたっておつきあいいただいているロードライダー誌の5月号をパラパラとめくっていると、アドバンテージの広告が目についた。いや、正直言うと、目についたのはブレーキキャリパーの写真であって、アドバンテージの広告だとわかったのはその数秒後だが、これは素晴らしい。通称TZキャリパー。正確には、かつてヤマハの市販ロードレーサーTZ250に装着されていたニッシン製のブレーキキャリパーが再販されたのだ。
私も自分の愛車XJ900で使用しているこのキャリパーは、1988年型TZ250に初採用されたあと、小改良を加え、2001年型まで使われていた物である。2本のM10取りつけボルトの間隔が83mmのTZR250、R1-Z、SRX400/600初期型、FZX750、RZ250など、キャリパーサポートなしで多くの機種に装着可能なことから、ネットオークションでは(ほとんどが中古品)高嶺の花と化していた。絶版になったあとも、まったく人気の衰えないキャリパーなのである。
実は私も、そろそろ2セット目に交換しようかと思って、オークションを物色していたところなのだ。ブレーキキャリパーは、パッドとパッドピンはもちろん、ピストンとシール類が補修用パーツとして用意されているから、それらを交換すれば、数万kmにわたって性能を維持することができる。しかし、それ以上となると、パッドにかかる制動力を受け止めるキャリパーボディの当り面が減ったり凹んだりして、最後にはボディの交換が必要になる。
この当り面の寿命は、ブレーキの使用頻度や使用環境、パッド裏板の形状や状態などに左右されるとはいえ、減ったり凹んだり、段付き摩耗したり面の荒れが生じたりすると、てきめんに効力が低下し、フィーリングが悪化する。そうなるとキャリパーボディの交換しか対策はなく、このタイミングで発売してくれたのは快挙という他にない。TZキャリパーを長く使用してきた人のリプレイス用に、そして、交換を考えていた人に、突然の朗報である。
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