『バイク乗りの勘所』

寒くなってきたらタイヤの空気圧調整を

掲載日:2014年09月29日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

この時期は、タイヤの空気圧が下がりやすい。3年前、本コラムの『秋口はタイヤの空気圧低下に要注意』(2011年9月26日)にも似たようなことを書いたが、大切なことなので何度も書く。空気圧が下がりやすいのは、主に気温の低下のせいだ。直射日光が当たっているような場合は別だが、数時間以上放置したバイクのタイヤは、ほぼ気温と同程度の温度になっている。気体の体積は温度に比例し、体積と圧力は反比例するから、気温の低下とともにタイヤの空気圧が下がるのは当然である。

おまけに、路面温度も夏場と比べて低いから、走りだしたあとの温度も、夏場と比べて低いままである。タイヤの空気圧が低いと、なぜダメなのか。その理由は3つ。ひとつは、タイヤの断面形状(プロファイル)が崩れ、バイクの操安性に悪影響を及ぼすから。もうひとつは、タイヤの反発力が低下し、狙いどおりの衝撃吸収性能が得られなくなるから。そして3つめは、不要な変形が増えて高分子材料の破壊が進み、タイヤの耐久性が落ちるからである。

タイヤという名の容器に閉じ込められた空気は、密閉されているみたいに見えるが、実はそうではない。分子レベルで観察すると、穴だらけの網に覆われているにすぎない。そしてその穴は、温度が低いほど大きくなり、空気が逃げやすくなる。放置時間の長さも空気の逃げに輪をかける。朝夕の冷え込みが激しく、メッシュジャケットでは辛くなってきたこの時期に、騙されたと思ってタイヤの空気圧を測ってみるといい。予想以上の低下に驚くはずだ。

空気圧の測定と調整に、バイク屋さんやガソリンスタンドに行く必要はない。携帯用ペンシル型エアゲージは、使ったことのない人が思っている以上に正確だし、自転車用のエアポンプ(バイク用のエアバルブにも適合する物を選ぶべし)は、携帯型なら20~30ストローク、足つきの大型なら10~20ストロークで、低下した分の空気圧を適正にする能力がある。ツーリングに出発する前の空気圧調整は、乗り手の体のウォーミングアップにもちょうど良い。

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