『バイク乗りの勘所』

啓蟄に向けてバイクを万全に(その4)

掲載日:2012年03月05日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

今年は、このコラムの公開日、3月5日が啓蟄に当たる。短期集中連載の “啓蟄に向けてバイクを万全に” の最終回では、まず、前回の補足をしておきたい。エンジンオイルのところに書いた “水やガソリンの混入による乳化やガソリン希釈” について。オイルレベル点検窓のある機種では、窓から見えるオイルを観察すれば、ある程度予想できる。窓に曇りがなく、油面のラインがくっきり見えるのが正常で、そうでない場合は何らかのトラブルの可能性がある。

結露による水の混入が激しい場合は、点検窓の裏側に水滴が見える。見えないからといって安心はできないが、水滴が見えれば水の混入は間違いない。ガソリンが混入した場合は、油面のラインがあいまいになり、点検窓全体が曇ったような感じになる。オイルよりもガソリンのほうが軽く、しかも表面張力が弱いから、上に乗ったガソリンのせいで油面のラインがボケるのである。ガソリンの場合、高回転を避けつつ走行して温度を上げ、気化させれば大事には至らない。

最後に、フロントフォークの大気開放をしておきたい。フロントフォークに閉じ込められた空気は、縮んだときに反発力を発生する。コイルスプリングと合わせて、重要な仕事をしているわけだ。この空気バネは、伸び切った状態で大気圧に合わせる(伸び切った状態で上端部のフタを閉める)のが原則だが、少々縮んだ状態で長期保管すると、微小なリーク(避けるのは難しい)のせいで、縮んだ状態で大気圧に合ってしまい、充分な反発力が得られなくなる。

これの対策(修正)は簡単だ。ジャッキをかませるなどしてフロントフォークが伸び切った状態を保ち、そのときに上端部のフタ(ボルトまたはスナップリング止めのキャップ)を開け、もとどおりに閉めるだけ。開けてから閉めるまでの間に空気が入り込み、内圧が大気圧と一致する。冬眠から覚めた愛車の走りが、何となくシャキッとしない…と感じたら、ダマされたと思って、まずはこれを試してみてほしい。春らしい、生き生きとした走りがよみがえるはずだ。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索