『バイク乗りの勘所』

黄色は“止まれ”のはずだが

掲載日:2012年05月28日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

初めて通る交差点で、前方の信号が黄色になったので停止した。ところが、後続車は速度を落とすことなく、むしろ加速するような感じで私の両脇をすり抜けて行った。クルマの横をバイクがすり抜けるのと反対の、すり抜かれ。これはコワかった。左車線の右寄りだったか右車線の左寄りだったか、とにかく、片側2車線の道路の真ん中近くで止まったからコワい目にあうだけで済んだが、片側1車線の車線中央付近だったら、後続車に追突されていたかもしれない。

止まったあとで前方の信号機を見ると、灯火は黄色から赤に変わり、その下に↑と→の青の矢印が点灯していた。つまり、赤と同時にそれが点灯するのを知らない私は黄色の灯火を見て止まり、知っている後続車は停まらず、むしろ加速しながら通過したというわけだ。これ、おかしくないか? 交通整理や規制などには、本来、個々のドライバーの勝手な解釈が入り込む余地はないはずだ。直後に青の矢印が点灯しようがしまいが、黄色(の単独灯火)は “止まれ” である。

われわれバイク乗りを取り巻くクルマの中には、ブレーキを踏まない・踏めないドライバーが増えてきている。加速も減速もせず、のんべんだらりと(加えるなら注意力も散漫な状態で)クルマを転がしているドライバーの何と多いことか。片や、スポーツバイクは、エンジン・ブレーキとも高性能化の一途をたどり、昔と比べて “よく効く” ブレーキを持っている。信号無視のクルマが信号を守ったバイクに突っ込む事故が起きる可能性は非常に高いと言わねばならない。

で、青の矢印に話を戻すと、あれの目的が交通の円滑化ならば、赤と同時に点灯させるのではなく、黄色と同時に点灯させるべきである。流れをいったん止めたほうが安全だとはとても思えないが、もし、そう考えて赤と同時に点灯させているのなら、短時間とはいえ黄色の単独灯火のときに停止するよう、現場で指導すべきである。法規を守り、黄色で止まったために事故にあったのでは本末転倒というしかない。理にかなった交通整理(信号機の適切な運用)をお願いしたい。

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