『バイク乗りの勘所』

規制緩和と、さらにキメ細かな規制を

掲載日:2012年06月04日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

先日、琵琶湖の湖岸道路を走っていて、路面にあった “50” の表示が削り落とされているのに気がついた。1箇所だけでなく、私が走った約10kmの区間に何箇所も、同じような痕跡があった。これはつまり、指定速度を解除したということだ。50 の表示(指定速度)があれば、最高速度(制限時速)は 50km/h だが、それがない場合の最高速度(法定速度)は 60km/h だから、最高速度が 10km/h 引き上げられたということだ。リーズナブルな交通規制への第一歩として歓迎したい。

そもそも日本の制限速度は低すぎる。一律 1.5 倍程度に引き上げてもらいたい。ただ、どこでもすべて低すぎるかというと、そうではなく、高すぎると感じるところもある。一律 1.5 倍に引き上げたあと、道路と交通の状況に応じて、部分的に上げたり下げたりのキメ細かな調整が必要なのは言うまでもない。とにかく、現状の交通規制は、制限速度に限らず、大ざっぱすぎる。誰のための道路なのか、何のための交通規制なのかを考え、もっと細やかに検討・実施すべきだろう。

高速道路の集中工事のとき “安全のための連続規制” なる文言を目にしたことがある。見た瞬間に “はは~ん、なるほど…” と思った。一般道路の大ざっぱな交通規制も、キメ細かにするより、同じ規制を延々と続けたほうが安全だと考えているのかもしれない。だとすれば大間違いだ。標識を見て規制を認知し、道路と交通の状況を把握して判断し、それに基づいて運転操作をすべき運転者を思考停止状態に陥らせるだけでなく、どこかで “キレ” させる要因にもなっている。

追い越し禁止(追い越しのための道路の右側部分はみ出し通行禁止)も然り。見通しの良い・悪いにかかわらず延々とこれをやられると、最初は従っていた運転者が、次第にイライラをつのらせ、やがて “キレ” て、危険な追い越しをする。私はもちろん、お読みの方にも身に覚えがあるはずだ。そうした危険も、キメ細かな規制(静岡県駿河地方は、わりとできていた)にすることで回避できるはず。運転者の心理を考えた “キレ” させない規制にも取り組んでいただきたい。

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