『バイク乗りの勘所』

チェーンのメンテを怠るな(3)

掲載日:2012年06月25日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

ドライブチェーンのメンテナンス、その3は、張り具合の調整(遊び調整)についての話。チェーンが伸びれば(あるいは新品に交換して短くなれば)、当然、チェーン調整が必要になる。その基本は “最も遊びが小さくなるときに、張りすぎにならないこと” である。リアショックが伸縮すると、前後のスプロケット間の距離が変わるから、当然、張り具合も変化する。ドライブスプロケット~スイングアームピボット~ドリブンスプロケットの3点が一直線に並んだときに最もチェーンが張るから、そこで張りすぎにならないようにしなければならない。

たいていのオートバイでは、乗車状態よりもさらにリアショックが縮んだところで、上記3点が一直線になり、チェーンの遊びが最小になる。だから、空車状態で遊びがあっても、走行中に遊びがなくなり、瞬間的に張りすぎになる場合がある。張りすぎると、チェーンが切れるか、スイングアームが動けなくなる(リアショックが伸縮できなくなる)か、いずれにしても危険な状態になったり、大きなトラブルにつながったりする可能性が高い。

で、張り具合の調整は、リアショックを外してスイングアームを動きやすくし、最も遊びが小さくなるところを探し、そこで張りすぎにならないようにするのが正攻法である。ただ、毎回これをするのは大変なので、その状態でも張りすぎにならない “余裕” を見込んで、空車状態では多めにしておくのが一般的。マニュアルに書かれた “遊びの量” は、もちろん、その “余裕” を見込んだ数値なのだが、なぜか張りすぎのまま走っているバイクをよく見かける。

張りすぎはまた、チェーンがスプロケットから離れるときの “歯離れ” を悪くし、抵抗の増大による燃費の悪化や、スプロケットとチェーンの摩耗の原因にもなる。前回に書いたような異常がなく、清掃と給脂を済ませた状態にもかかわらず、押して歩いたときにチェーンが上下にプルプルと小刻みに振れるようなら、張りすぎの疑い濃厚である。とりあえず少々緩めて症状が消えれば、張りすぎが原因だったと特定できるから、その後、正しく調整すべし。

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