『バイク乗りの勘所』

チェーンのメンテを怠るな(2)

掲載日:2012年06月18日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

前回、ドライブチェーンは伸びるだけでなく縮むこともある…という話をした。で、一般的には、規定以上に伸びれば交換というのがメンテナンスの基本とされている。ところが、そこに至るまでの “伸び” は、正常な変化だと言える。走行距離が増えるにつれてタイヤが減るのと同じようなものだ。ところが “縮み” の中には、正常とは言えないものがあるから要注意。異常な縮みがあれば、それは正常な伸びよりも厄介で、早期の交換が望まれる。

チェーンの縮みには、大きく分けて2つのケースがある。ひとつは、温度の低下によって潤滑剤の粘度が高くなり、ブッシュ(内側のプレートに挟まれた筒)とピン(外側のプレートに挟まれた軸)の間のスキマが均等に近づく(引っ張るとスキマが偏り、伸びる)ことにより、張力を失った糸のように縮む場合。もうひとつは、ブッシュとピンの間の滑りが悪くなったり、シール(Oリング)の滑りが悪くなって、ピンが一直線に並ばなくなる場合である。

上に書いた2つのケースのうち、最初のほうは、走りだして力がかかり、暖まれば解消、つまり、再び伸びるから放っておいても良い。それに対し、2つ目のほうは、ヒドい場合、加速や減速を繰り返し、相当な力で引っ張っても一直線に並ばず、山や谷ができたままだったりする。これはマズい。1周のチェーンの中に、伸びたところと縮んだところ、動きやすいところとそうでないところが混在するわけだから、伝わる力も張り具合も周期的に変化する。

困ったことに、動きやすいところとそうでないところが混在したまま運転を続けると、摩耗や温度上昇のおかげで、動きやすいところはますます動きやすくなるのに対し、動きにくいところは動きにくいままであることが多い。前回書いたように、チェーンは、どのリンクもすべて同じ大きさの力を受けているのだから、本来、不均等であってはならない。走行直後に点検して、一直線に並んでいなかったり、きれいなカーブを描いていない場合は即交換すべし。

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