『バイク乗りの勘所』

整備ミスをなくすために(その3)

掲載日:2013年12月09日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

整備ミスの話ばかりしているわけにはいかないので、前の2回で書きたりなかったことを補足して、今回でいったん終わりにしたい。補足の最初は“2人がかり”は実に危ないということ。熟練者といえども、ふだん1人でやっている作業を2人がかりですれば、互いに“相手がしただろう”と思って、実は2人ともしていない…ということになりがちだ。初心者に教える場合もそう。自分でやってみせる→相手にやらせる…の繰り返しなら良いが、途中で“手伝う”が入るとダメだ。

補足の2番目は、作業が終わったあとで、確認のためにする“増し締め”は禁物だということ。増し締めなんてのは言葉のあやであって“増し締めできる=ちゃんと締まってない証拠”である。ちゃんと締まっているのに増し締めすれば締めすぎになる。工具を当て、締まる方向に軽く力をかけて動かなければ、締まっている(締め忘れていない)と考え、それ以上回そうとしないのが肝要だ。どうしてももう一度締めたいのなら、いったん緩め方向に回してから締め直せばよい。

補足の3番目は、作業環境について。ガレージ、土間、軒下、路上など、どこで整備をするにしても、雑然とした環境は望ましくない。最低限、外したパーツをまとめて置けるスペースは確保すべし。散らかったところにスモールパーツを置くのは、組み立て時に見落とす可能性大である。整備の前に、どうしても片づける時間がとれないときは、散らかった物を脇によけ、紙(カレンダーの裏などの真っ白なのが最良)を敷いて、その上に外したパーツを置く。これだけで全然ちがう。

補足の最後は、休憩である。長丁場の整備中に休憩する場合、1回あたりの時間は長くてもいいが、回数は少ないほどよい。無休憩だと1時間でできる作業を、途中で1回休憩を挟んで30分×2ではできないから、休憩回数が増えるほど正味の合計整備時間は長くなる。それに加え、休憩によって記憶が途切れ、前回書いた“振り返り”が困難になる。もしも途中で休憩する場合は、一段落感のあるところ、または作業のリズム(緩/急)の“緩”のところでするように心がけたい。

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