
掲載日:2012年04月09日 タメになるショートコラム集 › バイク乗りの勘所
Text/Nobuya YOSHIMURA
昔の大型バイクには、必ずといっていいほど、サイドスタンドとセンタースタンドの両方がついていた。ちょっとだけ停めるときはサイドスタンド、長く停めたり整備をするときはセンタースタンド…というのが、だれかに指示されたわけではなく、不文律のようになっていた。ところが、今やセンタースタンドを持たないマシンが多数を占め、センタースタンドは一部機種でオプション扱いの他は、そもそも装着できなくて当たり前になっている。
自分でバイクをいじるには、センタースタンドがあったほうが圧倒的に楽である。センタースタンドでマシンを直立させ、普通の乗用車に積んであるパンタグラフジャッキをひとつかませれば前輪が地面から離れるから、ホイール、ブレーキ、フロントフォーク、リアショックなどの脱着が安全かつ容易にできる。サイドスタンドしかない機種でも、ジャッキひとつでできなくはないが、安定感、安心感、作業性など、どれをとってもセンタースタンドにはかなわない。
しかし、停車状態でどちらが安定性が高いかというと、実はサイドスタンドなのである。マシンを支持する3点が、センタースタンドの場合は前後 “どちらか” のタイヤとスタンドの両足なのに対し、サイドスタンドは前後 “両方” のタイヤとスタンドの足であり、サイドスタンドで停めたほうが、うんと広いスパンで車体を支えることができるからだ。加えて、サイドスタンドの場合は前後のショックが縮んでいるから、地震などのときの衝撃吸収性も期待できる。
さらに言うと、ハンドルをいっぱいまで切ると前後輪の向きが揃わなくなり、転がりに対する抵抗も大きくなるから、これまた安定感を高める。プロがバイクをトラックに積んでいるのを見ると、必ずサイドスタンドを使い、ハンドルを(左に)フルロックさせ、ベルトやロープで前後ショックを縮めているのがわかる。最も安定のよい状態にしたうえで、前後ショックの反発力を利用してベルトやロープに “張り” を与えているわけだ。これにまさる安定感はない。
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