『バイク乗りの勘所』

グリップしすぎは危険である

掲載日:2014年02月17日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

“グリップ”という言葉を聞くと、動詞ならタイヤ、名詞ならハンドルの左右についているゴムを思い浮かべる人が多いだろう。だが今回は、タイトルに“グリップしすぎ”と書いたように、動詞でありながら、タイヤ以外の、主にライダーの体とマシンの間のグリップについて…である。具体的には、両手(グローブ)とハンドルグリップやレバーの間のグリップ、両足とステップやペダルの間のグリップ、尻や内股とシートの間のグリップなどについて、少々考えてみたい。

上に書いた各部のグリップの中で、私が最も気にするのは両足(靴底)とステップの間のグリップである。オン・オフを問わず、競技用車両ではグリップ優先で、足離れなどは考慮しない。トライアルを除き、走りだしたら最後、競技終了まで足を着かない(停車しない)から、それでいい。だが、ストリートバイクの場合、1回のツーリング中、それこそ無数に停車し、足を着いている。中には、停車中に“グラっ”ときて、とっさに反対側の足を着くといったシーンもあるはずだ。

そんなとき、足離れが悪いと、足を着くのに時間がかかり“ヒヤっ”とする。グローブとレバーの間のグリップも然り。グリップが良すぎると、レバーを握っている間は良いが、離す方向のコントロールがしづらく、急いでリリースしたい場合などに“イラっ”とする。グローブの指先甲側(爪の位置あたり)のグリップが良すぎると、グリップを握った状態からレバーを越えて指を掛ける動作の途中で、レバーの裏側にグリップし、これまた“イラっ”または“ヒヤっ”とする。

ペダルの先端については、グリップが悪いとつま先が滑ってうまく操作できず、危険である。だがこれも、やりすぎは禁物で、あまりにも足離れが悪いと繊細なブレーキコントロールができなかったり、シフト操作の素早い“返し”(踏み込み動作→掻き上げ動作、またはその逆)ができなかったりする。ストリートバイクには、競技用車両にはない“停車”があることを忘れず、マシンに手を加えたりパーツを交換したりする場合は、グリップ過剰にならないように注意したい。

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