『バイク乗りの勘所』

整備ミスをなくすために(その1)

掲載日:2013年11月25日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

今回は、本来あってはならない整備ミスの話。「オレは自分で整備しないから関係ねえよ…」と、まあ、そう言わずに読んでもらいたい。愛車の整備じゃなくて、日常生活や仕事のうえで役に立つかもしれないから。で、この“ミス”というヤツは、残念ながら、整備に“つきもの”である。私自身、現役メカニック時代には何度も整備ミスをしたし、レースの取材中にワークスマシンの整備ミスを見つけて指摘したこともある。もちろん、自分の愛車の整備中にもミスはある。

整備ミスの原因のひとつに、注意力不足がある。中でも、だれかに話しかけられて注意が散漫になったときが危ない。私の現役時代のミスの多くが、だれか(担当ライダーや同僚メカニックら)と話をしながら仕事をしたときに起きている。このテのミスの解消法は、話しかけられたら、まず、手を止めること。そして、少し、一歩または半歩でいいからその場から離れる。これだけで整備の流れが断ち切れるから、話し終われば、注意力をもとのレベルに戻して作業の続きができる。

もうひとつ、多かったのは“焦り”である。これはレースメカのときよりも、自分の愛車を整備するようになってからのほうが多い。レースメカの場合、もともと時間が限られているから、あれもこれも…と欲張らないのに対し、愛車の場合、ついでにあれもこれも…と欲張り、結果として時間が足りず、最後は焦りのためにやっつけ仕事になりがちだ。今日はパッド交換と決めたら、仮に途中で時間が余ったとしても、キャリパーのオーバーホールに手を出さないのが賢明だ。

まだまだ他にも“原因”はあるが、ミスをなくすとともに、早い段階でミスを発見し、正しくやり直すのも重要である。ミスの発見に最も効果的なのは反芻である。ただ漠然と作業を振り返るのではなく、動画を(早送りやスキップを交えつつ)再生するように、頭の中でプレイバックするのだ。…と言っても、慣れないと難しいが、タグがついているとやりやすい。交換した古いパーツ、使った工具などがタグになる。それらをもとに、作業中の自分の姿を振り返るのである。(続く)

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