『バイク乗りの勘所』

死角よりもコワい盲点

掲載日:2014年02月10日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

クルマの死角は、マトモなドライバーなら常に意識しているし、マトモじゃないドライバーだって、どこに死角があるか…くらいは知っている。ところが、盲点というヤツは、死角とは異なり、見ようと思えばいつだって見えるのに、そのときの状況により、視野からはみ出たエリアである。死角も盲点も、見えないという点では同じだが、ドライバーにとっても、盲点に入ってしまった二輪車のライダーにとっても、ふだん意識していない盲点のほうがはるかに危険である。

具体的には、ドライバーが進行方向を“注視”しているときに盲点が生じやすい。直進しているときは、前を向いていても、左右のミラーに写る像が見えている。しかし、カーブや交差点での右左折時には、直進時よりも高めの緊張感を保ちつつ、自分の進路の先を“注視”する。これにより、進路の先に関する注意力が高まるのと引き換えに、盲点が拡大する。クルマで右に曲がるとき、左のミラーは視野から外れ、左前のフェンダーあたりから後方にかけて、広大な盲点が生じる。

そんなところに入ると危ないのは当たり前。バイクでクルマと併走するとき、最も危険なのは右折車のアウト側だと心得るべし。となりのクルマは、アナタの存在にまったく気がついていない可能性が高い。曲がり終わったあとで、左側に隙間を空けてくれるだろうなどというのはアナタの勝手な思い込みであり、見通しが甘すぎると言わねばならない。決して推奨はしないが、どうしても併走して右折したければ、半車身以上リードしてクルマの右側を走るべし。これなら見える。

その他、バックしようとしているクルマには近づかない。ハンドルを切りながらバックしているクルマには特に注意。駐車場などでラインがクロスしそうなときは、停車して相手を先に行かせるか、相手が停車したのを確認してから自分が先に行く(要するに、2台同時に動かない)。大型車の直前を走るときは、その大型車の後ろにいるクルマから見えやすい位置(多くの場合は車線内の右寄り)を選ぶ。大型車の直後は走らないなど、相手の盲点と死角を避け、自分を守るべし。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索