『バイク乗りの勘所』

啓蟄に向けてバイクを万全に(その3)

掲載日:2012年02月27日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

その3は、やはりオイル交換である。これは、マニュアル指定のインターバルで問題なく、耐久性の高いオイルなら、さらにロングインターバルでもかまわない。もちろん、もっと頻繁に替えて悪い理由はない。しかし、年間乗車距離が短く、規定のインターバルに達しない人でも、できれば年に1回は交換したい。それなら今がチャンスである。エンジンオイルに限らず、潤滑油は、運転を続けても放置を続けても劣化するからだ。

冬場、低温環境下でバイクを放置すると、エンジンの中のオイルは、結露による水分の混入、添加物や成分の分離、場合によってはガソリンの混入による希釈などの恐れがある。高温、高負荷、高回転に耐える高性能オイルはあるが、どんなオイルでも、水やガソリンが混入すれば、潤滑性能は著しく低下する。中でもコワいのは水である。ガソリンは、オイルを希釈するだけで、暖まれば気化するから大した問題ではないが、水は乳化を引き起こす。

乳化するとどうなるかは、マヨネーズやドレッシングを思い浮かべてもらえばいい。本来、混ざらないはずのオイルと酢も、激しくかき混ぜることによってエマルジョン(細かな粒が分散した状態)にすれば混ざり合うのだ。エンジンオイルと水も、放置期間中に混ざることはないが、エンジンを始動してかき混ぜれば混ざり、乳化する。こうなると潤滑性能が得られないだけでなく、エンジン各部への圧送にも問題が生じ、大きなトラブルの元になる。

エンジン内部に進入した水は、オイルより重いからオイルパンの底に溜まる。これも問題だ。オイルポンプは、姿勢変化の影響を受けにくいオイルパンの底からオイルを吸いあげているから、水を吸ってしまう可能性大である。結露しやすい屋外放置の人は、走りだす前にオイル交換を済ませたいところ。それが無理でも、できるだけ早期にオイル交換をし、それまでの間は長距離と高回転を避けるくらいの用心深さがあってもいい。

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